たった6秒でクスっと笑えて欲しくなる『6秒商店』が話題!スマホを置くとパッと魔法陣が光り充電が始まる「魔法陣充電器」は再生回数1500万超え。こんなオモシロ雑貨がギュッとつまった6秒商店を仕掛けたのは、「忍者女子高生」で大きな注目を集めたバズマシーンこと栗林和明さん。
“世界一新作が楽しみな雑貨屋を作る”と意気込む栗林さんに6秒商店のアイデアや商品化のプロセス、そして「動画×雑貨」という新しいコミュニケーションについて伺いました。

プランナー/バズマシーン 栗林 和明(くりばやし・かずあき)
1987年生まれ。2011年博報堂入社。2017年CHOCOLATE inc.へ。総再生回数 “3億突破”。話題の量・質・精度を高める。
-2016年JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー最年少メダリスト受賞
-2017年米誌 AdAge「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」に選抜
-カンヌGOLD、ACCグランプリをはじめ、60 を超える海外賞を受賞

世界中の人々に衝撃を与えたい―「動画×雑貨」で挑む新たなコミュニケーション

――2018年9月にオープンした『6秒商店』がすごくシェアされていて、大変注目されていますが、これを始めたきっかけは何ですか?

何よりもまずは楽しいコンテンツを作り、“話題を生み出したかった”という点に尽きます。

ソーシャルメディアを通じてどれだけ世界に轟く話題を生み出せるか、あらゆることを考えてきました。これまで広告という枠の中で、既に存在するものをうまく見せて拡げようとしてきましたが、なかなか振り向いてもらいにくいんです。
瞬発的に話題になっても、あとが続かないことが多くて。
本当の意味で世の中を騒がせるものって何だろうと考えてみると、それって人の行動や、生活を変える商品、サービスだなという結論になった。
じゃあ、自分たちで作ろう、となって、6秒商店をスタートしたんです。

――今後6秒商店で紹介されたグッズは商品化されるんですか?

基本的には先に映像を作って、反響があったら商品化すればいいというスタンスでやってます。とにかく心が疼くコンテンツを世の中に投じて話題を作りたい、人々の生活を変えるほどのインパクトを与えたい、まずはそれをこの6秒商店で実現したかったので。
でも最近、商品化第1号として「魔法陣充電器」の販売をスタートしました。
まずは中国での限定販売ですが。

――「魔法陣充電器」は再生回数が1500万以上を超えてましたよね。インパクトある動画だと思いました。すごい反響でしたね。

あの映像を公開した後、面白いぐらい世界中から問い合わせが来たんです。うちで作らせてほしいとか、とりあえず10万ロット注文したいとか、とりあえず「3000万円支払う」とか謎なオーダーまで(笑)、いろいろ来ましたね。

その中で一番面白かったのは、台湾と深圳、2つの企業から「プロトタイプを作ってしまいました」という連絡をもらったんです。
そして、このまま黙って売るのはうちに対して申し訳がないので、誠意として、オフィシャルライツパートナーとして提携させてほしいという申し出をいただいて。実際にその一社と提携して商品化を進めたんです。

ゆくゆくは、アメリカと中国にも支社をおいて、世界中で売るための体制を整えていきたいと計画しています。
特に中国はコンテンツ大国と化していて、マーケットがとてもアツい。ビジネスとして大いにチャンスがあると思っています。

――海外の企業と進めているというのは意外でしたし、商品化のきっかけすらもネタのような展開で面白いですね(笑)。では、今後は商品販売も手掛けていくわけですね。

そうです。来年は売上目標10億円を目指します!…というのは無謀だと分かっているんですけどね(笑)。
僕らはとにかく面白いものを作って、世界に衝撃を与えたいという想いでやっています。お金儲けをしたいというわけではないですが、プロダクトで収益がきちんと出れば、次にもっと面白いコンテンツ作りに投資できる。そうしたらもっといろんな人からアイデアがバンバン出てきて、それを集めて商品化できる環境が出来上がる。そういう期待を込めての10億円です。

「尖った企画屋」たちが集うブレインストーミングは“最上級のエンターテインメント”

――6秒商店はどのように運営されているんですか?

そもそもの“6秒商店”という構想自体は僕が3年前くらいから考えていたのですが、企画をメインで担当しているのは僕だけでなく、企画作家の氏くん、ディレクターの森翔太さんをはじめとした複数人のプランナーチームという体制でやっています。さらに、毎回ゲストを招いているんです。例えば、ある広告会社のプランナーや、すごくセンスのある学生の方が「面白そう、参加したい」と言って参加してくれたりとか。

そうした人達と知恵の出し合いをすればするほど、企画屋としてどんどん磨かれていき、またどんどん面白いものが生まれる、という好循環ができるんじゃないかなと思うんですよね。

ブレインストーミングなんて、もう最上級のエンターテインメントです。参加者みんなの“脳内引き出し”の中にある面白いアイデア、最近の注目コンテンツ、とかとかの出し合い合戦が始まって(笑)。それが超楽しいんです!
時間があまりないと「10分ブレスト」というのもやったりします。10分でなんとか1人10案出し切る、というルールで、基本ぐちゃぐちゃなアイデアが出てくるんですが、その断片が意外とみんなの脳みそを刺激したりしてすごくいいんです。

――そういうワイワイと楽しい場から出るアイデアだからこそ、6秒商店のラインナップはどれも尖った面白さがあるんですね。一度見ると、「次はどんなものがアップされるのかな」と期待値が高まってきます。

今は月6本の動画アップを目指して作っています。本当は毎日アップしたいくらいなんですが、社内のリソースのキャパからすると、これくらいが今のところ限界。
今後はさらに人員を増やす予定なので、社内でもっとスピーディーに量産できるようになると思います。商品化のスピードは重視していて、6秒商店で目指しているのは、“生まれたアイデアが爆速でカタチになること”なんです。それは元々僕がすごくやりたかったことで。

今後は6秒商店を、関わった人すべてが楽しめる遊び場であり、世界一新作が楽しみな雑貨屋に育てていきたいんです。毎日面白い動画が次々とアップされて、どれも欲しい、もしくは、欲しくないけどシェアしたい、そんな雑貨屋って、まだ世界中どこにもないみたいなので。

圧倒的な企画力を持った人達を集めて、ワイワイ楽しみながら出てきたアイデアをカタチにしたら絶対いいものができるという確信があります。
いいアイデアを持っていても、それをカタチにする場所って、実はあまりなかったりする。でもここならみんなでアイデアを出し合えて、それを実現して見た人を楽しませる、そんな状況ってすごく面白いなと思って、そういう遊び場を作りたい!という強い想いが6秒商店には込められています。

僕たちが狙っているのは、「ピクサーを超えること」。
ピクサーって、世界で一番、人々をワクワクさせるコンテンツメーカーだと思っていて、そんなピクサーを超えたいと本気で思っています。
では、どうやって超えようとしているかというと、あらゆるカルチャーを融合させることで実現できるんじゃないかと。

映画、ゲーム、マンガ…とそれぞれのジャンルでは、すでに先人たちが草分けをしてくれたお陰でコンテンツをを生み出す知恵が成熟しています。僕らはそれを融合させることで新たなフォーマットを生み出していく。そんなことにどんどんチャレンジしていきたいと考えています。

撮影:SYN.product/取材・編集:岩淵留美子(CREATIVE VILLAGE編集部)