シリーズ累計販売本数7,700万本超のサバイバルホラー・アクションの代名詞、「バイオハザード」の世界観をベースに、最新フルCG⻑編アニメーション技術で映画化したシリーズ最新作、『バイオハザード:ヴェンデッタ』が公開になります。歴代ゲームに登場した人気キャラクターたちをはじめ、不気味な存在を醸し出すオリジナルの新キャラクターまでが予測不可能なバトルを繰り広げ、新たに広がる世界観に感動必至の一作となっています。
ファン待望の最新作には、エグゼクティブ・プロデューサーの清水崇(『呪怨』シリーズ)を筆頭に、監督を辻本貴則(『THE NEXT GENERATION パトレイバー』)、脚本を深見真(アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」)、音楽を川井憲次(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』)が担当するなど、超一流のクリエイターが大集結! そして同シリーズの育ての親であるカプコンの小林裕幸さんが、原作監修として総合的なプロデュースを行っています。そこで今回、小林さんに今の仕事を目指したきっかけや、ヒット作を生み出す秘訣、そして未来の映像クリエイターへのアドバイスなど様々なことを伺います。
大学でCG専攻 ゲーム業界が近いと思い、カプコンへ入社
だから今の仕事はやりたかったことではあるんですけど、最初はそんなきっかけで理系の大学を出てプログラマーで受けて、カプコンに入社して。たまたまPlayStation(R)の「バイオハザード」の1作目に参加したんです。そういう流れで仕事が始まりました。一応ファミコン世代なので、小学生の頃などディスクシステムまでやっていましたが、高校で一旦離れ、マンガやアニメや映画にシフトしました。その後、大学でまたゲームに戻ったのですが、その時にゲーム会社って就職先の一つなんだって気づいたんです。当たり前のことですが、自分の中で就職先とゲームが仕事として繋がっていなかったんですよね。それで運よく「バイオハザード」のチームに入った、ということがスタートでした。
バイオは社にとっても異質な作品に ヘンなチームで100万本突破の快挙!
新人なので苦労はありました。でも達成感がすごかったですね。発売日にはお店に行って、ゲームを買ってくれるお客さんがいるかちゃんと観に行きました。お客さんがレジに持ってくるとうれしかった。ランキングも気になりましたね。1作目はカプコンとして初めてのCGゲームだったので、若いメンバーが多かった。社の主要タイトルは別にあったので、寄せ集めチームではありました。もうカオス(笑)。だからよく怒られながらやっていましたよ。20代前半でゲームの作り方もわかっていなかったので、いま振り返るとよくやっていたなあと。一番上でも30代前半。会社はよくそんなチームを作ったものだと思います。大学生のノリが残っていて、よくマジなケンカもしていました。今じゃあり得ないです(笑)。

ただ、熱意はすごくありました。よいゲームにしたいというクリエイティブな欲求は高かった。でも、我のぶつけ合いで、すごく細かいことでケンカもしました。時代ですよね(笑)。22年前は3D技術のPlayStation(R)もハードが出て間もないころで、作っている技術もいろいろと実験しながらやっていたので、だからチャレンジなチームでしたよ。96年頃って実写っぽいゲームはめずらしかったので、カプコンにとってももちろん異質なゲームで、らしくない、海外で作っているようなゲームだった。ただ、だからこそ海外で逆にヒットしたんですよね。結果国内で100万本までいったけれど、ヘンなチームでよかったかな(笑)
好きだけではダメ――売ることも考えて総合的に判断するプロデュース業

ただ、作る以上はファンが希望するキャラを出してあげたいし、最近出ていないキャラも出してあげたいなど両方考えます。レオンは人気があることと自分がファンなので、出している。クレアもゲームに出ていなかったので、出してあげたい。最新作ではレベッカが登場しますが、彼女もずっと出なかったので久々に出してあげようと。ファンの声に耳を傾けながら、製作都合と物語の都合を考えて決めます。だから、自分がファンでも人気がなければ、起用は見送るとは思います。それは日頃プロデュースをやっているので、売ることも考えないといけないから。合致できているので、レオンはいいわけです。ジルは最近ゲームに出ていて、とても人気がありますが、今回は設定上、難しいと判断し、最終的にレベッカに決めました。いちクリエイターであればわがままを言って出すかもしれないですが、総合的に物事を考えなくてはいけない。映画のプロデューサーとも相談をします。それは映画製作の特徴でもありますよね。

今回の映画は、1作目2作目がアクション系だったので、ホラーをやりたいというコンセプトがまずありました。ホラーなので清水崇さんにエグゼクティブをお願いして、アクションが得意な辻本貴則辻さんに監督をお願いしました。前半からレベッカの研究所まででホラー感を出しつつ、後半は救出作戦で辻本さんのカラー全開のアクションが満載。それでバイオお決まりのクリーチャーが出てという展開なので、めちゃくちゃ楽しいと思います。
アウトプットしているだけだと枯れて行く一方 モノ作りは、吸収が大事!
もうひとつ「戦国BASARA」シリーズは、自分で初めて立ち上げた作品でした。それまでは会社が決めたことを進めていましたが、自分で始めたので大変でしたけれど、10年間続いた。いずれ自分でとは思ってはいましたが、ただ、こういうことはタイミングですね。今、ゲームを元に映画を作る、マンガを元にアニメーションを作る、テレビドラマや舞台化など、ゲームコンテンツでいろいろなエンターテインメントをやっていることが楽しいですね。「戦国BASARA」シリーズで言うと、富士急でアトラクションをやらせてもらいましたが、仕掛けを考えるなど遊園地の設計が楽しかった。「バイオハザード」で言うと、USJでシューティング系のアトラクションを作りましたが、そういう広がりが楽しいですよね。エンタメのいろいろなことに首を突っ込んでいる感じが楽しい。特に今回、僕は清水さんのファンでもあったので一緒に仕事ができること、そのことの広がりが本当に楽しかったです。
作品情報
『バイオハザード:ヴェンデッタ』
5月27日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

物語
対バイオテロ組織「BSAA」のクリス・レッドフィールドは、ある情報を基に、武器密売組織の拠点である謎の洋館へ突入する。探索の最中、クリスは国際指名手配犯であるグレン・アリアスと対峙するも、信じがたい光景を目の当たりにし、結果アリアスを逃してしまう。一方、元ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の一員だったレベッカ・チェンバースは、現在は大学教授として、「死者が甦り、凶暴化する」という不可解な事件の調査、研究に携わっていた。事件の調査により、「新型ウィルス」が関係していることを突き止めた彼女は、治療薬の開発に成功。その直後、研究所が何者かに襲撃され、レベッカは死の危険にさらされてしまう。幸いにも駆けつけたクリス達によって、九死に一生を得るのであった。
この襲撃後、クリスとレベッカは、アメリカ大統領直轄のエージェント組織「DSO」に所属しているレオン・S・ケネディのもとへ…彼は、この新型ウィルスが関わる事件を最もよく知る人物だった。再会を果たす、クリスとレオン。アリアスの真の目的が“バイオテロ”だと掴んだ二人は、レベッカと共に、その策略を阻止し人々を救う為、彼を追いニューヨークへと向かうのであった。
エグゼクティブ・プロデューサー:清水崇『呪怨』シリーズ
監督:辻本貴則『NEXT GENERATION パトレイバー』
脚本:深見真『PSYCHO-PASSサイコパス』
音楽:川井憲治『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』
原作監修:小林裕幸(カプコン)
制作:マーザ・アニメーションプラネット
配給:KADOKAWA