VRの開発はUnityというソフトを使えば意外と簡単で、「ホームページ・ビルダー」のような感覚で操作・制作できます。VRの開発環境はまだプロの世界でも発展途上で、それだけに多くのクリエイター・ビジネスパーソンにとってチャンスがある分野といえるでしょう。ここではVRの開発に必要な機材・ソフト・費用などをまとめます。

VRの開発に必要なパソコンのスペック(性能)は?

VRの開発に必要なパソコンのスペックは、通常の動画制作などと比べてかなり高いものになります。

もし、細かいスペックがよくわからないという人が、VR開発を始めるために新しくパソコンを購入する場合は、「VR対応」「VR READY」などと書かれているパソコンを選ぶのがおすすめです。これは、開発に向いているという認証ではありませんが、VRを楽しむのに必要なスペックを備えていることを保証されているもので、ゲーム制作などでテストプレイが快適に行えます。なお、認証には「Oculus」「HTC」「NVIDIA」「Radeon」の4種類がありますが、発行元が違うだけで認証内容に大きな差はありません。

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必要とされるスペック

それでは具体的に必要なスペックを見ていきましょう。

まず、CPUはCore i7などの高速なもの、メモリは16GB程度必要とされます。メモリは多いほどいいため、予算に余裕があれば32GBのものを選ぶようにしましょう。ストレージはHDDではなくSSDで、Cドライブに240GB~480GB以上は空き容量を確保すべきです。
なおSSDにはいくつか種類があります。
一般的に使われているのは2.5インチでインターフェイスにSATAが使われているものですが、高速化を目指すのであればM.2 SSDを選ぶようにしましょう。M.2 SSDはマザーボードのスロットに直接、接続するタイプです。そのためマザーボードの拡張性を確認しておくことがポイントになります。

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また、GPUも高性能が求められます。特にVR映像でなくVRゲームの開発をする場合は、制作時よりもテストプレイ時に高いスペックが要求されます。ノートパソコンでも対応機種はありますが、ほとんどの開発者はデスクトップパソコンをメインで使用します。画像処理のためのプロセッサ(GPU)はGeForce、Radeonなどの高性能なもので、できるだけ新しいバージョンのものが必要です。

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これより低いスペックでもVRの開発はできますが、作業効率を落とさないためにはこれらのスペックを満たしておいた方がいいでしょう。

VR開発に必要なソフトは?

VR開発に必要なソフトは?

VR開発に必要なソフトとして、「Unity」や「UNREAL ENGINE」があげられます。
それぞれ、どういったソフトであるのかを見ていきましょう。

プログラミング言語不要のUnity

VRの開発に必要なソフトとして、最も人気なものが「Unity」です。
これはユニティ・テクノロジーズ社が提供しているゲーム開発プラットフォームで、ゲーム制作に必要なツールがまとめられているものだといえます。無料版と有料版(Pro)がありますが、無料版でもクオリティの高いゲームが制作できるため、まずは無料版から試して必要に応じて有料版にアップグレードするのがよいでしょう。

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Unityの大きな特徴として「アセットストア」の存在があります。
アセットストアには、「背景・素材・音楽・アクション」などの素材や拡張機能がありますが、これらはほかのユーザーが自作したものです。有料ものもありますが無料で提供されているものも多くあり、これらを組み合わせるだけでゲーム開発を行えます。

また、Unityを利用するメリットとして、マウスで直感的に操作できるという点があげられるでしょう。通常、ゲーム開発といえば、プログラミングスキルが必須だという印象がありますが、Unityではマウスでオブジェクトを配置できるため、ある程度のゲームであればプログラミング言語がわからなくても操作ができます。ただし、よりクオリティの高いゲームを開発したい場合には、プログラミングが必要になる党ことを覚えておきましょう。

上達したらプログラミングを覚えてカスタマイズすることで、高品質なゲーム・映像が制作できるようになります。

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より高度なゲームはUNREAL ENGINE

Unityの次に、VR開発で使われるソフトは「UNREAL ENGINE」です。よく「UE」などと略して呼ばれています。UNREAL ENGINEはEpic Games社が提供しているゲーム開発プラットフォームであり、現在でも多くの企業が利用しています。

UNREAL ENGINEの大きな特徴は、映画製作にも使われるほどの高品質で美麗なグラフィックが制作できることでしょう。まるで実写化のような背景やオブジェクトが簡単に制作できるため、リアルさを求めるゲームの開発におすすめです。

なお、UNREAL ENGINEはすべての機能を無料で利用できるというメリットがありますが、ゲームを製品化して販売した場合、売上額によっては5%がロイヤリティとなります。

UnityとUNREAL ENGINEの特徴などを紹介しましたが、Unityはモバイルゲームとの相性が良いのに対して、UNREAL ENGINEは家庭用ゲーム・アーケードゲームとの相性が良いという違いがあります。モバイルゲームより家庭用・アーケード用の方がゲーム制作の難易度は高いため、一般には「簡単なゲームはUnity、より高度なゲームはUNREAL ENGINE」と区別されています。

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VR開発に必要なプログラミング言語は?

