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「エンターテイメント」としての動画にこだわり続けているからこそ、 世界中で見られるコンテンツになる−Tastemade Japan代表取締役社長 ショーン・ニコルスさん

「ハンズオンリー」と呼ばれる撮影スタイルを開発し、1分前後の料理動画を中心としたオリジナルコンテンツが人気の「Tastemade」。アメリカを拠点とするベンチャー企業で、2年前に日本でも「Tastemade Japan」が設立され、日本オリジナルのコンテンツが世界中で話題となっています。

今年4月に代表取締役に就任したショーン・ニコルスさんは、日本での長年にわたる幅広いキャリアを活かし、競合の多い料理動画の中でどう差別化を図るかに注力していると言います。今回は、ショーンさんのこれまでのキャリアやTastemadeのポリシーなどについて伺いました。

Sean Nichols(ショーン・ニコルス)
Tastemade Japan 株式会社 代表取締役社長
2018年よりTastermade Japan株式会社の代表取締役に就任。デジタル分野のエキスパートであり、マーケティングイノベーターとして数々のグローバル企業でマーケティング施策に従事。今日のデジタルおよびモバイルの分野において、大胆なアイデアやナビゲーションにおける画期的な手法で問題解決を試みている。前職ではアマゾンジャパン合同会社にてアマゾンプライムビデオのビジネス開発リーダーを務めた他、Blippar Japan 株式会社の代表取締役社長、博報堂、電通、YouTubeなどで様々なポジションを経験。日本で幅広いキャリアを積んでおり、そのキャリアは20年以上となる。過去に独立したブティックエージェンシー運営も手掛け、東京とロサンゼルスで成功させた経験を持つ。

留学をキッカケに来日し、数々の企業での活躍を経てTastemade Japanへ

――Tastemadeにジョインされたキッカケを教えてください。

元々は以前YouTubeで仕事をしていたときにTastemadeの設立者と知りあい、設立当初から事業内容も含めすごく尊敬してたんですね。その当時、YouTubeの動画は大体の人がカメラの前で喋っているだけなので、もっとプロフェッショナルなコンテンツはないかなと探してた頃から、Tastemadeは映画クオリティの動画を作っていたので興味がありました。
そして今回ご縁があって日本の代表取締役としてジョインしました。

既にTastemade Japanは2年前に設立していて料理動画を制作してたんですけど、料理のジャンルだけだったら興味はなかった。でも、アメリカのTastemadeではフードだけじゃなくトラベル、ホーム&デザインなどもあるんですね。だから日本も料理以外のジャンルに拡大していきたいということだったので、それなら是非ということで引き受けました。

――以前も日本で様々なキャリアを積まれてきていらっしゃいますが、そもそも日本で仕事をするようになったのはいつ頃からなんでしょうか。

大学の時に留学で初めて来日しました。マーケティングと国際ビジネスを専攻していて、留学することが必須だったんです。他の人達は大体ロンドンかシドニーに行ってたんだけれど、当時日本がバブルの頃だったので、卒業して日本語が話せたら仕事ができるかなと思って、日本語を勉強するために留学しました。

そして、新卒でアメリカの自動車メーカーのセールスとして日本で働き、その後NBA JAPANでライセンスビジネスやオンラインマーケティングを担当しました。バナー広告が出始めたくらいの頃に「これからはWebもやらないと」とデジタルの人間になって、さらに電通などで仕事をさせてもらって。

で、一度アメリカに戻ってYouTubeの仕事で動画コンテンツに興味を持ち、イギリスのARの会社「Blippar」の日本オフィス立ち上げ時に、代表取締役として携わり3年間働きました。その後、アマゾンを経てTastemadeに来ました。合計すると20年位は日本で仕事してますね。

料理動画だけじゃなくライフスタイルブランドだという認知を広めたい

――今までのキャリアを経て、Tastemade Japanで代表取締役に就任されてからはどのようなことを意識して会社の方向性を決めていらっしゃるんですか?

料理動画という枠からどうやって他のジャンルに拡大していくかというのは特にフォーカスしてることのひとつですね。今はテストマーケティングとしてフード以外にビューティーもやってるんですけど、さらにトラベルやホーム&デザインのジャンルもやっていきたい。あとは最近LINEやTikTokのオフィシャルアカウントを開設したり、いろんなプラットフォームに拡大することも重要だと思っています。

――そういったプラットフォームの数の多さで比べると、他の料理動画サイトと比べてもかなり差別化を意識してるのかなと思うのですが、いかがですか?

