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東京マイルドファウンデーション 代表取締役 橘 健一さん

広告代理店アイレップでダイレクトマーケティングに基づく広告企画提案、実行を担当し、その後、FOXインターナショナル・チャンネルズ(以下FOX)に入社した、橘さん。同社ではTV、Webを横断したグローバルキャンペーンの企画立案をはじめ、動画アドネットワークの商品開発などを担当したという経歴からは、クリエイターと言うよりも「敏腕マーケッター・広告ディレクター」という肩書が似合いそうです。現在は動画広告の企画立案、制作を主業務とする東京マイルドファウンデーションの代表取締役であると同時に、自ら動画を制作するクリエイターでもある橘さんにお話を伺いました。

 

■ クリエイターが置かれた現状を変えていきたい

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学生の頃からDJをやっています。周囲にはデザイナーやミュージシャンがたくさんいました。ただ、就職を考えたときに僕自身は、クリエイターになるのではなく、ビジネスマンの道を選びました。きっぱりクリエイティブとは縁を切ろうと。ただし、縁を切るからにはビジネスマンとして、トップを目指そうと考えたんです。入社した会社は不動産仲介業でした。それもWeb業界の企業を専門に顧客にする会社でした。そこでWeb業界の様子を見ていたのですが、その時の顧客にアイレップがありました。縁があってアイレップに入社して、クリエイティブに触れる機会が少し戻ってきました。ただ、そこでも直接クリエイターとやり取りすることはないんです。アイレップはダイレクトマーケティングを得意とする代理店でしたので、とにかくそこではマーケティングを勉強しました。そうするうちに「次はメディアで働きたい」と思うようになったのです。そこで転職したのが、FOXインターナショナル・チャンネルズでした。FOXに入社した段階では、「3年で独立しよう」と心に決めていました。というのも、やはりクリエイティブに関わって生きていきたい、イケてるクリエイターと仕事をしたいという気持ちが強くなったんです。また、一部のトップクリエイターを除くと、クリエイターにその働きに見合ったお金が落ちていないという現実が見えてきました。その現状を変えたいという気持ちも大きかったのです。

いま、残念ながら、クラウドソーシングなどの負の面もあって、クリエイティブの値段が下がっている側面もあります。自分の価値がわかっていないクリエイターが、ビックリするような安い値段で仕事をして、「この値段でできるんだ」とクライアントも感じてしまっています。それではクリエイターになりたいという人が減ってしまいます。イケてるクリエイターも、喰えなくなってしまうのです。

 

■ クリエイターになることは簡単な時代

市場が活性化している動画広告を事業として進めていこうと、現在の会社を設立したのですが、いまは自分自身でも映像を撮っています。クリエイターと話すには、共通の言語がないと話ができない。その共通の言語とは何かというと、同じ経験から生まれてくるものなのです。カメラの扱い方にしても、実際に自分で使っていないとニュアンスもわからない。クリエイターとの距離を縮めるには、自分でも撮らないとダメだと感じました。

いまは誰でもすぐにいいモノが撮れる時代です。高機能のカメラも手ごろな価格で手に入るし、編集や画像加工も簡単にできてしまう。そういった意味では、クリエイターになることそのものは難しくないんです。昔なら、映像クリエイターになりたかったら、テレビにしろ、映画にしろ、広告にしろ、制作会社に入社するか、その道のプロに自分の作品を見てもらい、評価してもらう必要があった。まず”自分の作品”を生み出すことが大変で、しかも、見てもらうのも難しい。ところがいまは、簡単に自分の作品を作ることができる。そして、SNSを活用すれば、自分の作品をプロに見てもらうことも難しくない。この見てもらうというのはとても大事で、友達ではなく赤の他人、自分がイケてると思うクリエイターに見てもらわなければならない。それができる環境は今、整っているんです。だから、クリエイターになることそのものは難しくはないんです。

 

■ 地に足が付いたクリエイターこそが、イケてる

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クリエイターになることは簡単です。極端な話、名刺にクリエイターの肩書きを書けばいい。でも、本当はそうではなく、他人からクリエイターと呼ばれることが重要なんです。僕が大学時代から続けているDJも、名乗れば誰でもDJだと言えます。でも、自分でターンテーブルを買って、レコードを何枚も買って、現場に頻繁に顔を出す。そういった地道なこと、ある意味、しんどいことをやっていないと土台がない、根っ子がない”名ばかりのクリエイター”になってしまう。名実共にクリエイターになるには、やりたいことをやるだけではなくて、自分の根っ子を作る努力をしなければならないんです。

クリエイターには技術もセンスも必要ですが、一番大事なのは”ルーツ”、根っ子です。自分の言葉で話すことができるか、一本筋が通っているか。その根っ子があるということは、”自分の価値をわかっている”ということにもなります。ただトガっているだけでも足りないんです。そういった地に足が付いたクリエイターこそ、イケてるクリエイターだと思っています。

 

■ ドキュメンタリーを3000本撮る

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いま映像制作や動画広告を事業としてやっていますが、実は本当にやりたいことはドキュメンタリーを撮っていくことなんです。クライアントありきの映像制作で利益を上げて、ドキュメンタリーを撮る。そしてクリエイターに適切なギャランティを還元していく。当面の目標は、3000本のドキュメンタリーを撮ることです。高いクオリティの映像コンテンツを3000本、ライセンスごと自社で保有すればメディアとしてのポジションニングも可能になります。

なぜドキュメンタリーかというと、対象となる人やモノである程度のクオリティが担保できるという面もありますが、一人の人物や街を丁寧に掘り下げて撮った映像は風化しないコンテンツになると考えているからです。いま日本には飛騨高山の山中和紙、沖縄の紅型など、残さなきゃいけない資産がたくさんあります。そういったものをドキュメンタリー作品として発信していくことで多くの人に興味を持ってもらい、次世代に繋いでいく一役を担うことができるのではないかと考えています。

僕自身は、自分でも映像を撮っていますが、基本的なスタンスはクリエイターを手助けしていくところにあります。たくさんのイケてるクリエイターにも繋がることができれば、僕らのドキュメンタリー事業も大きく加速すると思っています。

大学時代の自分は、まさか将来、自分が映像を撮るとか、クリエイターを手助けしようと考えるなんて予想もしていなかったです。こう考えるようになったのは、新卒で就職した不動産会社での経験、アイレップでの経験、FOXでの経験がすべて融合したからだと思います。それが僕自身の”ルーツ”なのかもしれませんね。


 

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元FOX TVの制作メンバーを中心に構成された動画領域のスペシャリスト集団。

CF制作、動画広告専門のTrading Desk「Mild Netowrks」を運営し、制作から配信までワンストップで行う。

街と人をテーマにしたドキュメンタリーチャンネル「walk3000」を自社メディアとして展開中。

Tokyo Mild Foundation

http://tokyomildfoundation.com/

Walk3000

http://walk-3000.com/

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橘 健一(たちばな・けんいち)

1982年新潟県生まれ。㈱irepにて、総合通販会社への ダイレクトマーケティング活動に従事した後、2011年FOXインターナショナルチャンネルズへ入社。
TV,WEBを横断したグローバルキャンペーンの企画、映像コンテンツ制作、動画アドネットワークの商品開発を担当。
2014年、WEB動画市場にフォーカスすべくTokyoMild Foundation㈱を設立。同社代表取締役。好きなお酒はウーロンハイ。

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