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(C)THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015

映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』監督  サイモン・カーティスさん

『クィーン』(06)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した名優ヘレン・ミレンが実在の女性マリア・アルトマンを演じる映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』。

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20世紀が終わる頃、“オーストリアのモナリザ”の異名を取る、国の美術館に展示中のクリムトの名画<黄金のアデーレ>の“返還”を求め、マリアはオーストリア政府を提訴! 大切なものすべてを奪われて祖国を捨てたマリアが、深い喪失から立ち上がって奇跡を起こす感動の実話です。

本作のメガホンを握った監督が、『マリリン 7日間の恋』(11)で長編監督デビューを果たしたイギリスのサイモン・カーティス。ロンドンとニューヨークで舞台演出家として活躍した後に映画監督も手がけ、そのキャリアこそ最近ですが、『マリリン 7日間の恋』(11)同様、女性の心情演出と描写には評価を得る才人。このほど来日を果たしたカーティス監督に映画監督を目指した理由や、映像クリエイターを目指す方への助言などを聞きました。

 

■ 人生の最後が近づいている女性が、最後に正義を取り戻そうとする物語

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この『黄金のアデーレ 名画の帰還』は、人生が終わりに近づいている本当に最後の段階にいる女性が、最後の最後に正義を取り戻そうとしている物語です。そこが面白い。そこに惹かれて映画を撮ったようなものだよ。キャスティングについては――ヘレン・ミレンが最適であることは、天才じゃなくたってわかることだろう(笑)? 普段しているように、まず彼女に脚本を渡して、その後に実際に会って一緒に脚本を読み、彼女のほうからアイデアも出してもらって、リライトを重ねたこともありました。シーンによっては、「もっと書き直したほうがいい」とか、そういうこともあったよ。「このシーンは要らない」、「このセリフはカットしたほうがいい」とかね。彼女の言っていることは本当に勘がいいので、だからこそ大女優だと思ったよ。その作業は、対話だったよ。

撮影している時は自分が今何を撮っているか、この場面では何を語っているか、何を伝えているか、ちゃんと登場人物の感情が出ているかどうか、そういうことに気を配っていたかな。でも、アドリブのような即興は大歓迎で、ヘレンがメガネを取ってプッとつばをつけるシーンは彼女の即興だったよ(笑)。

 

■ 一番好きなことは演劇で、その次がテレビ、映画。その順番で取り組んできた

IMG_8276最初は映画監督になろうと思ったわけじゃなくて、まず一番好きなことは演劇で、その次がテレビで、その次が映画、その順番で取り組んできました。

『マリリン 7日間の恋』(11)の時もそうでしたが、映画を監督する際は自分で題材を見つけてきて、「これは映画になる!」という感想をまず持てれば映画化への検討を始めます。この『黄金のアデーレ 名画の帰還』は、俳優たちが飛びついてくれる役柄もあると思いました。

僕は、すべてをまとめる作業が好きでね。キャスティングをして、デザイナーといろいろな衣装の話をして、最高のアイデアをいくつも出していく過程が気に入っています。今回は、夢のような撮影現場で、全員が素晴らしくて、とっても楽しめた。最後の日には、カットという言葉をかけたくなかったよ。終わってほしくなかったからね。

 

■ 自分以外には語れないストーリーと出会うと、映画を撮りたいと思う

自分が映画を撮りたいと思うような作品は、自分以外には語れないストーリーだと自然に思う。たとえば脚本を読み、僕じゃなくてもいいじゃないかと思うものもあるけれど、『マリリン 7日間の恋』(11)も今回の映画も、僕が撮れば自分の個性が出せると思いました。その理由ははっきりとはわからないが、何か温かさなどが基準にあって、家族への愛、そういうことが前提としてはあるとは思うよ。

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女性が主人公の気持ちを扱うことについては…それ以前に男性にしても女性にしても、キャラクターの中にその人を見出すことが自分の仕事だと思っています。それに今まで大勢の男性や女性を演出しているしね。ただ、女性が主人公と言っても、ある見方をすれば、『マリリン 7日間の恋』(11)の場合、エディ・レッドメインの役が主人公にもなり得て、今回で言えば、ライアン・レイノルズの役が主人公と言ってもいいと思う。

 

■ 自分が情熱を注げるストーリーを見つけ、映像化へ向けて努力をすること

映像クリエイターを目指している方には、とにかく自分が情熱を注げるストーリーを見つけることで、それを映像化する方向に持っていくように努力しなければいけないと言いたいです。それは自分が情熱を持てるだけの内容じゃダメで、人様にも観てもらえるものでなくてはならない。難しいけどね(笑)。題材はね、どこで見つけるの? とよく言われるけれど、『マリリン 7日間の恋』(11)は書店で原作本を買っただけで、今回の作品はBBCのドキュメンタリー番組を観ていい題材だと思っただけでね(笑)。だからどこにでも転がっているはずさ。アンテナを広げて、世の中を見渡してみてください。


■作品情報

『黄金のアデーレ 名画の帰還』
11月27日(金)全国ロードショー

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監督:サイモン・カーティス『マリリン 7日間の恋』
脚本:アレクシ・ケイ・キャンベル
出演:ヘレン・ミレン『クィーン』 ライアン・レイノルズ『あなたは私の婿になる』 ダニエル・ブリュール『ラッシュ/プライドと友情』

配給:ギャガ

■オフィシャルサイト

http://golden.gaga.ne.jp/

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サイモン・カーティス

イギリス生まれ。ロンドンとニューヨークで舞台演出家として活躍。後に『リトル・ヴォイス』として映画化された舞台「リトル・ヴォイスの栄光と挫折」を演出した。その後マギー・スミス、イアン・マッケラン・ダニエル・ラドクリフが出演したBBCTV映画「デビッド・コパーフィールド」(99)や、ジュディ・デンチ、マイケル・ガンボンなどが出演し、エミー賞と英国アカデミー賞を受賞したテレビシリーズ「クランフォード」(0709)などを監督した。『マリリン 7日間の恋』(11)で長編監督デビュー。本作において、アカデミー賞で2部門、ゴールデン・グローブ賞で3部門、英国アカデミー賞で6部門にノミネートされ、主演のミシェル・ウィリアムズはゴールデン・グローブ賞とインディペンデント・スピリット賞を含む12の映画賞で主演女優賞を受賞した。

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