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「ファイナルファンタジー」シリーズ初の実写ドラマ化について、光のぴぃさんに聞く

「ファイナルファンタジー」シリーズ初の実写ドラマ化としても大きな話題となっている『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』。ドラマの原作となるのは、様々なジャンルのオンラインゲームやプラモデルなどを題材とするブログ『一撃確殺SS 日記』(http://sumimarudan.blog7.fc2.com/)。『光のお父さん』はそのブログの記事のひとつ。ブログの作者マイディーさんと父を巡る実話をベースとしたこの記事は大きな反響を呼びました。

今回のドラマ化に際して、最初の企画段階からシナリオ、ライティング、現場でのことから最終的な宣伝まで全てに携わるのが、ブログ『一撃確殺SS 日記』にも登場する、光のぴぃさん。自身もオンラインゲームのプレイヤーという光のぴぃさんだからこそできた、本作のドラマ化について、制作にかける想いなど…お話を伺いました。

塚本晋也さんと共に映画制作をしていた大学時代

大学の頃から映画を撮っていて、塚本晋也さんと一緒に『鉄男』(1989年)というタイトルを作っていました。当時、塚本さんが並行して撮っていた『電柱小僧の冒険』は、1988年度の「ぴあフィルムフェスティバル」のグランプリを獲得します。『電柱小僧の冒険』には僕は関わっていないのですが、『鉄男』を作り終えた後に、塚本さんと共に次の映画の話もしていました。そのような大学時代を経て、映像の仕事をしていましたが、今は、ゲームの制作会社で働いています。

そんな中、INSIDEというゲーム記事を扱うメディアで興味深い記事を発見しました。それは、様々なジャンルのオンラインゲームやプラモデルなどを題材とするブログ『一撃確殺SS 日記』の作者マイディーさんとそのお父さんが、オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の中でインタビューに答えているものでした。

ゲームの中でインタビューを受けるって、どういうことだ?!と興味を惹かれまして(笑)そこからブログ『一撃確殺SS 日記』を読んでみたんです。そこに描かれているマイディーさんとお父さんを巡る実話をベースとした記事に共感したのは、僕自身がオンラインゲームのヘビープレイヤーだったからだと思います。500日で2500時間以上プレイするほどの、おかしいレベル(笑)だったんです。

でも、だからこそ共感して、映像化の打診でマイディーさんにメールをしたのが、本ドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の始まりです。後はマイディーさんと共に、「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサーの吉田直樹さんに映像化の許諾をいただくためにスクウェア・エニックスに行き…という流れで、ドラマ化に向けて、動き出していきました。

ゲーム内パート、実写パートの融合

光のお父さん1「ファイナルファンタジー」シリーズ初の実写ドラマ化である『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』では、もともとゲーム内パート、実写パートを融合させて作ろうとしていました。

実写パート(現在、回想)、ゲームパート(エオルゼアパート)の3つの世界だと思っていたら、実写パートで千葉雄大さん、大杉漣さんがゲームプレイの演技をする際に映りこむ“ゲーム画面パート”も必要だということに、気が付きました。

撮影が始まる2~3週間前まで、千葉さん、大杉さんに現場でプレイしてもらうイメージでいたんです。実際に貸し出し用のマシンも準備して、アカウントも作成してお渡ししていましたが、やはり時間がなくて、ヘビープレイヤーになるほどの時間は確保できませんでした。あと、実際の撮影の時間も短くて、現場でPCを立ち上げてログインするのに5分かかったとして、カットの切り替わりごとに10回やったら50分になります。

結果、ゲームをプレイすることはできないという判断に至りました。僕らは画面を映して動かして、キャラクターをたくさん用意しておいて、シーンに合ったキャラクターを動かしてもらうイメージだったんですが、それができないということが分かったので、結局、ゲーム画面パートは全てマイディーさんが作り、ムービーで映すことに。

ゲームパートを通常、稼働しているサーバー内で撮影しようというのも最初から決めていました。マイディーさんと吉田直樹さんと会った時に、その話をしています。吉田さんに、「一般のプレイヤーも映りこむし、そんなことして良いんですか?」と聞いたんです。そしたら「何が悪いの?」と言われまして(笑)「やって良いんだ!」と驚きました。

このゲームパートの面白さは、プレイヤーが役者として自分自身を演じているところや、チャットもほとんど全部マイディーさんが打っているところです。
そのぐらい世界が作りこまれているので、それをどう伝えるか考えた時に、スクウェア・エニックス側に撮影用のサーバーを用意してもらったりはせずに、通常のサーバー内でそのまま撮影した方が良いのではないかと思いました。

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監督も記者会見で話していましたが、スクウェア・エニックスが作れば、凄いものが必ず作れるから、誰もびっくりしないんです。でも僕らは、生のゲームの部分が凄いと思っているので、そうである以上、協力を得ないというところに持って行かないと誰も驚かないと思いました。それはスクウェア・エニックスの皆さんは抵抗があったと思います。自分たちがやればもっと良いものができるはずなのに、それを許した心意気は凄いと思います。「ファイナルファンタジーXIV」はクオリティを追求したゲームで、常に最高のクオリティを求めている方たちがそれを許したところに僕らはとても感動しました。