VR開発で必要なプログラミング言語は、使用ソフトがUnityならC#とJava Scriptです。使用ソフトがUNREAL ENGINEならC++かBluePrintとなります。
【TECH NOTE】VRの開発言語

使用ソフトがUnityの場合

Unityは直感的な操作である程度のレベルまで制作ができるので、より高度な制作をしたいときのみプログラミング言語が必要になります。

以前はJava ScriptやBooも使用できましたが、最新版では使用できなくなっており、現在使用できるプログラミング言語はMicrosoftが開発したC#のみとなっています。
C#はC言語やJavaの影響を受けたオブジェクト指向のプログラミング言語であり、文法がJavaに似ているものです。名前は「C言語」に似ていますが、あくまで別の言語だということを覚えておきましょう。

初心者にとってはやや難易度が高めの言語ですが、現在は学習できるサイトなどが多くあるため、学べる機会は多いでしょう。また、ゲーム開発で使われる機会が多いため、視覚的に実行しながら覚えていけるため、初心者でも学びやすい言語であるともいえます。

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使用ソフトがUNREAL ENGINEの場合

UNREAL ENGINEの言語については、プログラマーはC++を覚えてデザイナーはBluePrintを覚えるというパターンが多くなっています。C++は主にゲームそのものを動かす言語で、BluePrintは主に映像を美麗にする言語だからです。
【UNREAL ENGINE】C++とブループリント

両方修得したら1人でもハイレベルなVRゲームを作成できます。

VR開発に必要な費用は?

VR開発に必要な費用には、パソコンなどの機器やソフト、配信費用などさまざまあります。

パソコン・ヘッドマウントディスプレイなど

VRの開発で必要な機材であるパソコンは、先述のように高性能なGPUを搭載したものが望ましいため、価格は最低でも10万円は見ておきましょう。
また、VR再生用のヘッドマウントディスプレイも必要です。家庭用ゲーム機用やスマートフォン用に比べてパソコン用は高価で、2~9万円前後のものが多くなります。

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ソフト使用料

Unityの場合、初心者向けの「Unity Personal」なら無料ですが、個人開発者向けの「Unity Plus」は月額3,000~4,200円程度になります。法人やチーム向けには「Pro with Teams Advanced」があり、こちらの目安は月額15,000円です。
Unity Store

また、UNREAL ENGINEは現在のバージョン(UNREAL ENGINE4)では月額資料は無料ですが、作品が販売され、かつ四半期ごとの売り上げが3,000ドルを超えた場合に、超えた部分の5%がロイヤルティとなる仕組みになっています。

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配信サービス費

映像やゲームが完成したら、それを配信する必要があります。配信サービスを利用するにも費用がかかります。

ハコスコストア

360°動画配信サービスの「ハコスコストア」を利用する場合、料金プランは月額5,000円のスタンダードプランか、月額2万円のプロプランの2種類から選べます。どちらもデータ保存期間は無制限で、容量はスタンダードプランが5GBまで、プロプランが50GBまでとなっています。

無料プランもありますが、容量が3GBまでと小さく、データ保存期間も1年間限定なので、練習用や個人の趣味として使うのに向いているでしょう。

【ハコスコ】VRプロモーション

App Store

iOSアプリとしてApp Storeで配信するときは、開発者登録が必要です。費用は年間99ドルほどとなり、日本円では約11,000円となります。ただし、為替レートによって変動するため注意しましょう。

iOSとAndroidアプリの公開にかかる費用を調べてみた

Google Play

Android版をGoogle Playへ公開する場合も開発者登録が必要となりますが、かかるのは初回登録費のみです。費用は25ドルで日本円にすると約2,800円となりますが、為替レートによって変動します。

VRの開発は費用にしてもプログラミング言語にしても、上を望むなら必要なものがどこまでも増えます。対して、個人の趣味で開発するだけなら、費用・プログラミング言語・機材のどれもほとんど必要ないため、年間10万円以内でも十分でしょう。

VRコンテンツ開発の学習方法はどうすればいい?

学習方法はどうすればいい?

VR開発を学習するにはいくつもの方法があります。
ひとつの方法にこだわらず、複数の方法を組み合わせることで効果的に学ぶことができるでしょう。ここでは、代表的な学習方法をいくつか紹介します。

書籍で基礎知識を学ぶ

興味はあるけれど本格的に学ぶかどうかまだ迷っているという方は、書籍で情報を収集してみてはいかがでしょうか。
現在、書店にはVRに関する本が並んでおり、アマゾンなど書籍通販サイトで検索すれば入門書から高度な技術書まで、さまざまなVR関連書籍が見つかります。

費用も数百円から数千円程度ですので、本格的に学習する前に概略を知っておきたい人、ゼロから基本を知りたい人などには、まずは書籍で学習することをおすすめします。

【保存版】VRを学ぶなら読んでおきたいおすすめ本厳選5冊

チュートリアルを動かしてみる

自分のペースでじっくり学びたい方や、どんなものか取りあえず触ってみたいという方はチュートリアルを動かしてみましょう。例えば、UnityやUnreal Engineでは、VRアプリ開発用のチュートリアルが公式サイトで提供されています。

