YouTuberやVTuberなどのクリエイターやインフルエンサーが所属するプロダクション、コンテンツスタジオ、そして、それらをマネタイズする広告ソリューションを展開する株式会社BitStar。

同社のデザイングループ、マネージャーである菊地俊之さんは、もともとフリーランスのUI/UXデザイナーとして活躍されていました。今回は菊地さんに、組織やチームの中でのデザイナーの価値や、フリーランスとの違い。BitStarで働く魅力などを語っていただきました。

菊地俊之(きくち・としゆき)


株式会社BitStar デザイングループ マネージャー
大学卒業後フリーランスのWEBデザイナーとして活動を開始。新規事業の立ち上げに関わるUI/UXデザインを中心に、企画提案、スクラッチからデザイン作成、実装、ディレクションまで幅広い業務を請け負う。2017年、株式会社BitStarに入社。4月の大規模なブランド刷新では、ミッション・ビジョン・バリューの構築からロゴ、WEBサイトなどのアウトプットまでを一貫して手がける。

“チームの強さ”を求めて、フリーランスからインハウスデザイナーへ転身

インタビューを受けるBitStar菊地氏

――フリーランスからデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたそうですね。

フリーランスの道を選んだのは、自分一人で生きていくためにスキルや経験値を積みたかったからです。当時は、スタートアップ企業にプロジェクトベースで参加しつつ、WEBサイト制作などの案件を受けていました。

しかし、次第に自分1人のアウトプットやリソースに限界を感じ、“チームの強さ”を求める働き方に興味が湧いてきたんです。そんな時に声をかけてくれたのが、BitStarの社長である渡邉さん。当時プロジェクトベースで仕事をしていた、BitStarの前身であるBizcastに入社しました。

――フリーランスとインハウスをどちらも経験した上で、どんなところにインハウスデザイナーの魅力を感じていますか?

僕は現在、デザイングループマネージャーとしてチームを率いている立場ですが、チームとしての成長ボリュームは、個人の成長とは段違いだと感じています。

また、インハウスデザイナーという働き方で言えば、実験的な試みを行い、例え小さな失敗をしても挽回できるチャンスがあるという部分が大きなメリットだと思います。フリーランスの場合、小さな失敗でも仕事を失うきっかけになりやすいんですよ。

――組織の中の方が失敗できるというのは目から鱗です。逆に、インハウスデザイナーのデメリットとはなんでしょう?

ビジネスパーソンとして総合的な能力を必要とされるため、自分の得意な技術だけに特化できないということがあるかもしれません。自分の得意な部分に特化したい職人型のデザイナーであれば、フリーランスの方が向いているかもしれません。

また、フリーランスの場合は、自分が全く関わったことのないジャンルやスキルにどんどんチャレンジすることができます。そのため挑戦や発見の機会が豊富ですが、インハウスデザイナーの場合、プロダクトのグロースやサービスのアップデートなどを行っていく機会が多くなるので、常に何かを生み出していきたいような人にとっては、情熱を保つのが難しいかでしょう。
自発的に情熱を持てることを探していける人じゃないと、インハウスで活躍するのは難しいかもしれません。

デザインの力で事業間の強みを連携し、個々では考えつかないサービスを

BitStar社内風景

――菊地さんが理想とする“チームの強さ”は、BitStarに入社することで実現されたのでしょうか?

それが、最近ようやくですね(笑)入社当時、BitStarにデザインチームはなく、120人規模の企業にデザイナーは僕1人だったんです。

そうなると、自分では考えつかないアウトプットやアクションが生まれない。言ってみれば社内フリーランスのような状態で、フリーランスの時代と働き方が変わったように思えませんでした。

――そういう状況に対して、企業はどのような反応だったのでしょう?

もともと、クリエイティブやデザインに対して、企業の理解と投資は低かったんです。デザイナーを入れたことで、予算をかけずに見た目をキレイにできるくらいにしか思われていなかったのかもしれません。デザインの機能や与えるべき役割、そのために必要な投資まで考えが至っていませんでした。

BitStar菊地氏と会議室

本来なら、デザインはブランドの“見られ方”や企業のDNAづくりにおいて重要な役割を果たすものです。そこで、会社にデザインの価値や有用性、有効な使い方などを理解してもらうために、デザインをうまく活用し組み込んでいる会社と自社を比較した資料などを作り、「他社はデザインに手を入れてこれだけの効果が出ています」「うちはこれだけ遅れています」と直接上層部に訴え続けました。

こうしたアクションのおかげで、現在、社内にデザインチームを立ち上げることができました。

――この先、デザインチームで実現したい目標はありますか?

デザインの力で社内連携を強化していけたらと思っています。インハウスデザイナーは、社内で“特殊技能”のように扱われ、違う畑に置かれがちですが、僕はその壁を取り払って行きたい。

BitStarは、プロダクションやコンテンツ制作、広告と、様々な事業を展開しています。そこにデザインチームが入ることで、デザインがその事業部にどんな効果を出せるのかを一緒に考えることができる。

各事業部に、クリエイティブに関しての有用性はもちろんですが「一緒に働くと新しい知見を得られるし、便利だ」と思ってもらえることが、社内にデザインチームがある強みになるんじゃないでしょうか。

――BitStarのように、社内でデザインチームを抱える企業は増えていますが、どんな部分で戦っていきたいと考えていますか?

