単なる遊びではなく、1つの競技として確立してきたeスポーツ。世界におけるeスポーツの市場規模は、毎年どんどん拡大しており、日本においても「eスポーツ」を聞いたことのない人は少なくなってきていることでしょう。
また、eスポーツ大会・イベントに出場し、億単位の賞金を稼ぐプロゲーマーも増えてきました。
近年では、プロゲーマーになるための習い事までサービスとして誕生しており、今やプロゲーマーはれっきとした職業になりつつあります。
そんなプロゲーマーが「実際どれくらいの年収があるのか」は気になるところですよね。
本記事では、eスポーツプロゲーマーの年収やeスポーツ関連の仕事に携わる方法などについて、詳しく解説していきます。

  • プロゲーマーってどれくらい稼げるの?
  • eスポーツに携わる仕事は何があるの?
  • そもそも、eスポーツ関連の仕事に将来性はあるの?

上記のように、eスポーツに少しでも関心のある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

eスポーツの市場規模

世界のネットワークをタッチする人
eスポーツの市場は、国内外を問わず、年々増加傾向にあります。最初に、世界と日本におけるeスポーツの現状を確認しておきましょう。

2022年の世界eスポーツ市場規模

経済産業省の報告によると、2022年におけるeスポーツの世界市場は、約1,940億円と推計されています。
参考:日本のeスポーツの発展に向けて(7ページ目)

また、eスポーツ市場の広がりを見てみると、新型コロナウィルス感染拡大前の2019年は、約9.5億ドル(約1,400億円)でしたが、2021年には約10.8億ドル(約1,570億円)と、たった2年で170億円ほど市場規模が拡大しています。
きっかけとして、コロナウィルス感染拡大防止に伴う各国のロックダウン施策により、ゲームライブストリーミングの視聴者数が大きく増加したことがあげられます。
2020年のゲームライブストリーミングの視聴者数は6.6億人でしたが、2021年には7.5億人とわずか1年で、実に約1億人もの利用者が増えました。今後も右肩上がりで利用者が増加することが推測されています。

なお、2024年におけるeスポーツの世界市場は、約16億ドル(2,300億円)にまで拡大する見込みです。
ちなみに、2019年におけるサッカーの世界市場は約18.8億ドル(約2,700億円)です。現時点では、さすがにサッカーの市場規模には及びませんが、eスポーツのここ数年の成長率を踏まえると、いつかはサッカーをも追い越すかもしれません。
参考:世界のサッカー市場は、2027年まで18.3%のCAGRで目覚しい成長が見込まれる

2022年の日本eスポーツ市場規模

一方で、日本のeスポーツ市場は、2022年で約127.8億円と推計されています。
世界と比べるとまだまだ国内の市場規模は小さいですが、こちらもやはりここ数年で急激な成長を遂げています。

ファミ通の調査によると、2018年には48.3億円だった国内市場が、2020年には66.8億円にまで拡大。強烈なスピードで成長していることが明らかになりました。
また、今後の市場規模については、2022年には127.8億円、さらに2024年には184.4億円とますます市場が大きくなることが予想されます。
参考:ファミ通

また、2018年2月には、eスポーツ競技大会の普及やeスポーツ選手育成に関する支援などを目的とする「一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)」が誕生しました。2019年9月からは、経済産業省から委託を受け「e スポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を5回に渡って実施しています。
参考:経済産業省による報告書

国は、2025年までにスポーツ全体の市場規模を15兆円まで拡大することを目指しており、eスポーツ市場の拡大を力強く後押ししています。
参考:スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画):スポーツ庁

JeSUでは2019年に、eスポーツ選手のための公認のプロライセンス制度を整備しました。2022年10月7日現在、295名がプロライセンス(15歳以上)を、2名がジュニアライセンス(13歳以上15歳未満)を保有し、熱い戦いを繰り広げています。
eスポーツ選手としてのプロライセンスが発行されるようになったことで、選手の認知度・人気が高まり、活躍の場が広がることが期待されます。
参考:ライセンス | 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト
参考:プレイヤー | 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト

eスポーツ市場における収益内訳は、スポンサー・広告収入、チケット収入、アイテム課金、賞金、グッズ収入、著作権許諾収入、放映権収入などです。コロナウィルス感染拡大防止による巣ごもり需要が背景となり、オンラインによるeスポーツ大会やイベントの開催、チームへのスポンサー料が増加傾向にあります。なお、2020年においてはスポンサー・広告収入が急増しており、市場全体の約6割を占めています。
参考:ファミ通

日本のプロゲーマーの収入はどれくらい?

