江戸を舞台に「火付盗賊改方」（ひつけとうぞくあらためかた）という現代の特別警察ともいえる役職についた長谷川平蔵が悪党たちを裁いていく姿を描いた時代小説「鬼平犯科帳」。
1967年、文藝春秋「オール讀物」に第一作目を発表して以降1990年まで全135作（＋番外編1作）が執筆されてきました。これまでに漫画、実写ドラマ、映画、舞台とさまざまな形で発表されてきた「鬼平犯科帳」が、2017年に誕生50周年を迎えるのを機に、本格時代劇アニメ「鬼平」（全13話放送）として生まれ変わります！
主人公・平蔵の声を堀内賢雄、平蔵を慕う女密偵・おまさに朴璐美、平蔵の息子・辰蔵に浪川大輔と、実力派声優たちが勢揃いすることでも話題の本作は、2017年1月9日よりテレビ東京他にて放送がスタートします。
その放送を前に、主人公・長谷川平蔵役の堀内賢雄さん、その息子・辰蔵役の浪川大輔さん、監督・キャラクターデザインの宮繁之さん、プロデューサーの丸山正雄さんが、今の心境、アニメ化への思いや制作秘話、役作りについて語りました。
『鬼平』放送開始を控えた、今のお気持ちをお教えください
【浪川】これが毎週観られると思うと非常に楽しみですし、元々原作から素晴らしいお話がたくさんありますので、それがどう表現されていくか、より楽しみになりました。
【宮】放送を前にして緊張しかないですね。実写ファンの方、原作ファンの方が大勢いらっしゃいますから、その方達を裏切らないよう一生懸命作ってきたつもりですが、ちゃんと受け入れていただけるかという想いです。アニメとして楽しんでいただける事を願っています。
【丸山】非常にプレッシャーにうちひしがれて、帰りたいなーと思っております（笑）。大変な原作なので、アニメにしていいのかという疑問から始まりましたが、アニメーションでどこまでやれるか、せっかくチャンスをいただいたので、頑張っております。原作関係者やファンにダメと言われないものを、なおかつアニメーションとして面白いものを、アニメファンも巻き込んで１つの世界を作れるか…正直まだ試行錯誤の途中です。今は決してアニメが良い状況ではなく、色んな意味でしんどい状況ですが、それを超えて魅力がある作品にできないかと。誰が観ても賛否両論で、僕も75歳で、（リアルタイムで）原作で育った世代ですので、このままにしておきたい部分とちょっとチャレンジしたい部分と両方抱え込んで毎日作っています。
時代劇アニメは現代劇より難しいところが多いと聞きましたがどんなところが大変でしたか？
【丸山】もうすべてが大変ですね、歩き方１つ、今までぼくらがやってるアニメでは難しいです。僕は50年アニメを作っていますが、時代劇は10本くらいですかね。圧倒的に少ないです。そういう事やれるスタッフがいない。歩き方のほかにも、魚の頭の位置が右か左向きか、着物の柄はどうか、などを描ける人がいない中で、どうやって表現していくかは大変な挑戦なわけです。挑戦が好きなので、ついつい、やりたいって言ってみんなを巻き込んで可哀想な思いさせて、申し訳ないです（笑）原作に対するリスペクト、あの小説をそのままやるのは難しいし、（テレビの）尺に納めなきゃいけないし、20分の中にどれだけのことができるか、アニメの表現でどこまでやれるか。実写は実写の表現で、原作は原作の言語なんですよね。アニメの世界でどこまでやれるか、これは挑戦だと思って楽しんでいます。
鬼平と言えば、グルメとしても知られていますよね？今回もおいしい食事は出てきますか？
【宮】食事に関してはできる限りの時代考証を行い、美味しそうだと思ってもらえるものを表現しようとしています。お腹がすいたらご飯を食べて、また明日からも頑張ろう、ってところは現代にも通じると思っています。お腹が空いたら食べたいし、難しい話をする時にもご飯を、というのは僕らも同じですし、生命の根源ですよね。気取らずに丁寧に作っているつもりです。
【丸山】この原作をする時にロケハン、江戸時代から続いている食べ物屋に行って色々調べました。アニメーションで本当に美味しく見えるように描くのは難しいことなので、湯気でごまかすとか…むしろ嬉しい食事なのか、悲しい食事なのか、雰囲気などその時の状況を整理しながら描いていくべきで。さあこのカットで美味しい鍋ですよ！というのをアニメで表現するのは、実写よりも難しい。いかにも不味そうなのはやめようね、という約束はしています。原作がいいだけに困っちゃう。食事のこともそうですが、着物の柄をどうするとか、お料理を出す時の魚の頭の向きとか、ちゃんと勉強しなさいと怒られていて、そういうことから始めていかなくちゃいけない。そういうことをきっちりやっていかなくちゃいけないなと思っています。今も勉強しています。もしなにかあれば指摘して下さい。よろしくお願いします（笑）
作品概要
アニメ『鬼平』
テレビ東京他にて1月9日より 毎週月曜 深夜2：05～
時代劇専門チャンネル1月15日より 毎週日曜 夜11：30～
Amazonプライム・ビデオにて1月9日より独占配信！ 毎週月曜深夜2：35～
http://onihei-anime.com/
（2016年12月27日 CREATIVE VILLAGE編集部）