他社と圧倒的に差を生み出すようなクリエイティブや完成度を上げるには、マンパワーや最新の技術、予算が必要です。僕らはそのフィールドでは戦う必要はないと思っていて、やはり我々は、「事業との連携」という部分で勝ちに行きたい。

多種多様な立場の人たちが対話しながら新たな価値を生み出す「CO-creation」というイノベーション・アウトカムを目指す活動があります。

BitStarの場合、クリエイターはプロダクション事業の資産ですが、彼らをビジネス的に活躍させるための知見は広告事業部にも多くある。しかし、コンテンツに関しては、広告事業よりも、コンテンツ制作事業が強い。もちろんアウトプットについてはデザイングループの方に見があります。

こうした事業間の強みを連携し、「CO-creation」を実現することで、個々では考えつかないBitStarならではの新しいサービスを生み出すことができるのではないかと考えています。

デザインの力で自社のDNAを共有。ブランド刷新に込めた思い

リブランディングされたBitStarのエントランス

――BitStarは4月24日にブランドをリニューアルされましたね。

「Reborn」と銘打っているように、全く新しいブランドに生まれ変わりました。サイトやロゴマークはもちろん、企業のDNAや「ミッション・ビジョン・バリュー」の部分から構築し直しています。

僕はデザイナーとして、このDNAづくりからアウトプットまで一貫して携わりました。

――このリニューアルにはどのような狙いがあったのでしょうか?

ひとつは、BitStarの見られ方を変えたかった。いままでの広告よりのイメージを、「コンテンツファースト」「クリエイターファースト」のイメージにシフトするため顧客、ユーザーとの接点を意識し、与える印象を大きく変えました。

さらに、これまでしっかりと機能できていなかった「ミッション・ビジョン・バリュー」をアップデートし、事業部共通のロゴデザインに落とし込んでBitStarのDNAを共有し、団結力の強化を狙っています。

ロゴデザインを作る際も、「その輝きを、加速させる」というタグラインをもとに、「光」「スポットライト」「輝き」というキーワードを設定。それらのキーワードをデザインに落とし込んで、クリエイターにスポットライトを当て、新しい価値を見出し続けていくBitStarの姿勢を象徴したロゴデザインに着地しました。

リブランディングされた会社のロゴ

――新しくなったBitStarを、特にどんな方に向けてアピールしたいですか?

事業部ごとにターゲットは違うのですが、今回のリニューアルは「クリエイターファースト」としているので、クリエイターの方にはぜひ注目して欲しいですね。絶対BitStarに入ってよかった。一緒に仕事してよかったと思ってもらえるリニューアルになっています。

今、業界はほぼ一強の状態。BitStarはそこにチャレンジングに立ち向かっていく存在でありたい。挑戦者として一緒に戦ってくれる、チャレンジ精神を持つクリエイターの方にぜひ興味を持ってもらいたいと思っています。

また、クリエイターのファンの方とコミュニケーションを取れる場所も充実させていくつもりです。先日、その第一弾として、『BitStar Store』というクリエイターのショップをオンラインで立ち上げたので、ぜひ遊びにきて欲しいですね。

BitStarは、羽化寸前の卵のような会社

――BitStarは働いている立場から見てどんな企業ですか?

笑顔で話すBitStarの菊地さん

いい意味でも悪い意味でも完成されていない、羽化寸前の卵のような企業だと思っています。「BitStarとは?」という部分が、状況やフェーズや人によって違っていて、その分どの方向にも行ける、無限の可能性がある。

社員個人の目標に関しても、職種やポジションなど、自分のなりたい姿を提示して努力すれば、実現しやすいと思います。
僕のように、「デザインチームを持ちたい」と言い続けて実現した例もあるし、クリエイターやインフルエンサーが好きで、未経験からマネージャーになった人も多い。

これからも、情熱を持った人と一緒に働いていきたいですね。

正解はひとつじゃない。自分が成長できる働き方を

BitStarデザイナーマネージャー菊地さん

――フリーランスからインハウスデザイナーへの転身を検討している方に、菊地さんの経験を踏まえてメッセージをいただけますか?

フリーランスの場合、提案力やディレクション能力はひとりで仕事を回す上で自然に身についているもの。こうした能力はインハウスデザイナーになったときに強みになると思います。
逆に言えば、インハウスデザイナーが必ずしも提案やディレクションに強いわけではないので、インハウスからフリーランスになったときに、そこで苦労するかもしれません。

ただ、人によって成長できる環境は違うと思うので、インハウス、フリーランスに関わらず、自分の一番成長できるような場所を意識していることが大切かと思います。
正解は一つではないので、自分なりに情熱を持てるものは何か、それを実現できる場所はどこなのかを考えてみることが重要だと思います。

インタビュー・テキスト:原田さつき/撮影:姜 泰寿(SYN.PRODUCT)/企画:ヒロヤス・カイ/編集:CREATIVE VILLAGE編集部

Bitsar会議室ロゴ

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