基本的な操作や動作を確認するために、このチュートリアルを実際に自分で動かしてみると操作をマスターでき、よりVRへの理解が深まるでしょう。チュートリアルがクリアできたら、実際にオリジナル作品を作りあげると、より実践的な技術を身につけることもできます。

VRプログラミングは簡単?VRの基本と学習方法を徹底解説

プログラミングスクールなどに通う

求人需要の高まりから、VRが学べる専門学校やプログラミングスクールは増加傾向にあります。独学で習得するのが難しい場合や、確実に仕事につながる技術を得たい場合は、専門学校やプログラミングスクールも検討しましょう。つまずいたところをすぐに質問して解決できるなど、プログラミング経験のない初心者でも、気軽に始めることができます。

スクールによって、初心者向けや中・上級者向けなど特徴は異なります。自分に合ったスクールを比較検討して選びましょう。
VRの勉強をする方法について

プログラミングスクールの選び方

比較サイトなどには多くのプログラミングスクールが紹介されていますが、自分にぴったりのプログラミングスクールはどのように選んだら良いのでしょうか。チェックポイントをいくつか紹介します。

学びたいことが学べるのかチェック

スクールに入る目的がVRを学ぶことなら、カリキュラムにそれが含まれているか、しっかり確認しましょう。

直接学ぶのかネットで学ぶのか

プログラミングスクールには「対面型」と「オンライン型」があります。講師と直接顔を合わせる対面型は質問にその場で答えてもらえる、コミュニケーションが取りやすいなどのメリットがありますが、時間や場所が制限されるのがネックです。
一方、オンライン型は時間や場所にとらわれず、自分のペースで学習できますが、質問の回答にタイムラグが発生してしまうことがあります。

一緒に学ぶ人数は何人か

レッスンが1人の講師と多数の生徒がいる教室型か、講師も生徒も1人ずつのマンツーマンかどうかも大きな問題です。

教室型では、ほかに学ぶクラスメイトが大勢いるため仲間意識やライバル心が芽生え、それが学習のモチベーションをアップさせることもあります。対して、マンツーマン型はほかの生徒がいないため勉強仲間を作りにくいという面はありますが、講師との距離が近いため質問がしやすく、自分のペースでじっくり学びたい人に向いています。

受講料金は安すぎ・高すぎではないか

一概に受講料が高いか安いかだけで比較・判断すると、「安いけれども経費削減のためシステム化されていて学びにくい」という可能性もあります。学びたい内容に見合った金額なのか検討しましょう。

受講期間は自分のライフスタイルに合っているか

受講期間が短いほうが早く習得できていい、とつい考えがちです。時間のある学生ならば集中して学ぶのもいいですが、忙しい社会人の場合は仕事の都合などでかなりタイトなスケジュールになる可能性も考えましょう。授業が受けられなかった場合に、振替授業や再受講などの制度があるかの確認も必要です。

【社会人必読】プログラミングスクールの選び方!6つのポイントを紹介

勉強会やイベントに参加する

「VR 勉強会」などで検索すると、テクノロジー関係の勉強会やエンジニア同士のミートアップが多く開催されています。最初は勇気が必要かもしれませんが、勉強会やイベントに参加することで、独学でのつまずきが解消できたり、思いもよらない視点・知見を得ることができたりするでしょう。

大学や研究室で最先端のVRを研究する

東京大学、筑波大学、大阪大学、慶應義塾大学など、多くの大学では工学系の学部や大学院にVRを研究しているゼミや研究室を置いています。最先端の技術を本気で研究したい方には、大学や大学院の研究室に入るというのも、ひとつの選択肢といえそうです。
【厳選】VR/ARを学べる大学 研究室 5選!

実践で学ぶ

ハードルは高くなりますが、プログラミングの経験がある程度あれば、VR関連・開発企業に入社またはインターンとして関わって、企業で働きながら学ぶという方法もあります。もちろん学習に費用はかからず、収入を得ながら学べるのは大きなメリットでしょう。
さらに、チーム開発の流れや、ユーザーの反応を身近に感じながらプロダクトを改善するなど、実践でしか学べないことが多くあります。

自分にあった環境と方法で始めてみよう

今やVRの利用シーンはゲームや動画、映画などに留まらず、観光業界では観光名所やホテルなどの体験、不動産業界ではマンションなどの内覧、医療・福祉業界では治療やリハビリテーションなど、さまざまな分野に広がっています。そのため、VR開発ができる人材は今後ますますの需要が見込まれるでしょう。

これからVR開発を行いたいと考えている人は、まず書籍を読む、初心者向けに無料で配布されている「Unity Personal」を試す、ということから始めてみるのがおすすめです。
すぐにVR機材をそろえるのも良いですが、今持っているパソコンや無料の制作ソフトを使いながら必要に感じたものを買い足していけば、無駄なくVRの開発環境を整えることができるはずです。ぜひ積極的にチャレンジしてみてください。

※当記事で紹介しているハードウェアおよびソフトウェアの値段などは2019年7月時点で調査した情報です。

(CREATIVE VILLAGE編集部)


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