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子どもとしごと ママたちのお仕事復帰ストーリー Vol.8 カメラマン 関戸 聡子さん

子どもを育てながら働き続けるクリエイターはどんな出産、産後、復帰を経験してきたか。
さまざまな職種のクリエイターによる「子どもとしごと」の関係をリレーインタビュー!

関戸 聡子さん
大学を卒業し、イメージスタジオ109に就職。スタジオカメラマンとして2年勤めた後に退社し、石田東氏に師事。3年後の2001年に独立しフリーランスになった。
現在5歳男児と2歳女児を育てる2児の母。

 

育休は休業。子育てフリーランサーの厳しい現状

「今はフリーランス歴10年以上になりました。子どもが生まれる前はそれこそ何でもやりました。土日も昼も夜も関係なく、とにかく忙しくいろいろなところへ出向いて撮影をしていましたね」
出産前はCDジャケットやアーティスト写真、ライブの撮影など、有名人を撮影することも多かったという仕事は、時間を問わずハードなものだったそう。結婚後もそのまま仕事内容は変わらなかったが、妊娠が分かるとすぐに仕事のやり方を変えたのだというそう。
「カメラマンという仕事は重い荷物を持ち運ぶことも多く、普段から大変そうと気を遣われることも多いんです。だから、妊娠していると分かれば、仕事先の人に心配や迷惑をかけてはいけないと思いましたし、私自身ようやく子どもを授かったこともあって、何かあってはいけないという思いで、早々に産休に入りました。」

2011年3月末に男の子を出産すると、数日後の4月には同じ学年となる0歳児クラスがスタートする。しかし早生まれということで、生まれた時点ですでに入れる保育園はなく、約2ヶ月の産休後すぐに仕事をする気持ちにもならなかったので、1年間は育休というつもりで休業をしたという。そして約8カ月が経った11月頃、翌年4月からの仕事復帰を見越して、認可保育園(※1)の1歳児クラスの申し込みをしたのだが、認可に入れる点数には至らず、入園することはできなかったという。
「フリーランスという仕事柄、自分では育休だと思っていても、仕事復帰の確約もないですし、子どもを預けられないので収入がないのは当然なのですが、収入がないから保育の必要がないと判断されたりして。あとは、無収入の間は夫の扶養に入ったのですが、扶養内ということも減点の対象になるみたいで……。いろいろなところでフリーランスには風当たりが強かったですね」
そこで1歳児からは認証保育園(※2)に入園させることにして、仕事復帰を果たした。

ふたりで仲良く遊ぶ子どもたち

二人で仲良く遊ぶ子どもたち

認証保育園に長男を預け始めた後は、今までのような時間や休みを問わないハードな仕事を引き受けることは難しく、今は企業の社内報やWebのインタビューカットなどの、拘束時間が少なく、終わりの時間が決まっているものを請けているという。
「最近は撮影後にデジタル処理を施して納品することも多く、カメラマンの仕事の幅がとても広がっています。そこで今は、撮影など外出での仕事は必ず17時に撮影が終わるようにしてもらい、夜は子どもとの時間を過ごし、翌朝早く起きて画像処理などの作業をしています」

復帰後の仕事も順調に軌道に乗り、仕事と子育ての両立をつかみ始めていたころに二人目の妊娠が分かり、2013年10月に長女を出産した。今回も妊娠中は早めに仕事をセーブし、産後も半年間は休業していたため、翌年4月からの認可保育園0歳児クラスに入ることはできなかった。そこで今度は認可保育園で行う一時保育サービス(※3)を2カ所登録し、うまくやりくりして予約を取って仕事をしていたそう。
「長男の認証保育園と長女の一時保育の園はそれぞれ違うので、二人の送迎には朝夕1時間ずつかかってしまっていました。けれどそれが翌年度の認可保育園入園へのアドバンテージになると思って頑張っていましたが、長女の1歳児クラスではまた認可に入れなくて。そこでさすがに一時保育を2年間利用するのは厳しいと思うようになり、長女も認証保育園で1歳児クラスをスタートさせることにしました。でもそのタイミングで、長男は認可保育園に入園することができたんです。2園への送り迎えというところは変わりませんでしたが、やっと上の子が認可保育園に入れたことは純粋にうれしかったですね」

 

