アニメ配信大手のクランチロールは5月25日、「クランチロール・アニメアワード2025」の受賞作品を発表した。今年で9回目を迎える本アワードは、世界中のアニメファンの投票により、優れたアニメ作品やクリエイター、キャストを表彰する年次イベントであり、今回は過去最多となる5,100万票が世界各国から寄せられた。
今年のアニメ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは『俺だけレベルアップな件』で、最優秀新シリーズ賞、最優秀アクション作品賞、最優秀エンディング賞、最優秀主演キャラクター賞、最優秀作曲賞など複数部門を制し、作品の完成度と人気の高さを裏付けた。また、『進撃の巨人』が初めて設けられた「グローバルインパクトアワード」を受賞した。この賞は、国や文化を超えて大きな影響を与えた作品に贈られるもので、2024年末に公開された劇場版『進撃の巨人』完結編で長年にわたる物語に幕を下ろした本作が、その功績を称えられた。受賞の場では、制作を担ってきたMAPPAの林祐一郎氏が代表してトロフィーを受け取った。
授賞式は昨年に続き日本で開催され、天城サリーとジョン・カビラが司会を務めた。イベントはライブ配信され、国内外のアニメファンがリアルタイムで参加できる形式が取られた。式典には、ケイシー・マスグレイヴス、フィン・ウルフハード、J・バルヴィン、チョコレートプラネット、ディーン・フジオカ、松岡茉優など、国内外の著名人がプレゼンターとして登壇した。プレショーでは、VTuberのIronmouseや人気YouTuberのGiggukをはじめとしたインフルエンサーたちが登場し、授賞式を盛り上げた。
ライブパフォーマンスでは、ヒップホップデュオCreepy Nutsが『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』の主題歌「Bling-Bang-Bang-Born」を披露し、LiSAは『鬼滅の刃』などの楽曲を含むメドレーを熱唱した。さらに、ロックバンドFLOWは『交響詩篇エウレカセブン』20周年を記念して「DAYS」を演奏し、観客を魅了した。
2025年のアニメアワードでは、カナダとチリが初めて投票数トップ10に入り、ブラジル、インド、フランス、ドイツ、アメリカなどと並んでアニメ人気の国際的な広がりを示した。クランチロールのプレジデント、ラウール・プリニ氏は「アニメは単なる映像作品ではなく、ファンのアイデンティティをも形作る芸術である」と語り、投票に参加した世界中のファンと日本のクリエイターに深い感謝を述べた。
今回のアニメアワードは、株式会社ソニー・ミュージックソリューションズと米デンプシー・プロダクションズが運営し、クランチロールのYouTubeチャンネルやTwitchなどでオンデマンド配信される予定となっている。
その他の主な受賞作品には、『ルックバック』(フィルム・オブ・ザ・イヤー)、『NINJA KAMUI』(最優秀オリジナルアニメ賞)、『葬送のフリーレン』(最優秀ドラマ作品賞、最優秀監督賞、最優秀背景美術賞、最優秀助演キャラクター賞)などがあり、多様なジャンルのアニメが高く評価された。特に『ダンダダン』は、最優秀オープニング賞と最優秀キャラクターデザイン賞などを獲得し、作品の個性が光る結果となった。