さまざまな映像手法がWebでも活用され始めている中、近年では動画プラットフォームやSNSの発展の後押しもあり、企業が自社やプロダクトについてWebドラマを制作する機会も増えています。しかし、Webドラマ制作依頼が増加する中で、「質の良いドラマはどう作るべきか」「視聴者の心に刺さる動画とは何なのか」と頭を悩ませている映像プロデューサーも多いのではないでしょうか。

情緒的価値の高いWebドラマ制作を目指すのであれば、オーディションの開催によってキャストを自身の目で選定することをおすすめします。なぜWebドラマのキャスティングにおいて、オーディションが重要なのでしょうか。オーディションするうえでのポイントとWebドラマ制作における情緒的価値の重要性を説明します。制作実績は豊富ながら、Webドラマのオーディション開催経験のない映像プロデューサーは必見です。

なぜ近年Webドラマ制作が増加傾向にあるのか

オーディションについて_ドラマ撮影風景のイメージ

テレビドラマのようにWeb上でもストーリーを伝えるWebドラマが採用され始めています。企業へのエンゲージメントを高めるためには、情緒的価値を訴求することも必要です。価格や商品紹介などの機能的価値では訴求できない、感情へ訴えて共感を生み出すことがブランディングには不可欠であり、Webドラマはそうした情緒的価値の訴求に適しています。

「機能的価値」と「情緒的価値」

企業における動画制作では「機能的価値」と「情緒的価値」の2種類を意識することが重要です。機能的価値とは商品やサービスのスペックや利便性、品質などの機能面での価値です。たとえば、「最新ノートPCのスペック紹介」であれば、処理性能の高さや持ち運びやすさ、耐久性などをわかりやすく詳細に伝える動画となります。

一方の情緒的価値は、商品やサービスを利用することでユーザーが得られる感情面での価値です。たとえば、「プロゲーマーがなぜそのPCを選んだのか」というストーリーの動画を制作したとします。動画の視聴者は「プロが使うPCだから良いものに違いない」「持っていたら友人やSNSで自慢できそう」「プロと同じものを使うと楽しくなれそう」といった共感や好感につながる感情を得られるでしょう。このように、機能的価値では伝えられない人の心理面や気持ちに訴求できるのが情緒的価値です。

Webドラマは企業ブランディングに最適なコンテンツである

情緒的価値を伝えやすいWebドラマは企業ブランディングに最適なコンテンツです。いまや誰もが簡単に情報を得られる時代で、商品やサービスの機能は簡単に検索で調べられます。しかし、サービスや商品に込められた想いや企業理念などまで踏み込んでリサーチする人は少数派ではないでしょうか。
たとえば、機能性の高さである商品がヒットしたとしても、機能だけが評価されている状態では、競合他社が類似の商品を販売し始める可能性があります。さらに、ブームが過ぎてしまえば単発的な売上だけで終わってしまう恐れもあるでしょう。

しかし、「ヒット商品を生み出した誕生秘話」のようなドラマコンテンツがあればどうでしょうか。ドラマの内容が良ければ視聴者は共感や感動を得て、企業への興味を深めてくれることがきたいできます。視聴者に共感や感動してもらうことができれば、最終的に企業のファンになってもらえる可能性も高まるでしょう。そのため、情緒価値を伝えやすいWebドラマは、企業ブランディングにおいて最適なコンテンツと言えるのです。

Webドラマ制作におけるオーディション開催の重要性について

オーディションについて_オーディションを待つイメージ

情緒的価値の高いWebドラマ制作にはキャスティングがとても大切です。ドラマでは複数のキャストに出演してもらうのが一般的だと言えます。その際に個々の役者の演技力や雰囲気だけでなく、他の演者との相性やシナジーの部分も重要になるでしょう。そうした複合的な要素を判断するためにも、オーディションという形で実際に確認する場が重要になるのです。

ドラマの世界観について相互理解を深める

Webドラマは、顧客が求める結果を出すことが制作の目的となります。そのため、まずはプロジェクトの目的や動画の方向性を顧客と共通認識を持つことが大切です。そして、ゴールへ向かうためにはどんなストーリーや世界観が必要なのか、十分に協議したうえで構想を練りましょう。
事前にクライアント・制作サイドの間で相互理解を深めておかないと、撮り直しやプロジェクトのお蔵入りといった事態も起こりえます。余計なコスト・時間がかかりますし、最悪の場合は損害賠償にまで発展する危険性もあるため、世界観はしっかり決めてクライアントと共通認識として持つようにしましょう。

