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YouTubeに次ぐ視聴者数で独走中のAbemaTVが目指すものとは? 株式会社AbemaTV 編成制作本部・制作局長 谷口達彦さんインタビュー

開局から約2年の間に数多くの話題番組を生み出してきた「AbemaTV」。
最近では10代から圧倒的人気を集めた恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない♡』シリーズや20代の社会人の間で話題となった『会社は学校じゃねぇんだよ』など、若者が熱狂するオリジナル番組に注目が集まっています。

今回はAbemaTVの編成制作本部・制作局長である谷口達彦さんに、今後の戦略や番組編成に於けるこだわりなどについて伺いました。

谷口 達彦(たにぐち・たつひこ)
株式会社AbemaTV 編成制作本部・制作局長
2006年、新卒でサイバーエージェントに入社。社長室を経て、「Ameba」の宣伝担当、2011年にアメーバ事業本部マーケティング・プロモーションDiv ゼネラルマネージャー。
2013年に株式会社アメスタを設立、代表取締役社長に就任。
現在は株式会社AbemaTV 編成制作本部・制作局長として、「AbemaTV」オリジナル番組制作の責任者を務める。

まずはAbemaTVを見てもらうための話題づくりが重要

――サイバーエージェントに入社されてからのご経歴を教えてください。
最初は社長室という新規事業に携わる部署を経て、AmebaのPR全般を担当していました。その後は自分で事業をしてみたいという気持ちもあり株式会社アメスタという子会社の社長を任されました。アメスタはタレントファンミーティングプラットフォームを運営する会社でした。

サイバーエージェント本体に戻ってからは「FRESH!(現在のFRESH LIVE)」という動画配信サービスの立ち上げに携わりました。そしてAbemaTVも立ち上げから参加して今に至ります。

――現在AbemaTVでは制作局長という肩書きでいらっしゃいますが、具体的なお仕事としてはどのようなことをされていらっしゃるのでしょうか?
大きくはオリジナル番組の編成制作です。ただ番組をつくって終わりではなく、広報や宣伝の部署と連動しながら番組を流行らせるための仕掛けから番組を企画するということをやっています。

みんなに何となく見られるものより、誰かが強烈に見たいものをつくる

――SNSなどでどう話題にさせるかから番組制作がスタートすることもあるんですか?
そういう場合もあります。ただ、内容はおもしろいのに多くの視聴者に届かずに終わっていくコンテンツも少なくはなく、単純におもしろいだけだと、なかなか視聴者には見てもらえないのです。なんとなくみんなに見てもらえるようなものよりは、誰かにとって強烈に見たいものをつくりたいと思っています。それを実行していくことで、制作者の熱が番組を通して伝わり、視聴者の感想や情報がコメントを通してネット上にこぼれ出ていくことで、自然と番組を知らないたくさんの人に気づいてもらえるというような構図を目指しています。

――そういった企画はどういうところから生まれてくるものなんですか?
毎週「トンガリスト会議」という企画会議をやっていて、そこから生まれることが多いです。誰かが強烈に見たくなる、話題にしたくなるような尖った企画を出す、というコンセプトのもと社長の藤田とプロデューサーを中心に「何が当たりそうか」というヒットパターンを模索しつつ、新たな企画を毎週出し合っています。

若者向けのメディアを目指して

――AbemaTVのターゲットは若年層がメインですか?
基本的にはそうですね。どの世代にもうまく適応した、誰が見ても問題ないものじゃなく、若者から「自分たち向けのメディアだな」と思ってもらえるマスメディアを目指しています。オリジナル番組を制作する場合は、特に若い人達のコミュニティーで起きている現象やインターネットの潮流を意識しながら「若者のリアリティ」を、ごまかさずに本質を突けるように意識しています。
あとは「またAbemaTVおもしろいことやるな」というような期待感をまとい続けたいという想いもあります。

――競合他社との差別化は意識されているのでしょうか。
よく地上波との対立構造で語られますが、競合だという意識はないんですよね。テレビ朝日さんから出向しているプロデューサー陣が制作をしていますし、テレビ朝日さんとはむしろ「一枚岩」と銘打って、地上波とターゲットを上手く棲み分けながら連携してやっています。他のオンデマンドサービスも基本的には有料型なので、僕らが狙っているユーザーの視聴習慣とはまた別だと考えています。

ですので他のメディアに対抗意識を持って何かをつくるというよりは、フロンティア精神を持って、ユーザーと一緒に答えをつくっていくという発想でやっています。

――テレ朝さんと一緒にやることでテレビの良さも取り込めるっていうのはAbemaTVさんの強みでもありますよね。
そうですね。ニュースチャンネルで放送している緊急ニュースなどの報道力に関してもそうですし、そもそもテレビの制作クオリティで開局当初から番組をつくれているので、AbemaTVの強力な武器となっています。

――自由度的にはテレビより高いですよね。
当然そうですね。『72時間ホンネテレビ』などの長尺バラエティ番組や、将棋の対局も10時間以上生放送したり。また、相撲に関しても高齢者の方が慣れ親しんだ番組演出に工夫を加えて、若者向けにクリエイティブを変えて格闘ゲームのように見せたり。AbemaTVはリアルタイムとオンデマンドを兼ねているので、それらの特性をうまく使った番組が当たってますし、そういった自由度はすごくありますよね。番組企画の決定スピードも早いです。

