注目企業の中の人によるコラム
OisixのUX改善事例について、前回から引き続き、オイシックス・ラ・大地株式会社でアートディレクターを務める戸田俊作さんに解説いただきました。1週間で売り切る予定だったイチゴが、わずか1日で完売し、結果として昨年の2.7倍売れたという事例です。

こんにちは。オイシックス・ラ・大地株式会社、アートディレクターの戸田俊作です。以前ご紹介した「うさぎのお月見まんじゅうセット」の事例に続き、今回もOisixで取り扱う商品の売り場ページ改善による成功事例をご紹介します。

Oisixの強みを見直し原点回帰

Oisixの商品企画はさまざまな発想から生まれます。例えば前回紹介した「うさぎのお月見まんじゅうセット」は、シーズンイベントに合わせて親子で楽しめる商品をコンセプトに企画されたもの。

今回私たちが取り上げた農産品は「イチゴ」でした。
スーパーに行けば簡単に手に入る商品になぜ着目したのか。それは、「Oisixは野菜や果物が美味しい」という、自社の強みを改めて発信するためでした。
Oisixではプレミアム時短(時短を叶えながら、より豊かな食卓を実現する)につながる商品を推奨しており、売り場ページでも時短で作れるおかずなどの特集を組むことが多くなっていました。それを「イチゴ」にスポットを集中させてOisixならではの商品を取り上げました。「原点回帰」に関するポイントは以下の3つです。

ポイント1:産地の様子や生産者の情報を伝える

今回販売したのは静岡県産の「紅ほっぺ」。契約している生産者さんのところに足を運び、カメラマンとライター、デザイナーで取材をしました。産地の様子や生産者さんの思いをリアルに伝えることで、スーパーで手に取るものとは違った“特別なイチゴ”であることをアピールしました。

ポイント2:なぜスーパーのイチゴよりも高いのか理由を伝える

「ポイント1」の情報と共に、生産工程の苦労や、より美味しいイチゴにするための取り組みなども語ることで、スーパーのイチゴよりも高い理由を伝え、金額に納得感をもたせました。

ポイント3:しっかりとスペースをとって伝える

商品ページに加え、深掘りした情報を伝えるページを2つ設けて写真と記事を盛り込み、なぜOisixで購入すべきかを訴求しました。

イチゴを使ったレシピや関連食材を紹介。企画性を持たせ売り上げもUP

商品を販売する時、企画の打ち出し方として「パン特集」「イチゴ特集」といった感じで1つのジャンルでさまざまな種類を並べる方法があります。企画としてはとても盛り上がっているように見えますし、サイトのトラフィックは増えますが、実際ほとんどの人は1~2個の商品しか買わないので、売り上げにはつながりません。

リソースを使って企画をやる以上、おもしろいだけでなく、売り上げも重視した特集にしなければならない。そこで、イチゴと一緒に食べるとおいしい食材を多数提案することにしました。

これにより、イチゴと共に紹介した関連商品も売れて、売り場ページ全体の売り上げも伸ばすことができました。

Oisixにとっての「違和感」を打ち出した異彩を放つキービジュアル

今回の企画で一番肝になるのが、「いつもとは違ったことをやっている」という雰囲気をアピールすることでした。それにより、Oisixから離れているお客さまにも改めて興味を持ってもらうことができると思ったからです。「いつもと違うことをする=違和感を作る」そのために、改めて「いつものOisix」とはなんなのか、見つめ直すことからスタートしました。

「いつものOisix」を考えて行き着いたのは、Oisixはお客さまが日常で利用する存在だということ。そこで今回の企画では、お正月やお盆のような特別な日を表現したいと考えました。

そして、いつもと違う特別感が演出できるように試行錯誤した結果、イチゴを半分にカットし、その上に「苺」と漢字であしらうメインビジュアルが誕生しました。

異彩を放つデザインですが、その中でもブレないOisixらしさという意味で注意したのが、「美味しそう」であるということ。みずみずしいイチゴの断面は、斬新でありながらも食欲をそそるビジュアルです。

目標比176%を達成!成果とラーニング

この企画により、売上は目標比176%を達成。前年と比べると273%もアップしました。また、アクセス数も通常の特集の約1.6倍を記録。ビジュアルがどれほどユーザーに訴求するのかが分かる結果となりました。

改めて今回の企画を振り返り、事例から学べるのは以下の3点でした。

  1. 「Oisixで買う理由」の価値伝達
    数ある商品の中からOisixで買うという選択をしてもらうために、産地や生産者の情報をしっかりと伝えることが大事。
  2. あれもこれも欲しくなる売り場づくり
    同じようなものをたくさん並べるのではなく、お客さまが食卓を想定し、複数の商品を並べることで一度にたくさんほしいものが見つかる売り場を作ることができる。
  3. いつもとちがうことをやる時こそ、“ベーシック”を意識!
    あえて“外したこと”をやろうと考える時こそ、通常の状態を熟知していなければならない。それにより、どれくらい“外す”か、また、どこを守るべきかが分かる。

今回の施策は、いつも以上にデザイナー側のアイデアや工夫を求められる案件でした。社内のデザイナーを募りアイデアブレストを行うなどし、未だかつて作ったことのない斬新なクリエイティブをなんとか形にすることができました。結果的に、GDCの水野学さんからフィードバックをいただけるクリエイティブアワードでその月の1位に選ばれるなど、定量的にも定性的にも一定の評価をいただくことが出来ました。

デザインが、売上やUU等の定量的数値の面でもとても重要だということを社内で認知させる事例となったので、今後もデザイナーからどんどんアイデアを発信し、お客さまの期待を超える素敵な売場を作っていきたいと思っています。どうもありがとうございました。

オイシックス・ラ・大地はこれからも私達はよい食を作る全国の生産者とご家庭の食卓を繋ぎ、より多くの人が幸せな毎日を送れる食の未来をつくります。

企業サイト:
https://www.oisixradaichi.co.jp/

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