夫婦でイレギュラーな仕事時間だからこそ、大切にしたい家族の時間

長女を出産した後、一時保育を利用しながら緩やかに仕事を戻し、1歳児クラスは認証保育園へ。そして次の年にようやく長男も通う保育園へ転園することができた。今は同じ保育園というだけで、送り迎えも気持ちの負担もだいぶ楽になり、その分仕事がしやすくなったという。でも、今の仕事は出産前と比較するとまだ半分以下だという関戸さん。今後は仕事をもっと増やす予定がないか聞くと「子どもたちは少しずつ手がかからなくなってきたので、仕事量をそろそろ戻していきたいと思う反面、子どもと一緒にいられる時間は本当に短いのではないかと思っていて。だから今のところ仕事はほどほどというか、今くらいの量でいいかなと思ってしまっています。こういう場で言うのも何なんですけど(笑)」
今はまだ保育園と家庭だけが子どもたちの生活のすべてだけれど、来年長男が小学生になったら土日に習い事をすることもあるかもしれない。そうなると今までずっと続くと思っていた家族みんなで一緒に過ごせる時間というものは、思っていたよりすぐに終わってしまうのではないかという。
「それは夫も同じことを感じているようです。仕事で毎日帰宅は遅いですが、毎朝どんなに眠くても家族一緒に朝ごはんを食べようと夫が言ってくれ、それを実際に続けています。そして、平日の夫の出勤は遅いのでもっとゆっくり寝ることもできるのですが、朝ごはんの後は子どもたちを保育園へ送ってくれています。おかげで私は早い時間からの仕事も請けることができています」

都内のシティホテルでのショット。「近場でもいい気分転換になります」

都内のシティホテルでのショット。「近場でもいい気分転換になります」

「夫はサービス業なので、土日はほとんど仕事です。GWはなく、年末年始やお盆休みも続けて3日休めればいい方ですね。だから平日の夫の休みの日に私の休みを合わせて、都内でホテルステイをしたりして家族の時間を楽しむこともあります」
こんなときは都合をつけやすいフリーランスという今の仕事スタイルは自分に合っていると感じるそう。そんな関戸さんの今後の目標を聞くと
「目標と言えるほどのことは何もないというか、普段からあまり考えていません。ただ、目の前の与えられた仕事を一生懸命やっていこうとはいつも思っています。それで、仕事はこれからも細く長くずっと続けていきたいですね」
続けて子育てが今の仕事に生きているかを聞いたところ、「仕事中は子育てを忘れちゃっているくらいだから、生きていないかもしれないですね(笑)」と話すが、子どもは信頼のできる環境に預けられている間はしっかり切り離し、集中してしまうということなのだろう。それだけでなく、今回のインタビューで「もう忘れちゃったな~~」と言いながら話し始めることがとても多かった関戸さん。いつもそんなに意識して行動していないからあまり記憶がないと笑っていたが、話す表情には、子育てに対して力の入り過ぎない余裕が見て取れた。「子育て」や「仕事」を分けて難しく考えず、ありのままに生きているといったような印象を受けるが、「子育ては楽しいけれどその時間はとても短く、今はそれを大切にしたい」という、そこにはしっかりとした意思があり、自分にとって大切なものを迷うことなく瞬時に見極めて切り取る潔さは、カメラマンならではのものなのかもしれない。

(※1)国の基準で作られた保育園。入園の際は自治体に申し込みをする。
(※2))認可保育園では保育ニーズの多様性に応えられない部分があるため、都が独自の基準を設定して運営を民間に委託した保育システム。入園は各施設へ直接申し込む。
(※3)認可保育園等で定期保育でない子どもをスポットで預かるシステム。申し込み方法や回数の規定などは自治体により異なる。

 

1日のスケジュール

5:00 一人で起床し、洗濯物干し、夕飯の支度、朝食の支度、洗濯ものたたみ
7:20 子どもたち起床
7:30 夫も起床し、みんなで朝食
9:00 仕事開始 (夫:保育園へ送り)
17:30 保育園へ迎え
18:00 帰宅
18:30 夕食
20:00 お風呂
21:30 絵本2冊読み終えて、子どもと一緒に寝る

 

ホッと一息
子どもが寝た後やふとした時に、育児マンガを読んでいます。子育ての参考にもなるし、楽しいのでストレス解消にもなっています。

▼ 他の記事一覧 ▼
Vol.1 ライター 真貝友香さん
Vol.2 テレビ番組ディレクター 木元菜々子さん
Vol.3 イラストレーター にわゆりさん
Vol.4 アートディレクター 渡邉有香さん
Vol.5 Webディレクター 守屋綾希さん
Vol.6 Webプロデューサー 小野梨奈さん
Vol.7 アシスタントディレクター 関口亜希子さん
Vol.9 ゲームデザイナー 高原佐緒理さん

profile

赤荻 瑞穂

子どもとママに向けて「育つこと」「働くこと」をテーマにした企画、記事、イベントを多く手掛けるフリーランスのライター及びディレクター。
フリーランスで働く女性のためのサイト「Rhythmoon」の編集メンバーでもある。

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