オーディションは世界観に合ったキャスト選考のために必須

Webドラマの制作では予算や納期の都合上、オーディションを行えない場合も少なくありません。しかし、宣材写真や実績の資料だけでキャスティングを決めると、求めている世界観にキャストが合わないことがよくあります。

たとえば、「仲の良い夫婦」を選ぶため宣材写真のみで男女それぞれをキャスティングしました。いざ撮影しようと夫婦として並んでもらったら、「違和感のある空気」が生まれてしまい世界観とまったくマッチしなかったため、再選考しなければいけならないということも珍しくありません。

世界観と合わないキャスティングのまま撮影してしまうと、それはダイレクトに視聴者の違和感につながります。さらに、せっかく設定したクライアントとの共通認識にもズレが生じてしまいます。これでは質の高いWebドラマを制作することはできません。情緒的価値の高いWebドラマを制作するのであれば、オーディションを行って世界観に合ったキャストを選ぶことが大切です。

オーディションを行ううえで覚えておきたいポイント

オーディションについて_オーディションを受けるイメージ

一般の企業でも履歴書だけで人材を採用するケースは非常に稀で、実際に面接で顔を合わせて話してから内定を出すはずです。Webドラマ制作においてもそれは同様で、宣材写真だけでは伝わらない要素がオーディションでは多々分かることがあります。より良い作品を作るためには、オーディションで生の情報を確かめることが大切です。ではオーディションを行ううえでのポイントはどんなことでしょうか。

オーディションで審査を行う人材

実際のオーディションで審査を行うのは制作責任者であるプロデューサー、撮影責任者であるディレクター、そしてWebドラマの制作を依頼した顧客です。最低でも動画のゴールや世界観を共有したこの三者がいればオーディションを行えます。
さらにより質の高い選考を行うのであれば、ドラマのターゲット層に近い人を審査側に入れると良いでしょう。役者さんを生で見ることで、より感情移入しやすい人材を見抜くことができる可能性が高まるためです。また、これまでに似た世界観のドラマ制作経験がある人材をアドバイザーとして入れておくのも良いでしょう。
このようにさまざまな人材を審査側に入れておけば別角度からの評価を知ることができ、キャスティングで迷った際の参考になるためおすすめです。

キャスト選考のポイント

オーディションは審査側が役者さんの雰囲気や演技に直接触れることができる機会です。宣材写真や資料だけではわからない部分もじっくりと見ることができます。オーディションでは具体的に役者さんのどこを見ればいいのか、そこで迷う方も多いことでしょう。

実はオーディションというのは一般企業の面接と似た面があります。企業面接では履歴書や学歴だけで採用を決めるのではなく向上心や企業への想い、人となりといった面が重要視されるものです。オーディションも同じで、見た目や演技力、実績などはもちろんですが、役者さんの熱意ややる気、撮影に際しての柔軟性なども確認することが重要になります。

たとえば、オーディション前にセリフを読み込んでくる役者さんは、今回のドラマに対して真摯に向き合ってくれているため信頼感を持てることでしょう。髪の色や髪型の変更に快く応じてくれる方ならば、柔軟性があり撮影時に重宝する可能性があります。このように、オーディションでは一般企業の面接と同じように多角的にその役者さんの魅力をチェックします。その上で、より世界観とマッチする方を選考すると、質の高いWebドラマを撮影につながる期待感が持てるでしょう。

オーディション開催でWebドラマの質を高める環境づくりを

オーディションについて_まとめ

【Webドラマ オーディションのまとめ】

  • Webドラマは情緒的価値を訴求し企業のブランディング力を高めやすい
  • Webドラマ制作においてはオーディションの開催が必須
  • 質の高いWebドラマ制作のためにオーディションのポイントを押さえておく

近年、企業ブランディングを行ううえでWebドラマの重要性は高まっています。誰もがスマホで簡単に動画を視聴することができ、注目動画はSNSで拡散できためです。一方で企業のWebドラマ制作が当たり前になってきていて、競争も激しくなってきていると言えます。そのため、企業ブランディングを行うためには、これまで以上に情緒的価値の高いWebドラマが求められると言えるでしょう。

質の高いWebドラマ制作を行うためには世界観に合ったキャスティングが重要です。精度の高いキャスティングをするのであれば、宣材写真や資料だけの選考ではなく、ぜひオーディションを行いましょう。また、質の高い役者さんに集まってもらうためには、「出演したい」と思ってもらえる内容であることも大切です。だからこそ、制作側も役者さん以上に熱意を持って企画立案と企画意図の事前説明を行うことを心がけましょう。

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