“ゲーム愛”にどう応えるか

「ファイナルファンタジーXIV」に触れていて常々思うことは、スクウェア・エニックスの皆さん、プレイヤーの皆さんが持つゲーム愛の凄さです。そのゲーム愛にどう応えるかを常に考えながら『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』を制作していました。

多数のユーザーが愛を持ってプレイしているので、その気持ちを利用するようなことはしてはならないし、僕らも深い愛と理解と尊敬でこのタイトルを扱わなければいけないと思ってやってきました。人気のあるものにのっかろうとする気持ちでは上手くいかないと思います。

今回の『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』に関しては、最初から最後までやってみました。企画もシナリオ、ビジネススキームもやって、現場にも毎日行って、ゲームパートの撮影もほとんど携わっています。そして、放送前の宣伝にも関わっているので、最初から最後まで全部やって、納得する形で作品として送り出すことができたと思っています。

僕自身がオンラインゲームのプレイヤーで、プレイヤーの気持ちが分かる、ということもあると思いますが「ファイナルファンタジーXIV」も本当に楽しんでプレイしています。今僕のレベルは56か7なのですが、職人として甲冑を作ったり、服を作ったりしているんです。その職人仕事で儲けたお金でマンションが買いたくて。でも「クエストをやらずにお金だけ貯めているから売ってあげない」って言われてショックでした(笑)

そんな風に、「ファイナルファンタジー」は本当に”もう一つの世界”で、そこで出会って結婚する方たちもいますし、1年も続けたら資産もできて、その世界から引退できないですね(笑)

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“ドラマとして”の覚悟を背負った『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』

今回の『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』のシナリオは第1稿で21回書き直しているほど、試行錯誤を重ねたものでした。ゲームの画面と実写の画面の割合は、どのくらいが良いか等、皆で何度も話し合い、調整していきました。

シナリオ開発時には、ゲームの画面だけを1分以上続けて見せるのは厳しいと考えて、1分以上ゲームの画面が続かないように等考えていたのですが、テスト版を見たら意外と大丈夫なんじゃないかとか。そこに最初に気が付いたのはMBSの皆さんでした。普通のCGだとしか思わないから、何が起こっているか、製作委員会のメンバーも理解しきれていない部分があって。でも製作委員会の全員が、ゲームの中でこの映像を撮るというのは前代未聞で、とんでもなく凄いことだと気が付いてくれて、そこから、シナリオの作り方も変わっていったと思います。

そして、親子関係やお父さんのキャラクターも再三変わりましたね。お父さんがもっとエキセントリックな人だったり、親子関係も口もきかない程というシナリオもありました。全くリレーションがない親子が最後に仲良くなると考えていたパターンもありましたね。

そのような試行錯誤を重ねたのは、ゲーム好きな人だけに向けたものになってはいけない、しっかりしたドラマを作らないといけないという覚悟を持っていたからこそです。

お父さんと息子が、深い話はしないけれど、仲が悪いわけではない…共感を得やすい関係性に落ち着いたのも、皆でお父さんのエピソードトークを積み重ねて、考えていった結果です。そのような共感を得やすい部分があると、普通のドラマ好きの方にとっても、作品の世界に入ってもらいやすくなります。

あと、ステレオタイプにしたくない、という気持ちもありましたね。ゲームプレイヤーをドラマで扱う時は、1日何時間もプレイする引きこもりのような描写になりやすいんです。でも、実際のゲームプレイヤーの大多数は普通の人なんです。プレイヤーの多くはそういう型に嵌った偏見にうんざりしています。そういう描き方ではなくて、どう普通の親子を描くかに苦心しました。

本作もそうですが、ものづくりをするには、多大な時間がかかり、紆余曲折もたくさんあります。でも夢はゆっくり叶うと思います。これから携わりたいという方は、焦らずに忘れずにゆっくり自分の腕を磨くしかないような気がします。

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作品情報

光のお父さん

『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
MBS、TBS “ドラマイズム”枠ほかにて放送
MBS 4月16日(日)スタート 毎週日曜 深夜0時50分~(初回は深夜1時15分~)
TBS 4月18日(火)スタート 毎週火曜 深夜1時28分~(初回は深夜1時43分~)
※放送時間は変更になる可能性がございます

■『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』 公式サイト
http://hikarinootosan.jp/
■『一撃確殺SS 日記』
http://sumimarudan.blog7.fc2.com/


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© 2017『一撃確殺SS日記』・株式会社スクウェア・エニックス/
『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』製作委員会
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170412_profile

光のぴぃさん

大手電機メーカー勤務を経て映像の世界に。
現在はゲーム制作会社たゆたう所属。

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