TVCMやミュージックビデオを数多く手がけてきた映像作家・名取哲氏の長編初監督作品『ほとりの家で(英題:Chihiro|Akemi)』が、クロアチアで開催される「第31回スプリト国際映画祭(SPLIT FILM FESTIVAL)」の長編コンペティション部門に出品され、ワールドプレミア上映されることが決定した。開催期間は2026年9月11日から18日だ。
スプリト国際映画祭は、クロアチア最古の映画祭として1996年に設立された。過去にはクリス・マルケル、タル・ベーラ、ラース・フォン・トリアーといった巨匠監督に映画祭名誉賞を授与するなど、芸術方針とプログラムの質の高さで定評がある。近年は日本映画への注目度も高く、第27回では山崎樹一郎監督『やまぶき(2022)』がグランプリを受賞。第30回では太田信吾監督の『沼影市民プール(2025)』がコンペティション部門のオープニング作品として上映された。今年の長編コンペティション部門には世界中から厳選された8作品が選出されており、日本からは唯一本作が出品される。
本作は、入浴中の事故で幼い息子を失い自責の念に駆られる主人公チヒロが、療養のため夫とともに人里離れた湖畔の家を訪れるところから物語が始まるネイチャー・スリラーだ。そこで出迎えたのは、言葉を話さない女性猟師アケミ。チヒロは森の中で写真撮影に没頭するものの、食べることも眠ることもできない日々を過ごす。一方、夫のサトルは二人が共有するはずの喪失感と向き合うことを避け続け、チヒロは次第に深い悲しみの渦へと飲み込まれていく。
主人公チヒロを演じるのは、大河ドラマ『青天を衝け(2021)』やNHK連続テレビ小説『ちむどんどん(2022)』などで活躍する手塚真生氏。夫・サトル役には、ドラマシリーズ『Pachinko(2022)』(Apple TV+)で次男モーザス役を演じたソウジ・アライ氏。女性猟師アケミ役は、映画『BAD LANDS バッド・ランズ(2023)』に出演した縄田カノン氏が担う。
撮影地は北海道の道東。名取氏にとって亡き師匠から狩猟を学んだ縁深い土地でもある。名取氏は「今なお原初の姿をとどめるその地の原生林のように、純粋で野生味溢れる本作をクロアチアの観客の皆様に観ていただける日が待ち遠しい」とコメントしている。
作品の詳細は公式サイト(https://satoshinatori.com/chihiro-akemi/)にて確認できる。