(C)AbemaTV

――最近特に話題になった番組を挙げていただくとしたらどのようなものがあるでしょうか。
去年から放送はしていた『オオカミくんには騙されない♡』という恋愛リアリティーショーは大反響で、ティーンが一番見たい番組ランキングで1位になりました。あとは最近まで放送していた『会社は学校じゃねぇんだよ』というオリジナルドラマがすごく話題になりました。

(C)AbemaTV

「これでAbemaTVを判断してもらって構わない」という覚悟で制作したドラマが大反響

――全てAbemaTV制作のオリジナルドラマですよね。
『会社は学校じゃねぇんだよ』の原案は社長の藤田がインターネットベンチャーのリアルを描きたいというところからスタートしました。彼が実際会社を起業する際に起きた数々のエピソードをドラマにしたときに、多くの人の心に訴えかけるんじゃないかということで、僕たちも相当ワクワクしながらつくっていました。

(C)AbemaTV

冒頭に「熱狂する全ての若者に捧ぐ」というコピーを入れて放送していますが、僕たちもそういう熱量で「これでAbemaTVを判断してもらって構わない」という覚悟で挑んだら、特に働き始めたばかりの20代の若者を中心にすごい反響で人気に火がついて。SNSで「会社は学校かどうか」の議論になったり、現実社会でムカっとする人をドラマの登場人物に投影しながら見てスッキリしてくれたりとか、そういう現象が生まれましたね。

――SNSで話題になるような企画も仕掛けていたんですか?
もちろん番組を観ながら感想がネット上にこぼれ出やすいつくりは意識していました。ベンチャー企業のリアルに徹底的にこだわりながら、ドラマとしての劇的な演出も入れることで突っ込みどころを多くしたり。一方で滑稽になりすぎないように映画のような品質で撮るという、そのバランスもすごく意識しましたね。あとは宇野実彩子さん演じる華子という社員が死んでしまう回は、魅力的で共感を集めていた役柄だったので、炎上することを予想して、事前に華子の名シーンを詰め込んだ動画を用意し、衝撃的なシーンの後にすぐ展開したり、“華子ロス”に応えるということもやりました。ユーザーの反応と連携してアクションしていくというのは大事ですよね。

――他にはどんな点を意識して制作されましたか。
インターネットで見るときにはテンポがすごく重要ですね。何も起こらずに2時間というのは視聴スタイル的にも厳しいので、1話30分なのですが60分ぐらいの台本を凝縮して詰め込んでいる感覚というか。5分に1回何かが起きるようにしたり。物語の展開の早さはかなりこだわりました。

――展開が早い分、山場をたくさんつくれるし長期間のストーリーも描けると。
そうですね。あとはリアルタイム視聴をしてもらいたい一方で、オンデマンドで見てもらうことももちろん想定していて、尺の長さも色々とチャレンジしています。今回に関しては大体30分前後ということで制作者の自由度も残していて、31分のときもあれば39分の回もあります。今後、もっと短い15分というのいいなとも考えています。オンデマンドで10分台の作品を見ていたらどんどんハマって、気づいたら思わず何本分も一気に見ていたというような視聴体験もあるので。そういう新たな試みには積極的にチャレンジしていきたいなと思っています。

――今後のAbemaTVの目標を教えてください。
AbemaTVは約20チャンネル以上の番組を全て無料で視聴できるサービスです。それがアリかナシかわからない状態で開局して2年が経ち、おかげさまで概ね順調に成長し、マスメディアになるための挑戦権は得ることができたと感じています。マスメディアの定義として、1週間に1000万人アクティブユーザーがいる状態を一つの目安にしているのですが、現状まだその道の途中なので、早くそれを達成するために皆で一丸となって、この50年に一度の機会に熱狂し続けたいと思っています。

――ありがとうございました。

インタビュー・テキスト:上野 真由香/撮影:TAKASHI KISHINAMI/企画・編集:市村武彦(CREATIVE VILLAGE編集部)

企業プロフィール

「AbemaTV」は、”無料で楽しめるインターネットテレビ局”として展開する、新たな動画配信事業。
2016年4月に本開局し、オリジナルの生放送コンテンツや、ニュース、音楽、スポーツ、ドラマなど多彩な番組が楽しめる約20チャンネルを全て無料で提供し、利用者を伸ばしています。
登録は不要で、スマートフォンやPC、タブレットなど様々な端末でテレビを観るような感覚で利用することができるほか、「Amazon Fire TVファミリー」や「AndroidTV」など主要なテレビデバイスにも対応しています。
その他にも、通信量を半分に削減可能な「通信量節約モード」や見逃した番組をいつでも楽しめる「Abemaビデオ」のテレビデバイス対応など、楽しみ方の幅を広げ、利便性を高めるための取り組みも積極的に行っています。
また、Google Play「ベスト オブ 2017」エンターテイメント部門&ユーザー投票部門 アプリ大賞をタブル受賞、App Store Japan「BEST OF 2017 今年のベスト」に選出されたほか、「日経エンタテインメント!」2017ヒット番付にて「西の横綱」、『デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘17/第23 回AMD アワード』において、年間コンテンツ賞「優秀賞」を受賞いたしました。

https://abema.tv/

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