Tastemade Japanとしては2年間料理動画しかやってなかったから、すぐ競合が出てくるんですよね。でもTastemadeは実はフードだけじゃなくて“ライフスタイルブランド”なんです、ということを日本のマーケットに知らせたいんです。

Tastemadeとして掲げているのが「Inspiring the Taste of a Generation」です。少し説明させてもらうとですね。例えば「今日は肉じゃがを作りたいな」と思ったら、多分「肉じゃが レシピ動画」で検索すると他社のレシピ動画が出てきて、おそらくHow toの1〜10を見ながら作りますよね。それはそれで全然良い。でもTastemadeのコンテンツは“エンターテイメント”だと思って作っているので、「肉じゃがが作りたいから」見るんじゃなく、「エンターテインメントとして動画が面白いから」見る、そこから“Inspire”させて何かをするっていうのが我々の作り方なんです。Tastemadeを見て何か作りたいと思って、じゃあ肉じゃがにしようと決めて他社のレシピ動画を見ることでも全然良いんです。そこは大事な差別化ですね。

次は”Taste“。Tasteは食べ物の”味“のことだけではなく、もっと幅広い意味での”Taste”を指してます。日本で言うと“センス”という意味で使われるような、“ファッションセンス”とか“アートセンス”とかですね。その“センス”を“インスパイア”させたいというのが、私達の狙いなんです。だから、例えばレシピ動画においてHow toとストーリー性を両立させるのは難しいんだけど、Tastemadeは“Taste”=“センス”を意識してるからそれを両立できることも強みだと思います。

最後に“Generation”。誰を指しているかというとミレニアル世代の人達です。テレビを見ないだけじゃなく持ってない人達ですね。Tastemadeは6年前から「コンテンツはモバイルファースト」ということを戦略的にやっていて、さらにクロスプラットフォームを意識して1回だけ撮った共通コンテンツをいろんなプラットフォームに配信してるんです。何故これが大事かというと、動画を配信する際はまずフォーマットを考えないといけないですよね。例えばInstagramだったらスクエア、YouTubeだったら横、IGTVだったら縦ですね。だからといって3パターン撮るんじゃなくて、よく考えた上で1回だけ撮って、全プラットフォームで配信できるようにする。難しそうに感じるんですけど、6年前からずっとこういうモバイルファースト戦略でやっているから、我々にとってはもう当たり前で楽勝なことになりました。

“動画”ではなく“番組”としてエンターテイメント性のあるコンテンツを作ることが使命

――最初に仰られていたように、今後は料理動画以外のジャンルやプラットフォームの拡大などを進めていかれると思いますが、さらに展望はありますか?

動画の部分で言うと、今はSNSで音声を聞かなくても全部テロップでわかるから電車の中でも見られる60秒動画が中心ですが、今後はもっと長い5〜10分の動画も作っていきたいです。“レシピ動画”って言うとすごく限定されちゃうので、私達は“料理番組”って言ってるんですが、テレビ番組より良いクオリティで、エンターテインメント性のあるものを作るのがTastemadeなので。そこはこれからも意識していきたいですね。

あとはエクスペリエンス(体験)の機会も増やしたいです。今年は大阪と埼玉で、ファーマーズマーケット的な雰囲気で面白い料理ができる人が出店するスモーガスバーグというイベントをやって多くの人に来ていただいたので、来年はもっと回数を増やせたらと。あとはアメリカとブラジルに「Tastemade Café」というものがあるので、エクスペリエンスとしてそれも日本で出来たら良いなと思っています。
そして、eコマースもスタートしたい。アメリカではすでにTastemade Storeがあって面白い商品をたくさん売っているんです。日本でも面白い商品や昔から職人さんが作っている品質の高いものがたくさんあるので、それらを世界中に紹介していきたいですね。

――では最後に、動画制作などのクリエイターを目指す人たちに向けてアドバイスをお願いします。

私達は会社だからブランディング出来てるのは当たり前だけど、個人でもソーシャルメディアをブランディングしていくことが重要だと思いますね。
Tastemadeが最初から変わってないのは、画質やライティングやシズル感、全てを含めて「本当にクオリティが高い動画だけを作る」というわかりやすいところ。常にTastemadeらしく作ってるから、例えばそれがビューティーでもトラベルでも、ハイクオリティで、エンターテイメント性やストーリー性があるからTastemadeだって認識されるようになる。そしてどんなフォーマットでもわかりやすい。だから個人でもそういうわかりやすいところを意識して見てください。アップロードして1〜2年経ってるのに誰も見てないとしてもギブアップせず、続けることが大事だと思います。

インタビュー・テキスト:上野 真由香/撮影:大門 徹/企画・編集:市村 武彦(CREATIVE VILLAGE編集部)

企業プロフィール

Tastemade(テイストメイド)について
Tastemadeは2012年にロサンゼルスで設立した全世界の月間視聴者数2.5億人、再生回数は30億回超を誇る動画メディアを運営する事業会社です。シズル感を強みとしたオリジナルレシピ動画を始め、エンターテイメント性の高いトラベル・ホーム&デザイン・ビューティーなど様々なジャンルの動画を制作・配信しています。また、2016年にはTastemade Japan株式会社として日本法人を設立、レシピ動画を軸として日本オリジナルコンテンツの制作・配信サービスを開始しており、国内のSNSフォロワーは合計で400万を超えています。現在は米国、日本、中国、ブラジル、アルゼンチン、イギリス、フランス、インドネシア8か国に拠点を展開しています。ハイクオリティの映像とこだわり抜かれた世界観を醸し出す動画はFacebook、Twitter、Instagram、YouTube、アプリ、AppleTVなどのデジタルプラットフォームを通して配信され、一般視聴者のみならず、企業からも注目を集めています。

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