優勝トロフィーを手にするプロゲーマーチーム
プロゲーマーの月収は一般的に28万円と言われています。大会やイベント参加に伴う賞金獲得などでボーナスが入ることもあり、推定年収は400万円ほどです。ただし、プロゲーマーは歴史が浅い職業であり、まだまだ基準と言えるような決まった年収や給与体系があるわけではありません。所属するチームや組織によって待遇がさまざまでしょう。

多くの選手が10代、20代の時にピークを迎えます。個人事業主の場合は数百万円から数千万円の獲得賞金がそのまま年商(ここでは一旦経費を考慮しない)となりますが、ここからプレイヤーとして活躍するために必要な費用(事務所賃料や光熱費、交通費等)を引いた金額が年収となり、入賞は競争倍率が高いため、狭き門と言えるでしょう。

一方で上記のように、日本においてプロゲーマーの収入が伸び悩んでいるのに対し、海外では年間で1億円以上を稼ぐプロゲーマーが多く活躍しています。
eスポーツ選手として活躍できるフィールドも整っていることから、トップクラスの選手は高い賞金がかけられている世界大会に出場することが多いようです。

令和3年度賃金構造基本統計調査によると、ゲーム開発者(ソフトウェア作成者)の平均年収は、37.3歳で約523万円となっています。従業員が1,000人以上いる大企業だと平均年収は、39.6歳で約627万円です。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)

また、ゲーム関連の上場企業の平均年収は、例えばバンダイナムコホールディングスが1205.1万円、任天堂が988.6万円となっています。(2022年3月末時点での有価証券報告書より)
参考:株式会社バンダイナムコホールディングス

参考:任天堂株式会社

現時点の日本では、eスポーツ選手よりもゲーム開発者や運営に携わる人の方が平均年収の方が高く、安定していると言えるでしょう。

【日本編】2022年プロゲーマー獲得賞金ランキング

さて、日本人のプロゲーマーはどれくらい稼げているのか?気になりますよね。この章では、eスポーツ大会で獲得した賞金額の高い、上位3名の日本人プロゲーマーを紹介します。

日本人プロゲーマー①かきp

獲得賞金ランキング第1位の日本人プロゲーマーは「かきp」選手で、獲得賞金は1億5,000万円です。かきp選手は、日本が生み出したスマホカードゲーム「シャドウバース (Shadowverse)」のプロゲーマー。
2021年12月に、シャドウバース の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2021」で、見事に優勝を果たしています。その優勝賞金は、1億5000万円でした。
参考:Shadowverse World Grand Prix 2021 GRAND FINALS大会結果

大会優勝後、2022年4月にかきp選手は、読売新聞社が設立したeスポーツチーム「G×G(ジー・バイ・ジー)」に加入。現在は、プロチームに所属して、プロゲーマーとして活躍しています。その他にも、ゲーム配信YouTuberとしても活動中です。

日本人のプロゲーマー②ふぇぐ

獲得賞金ランキング第2位の日本人プロゲーマーは、「ふぇぐ」選手で、獲得賞金は1億1,000万円です。ふぇぐ選手も、シャドウバースのプロゲーマーとして活躍しています。2018年12月に開催された「Shadowverse World Grand Prix 2018」で、見事に優勝を果たしており、その優勝賞金は100万ドル(当時のレートで、約1億1,000万円)でした。
参考:ファミ通.comより

現在のふぇぐ選手は、吉本興業が設立したeスポーツチーム「よしもとゲーミング」に所属し、シャドウバースの大会で優勝を目指しています。
参考:スマホカードバトル『Shadowverse』部門設立!ふぇぐ選手、keisuke3選手、きょうま選手 がよしもとゲーミングに加入! | よしもとeスポーツ

なお、2022年から開催中の「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23」では、ふぇぐ選手所属の「よしもとゲーミング」は、先ほど紹介したかきp選手が所属する「G×G」とも対戦しています。
参考:RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23

また、ふぇぐ選手はYouTuberとしてゲーム配信をしていたり、プロゲーマーになる方法についての本を出版するなど、多岐に渡って活躍されています。

日本人のプロゲーマー③ときど

獲得賞金ランキング第3位の日本人プロゲーマーは「ときど」選手で、これまで獲得した賞金は5,000万円以上だと言われています。ときど選手は「ストリートファイター」のプロゲーマーで、格闘ゲームの「世界大会EVO2017」で見事に優勝を果たしました。
参考:獲得賞金5000万円 東大卒プロゲーマーのスランプ救った空手 | FRIDAYデジタル

また、ときど選手は東大卒のプロゲーマーでもあり、現在はeスポーツの国際団体である「Global Esports Federation」のアスリート・プレイヤー委員会のメンバーでもあります。
さらに、YouTuberとしても積極的にゲーム配信をおこなっており、2022年10月現在で登録者数は3.7万人を数えます。日本人プロゲーマーのYouTuberとしては、登録者数が多いチャンネルです。
そのほかには、バラエティ番組に出演、自己啓発書『努力2.0』など複数の書籍を出版しています。このように、ときど選手の活躍は多岐に渡っているため、大会賞金以外にも多くの収入があると推測されます。

【世界編】2022年プロゲーマー年収ランキング

世界のプロゲーマーの年収ランキングについては、ESPORT EARNINGSが公開しています。上位10名は以下の通りです。

 

 

順位 選手名 年収(米ドル) 年収(日本円) 国籍 主なゲーム
1位 Yatoro 約386.8万ドル 約5.61億円 ウクライナ Dota 2
2位 Collapse 約386.8万ドル 約5.6億円 ロシア Dota 2
2位 Miposhka 約386.8万ドル 約5.6億円 ロシア Dota 2
2位 TORONTOTOKYO 約386.8万ドル 約5.6億円 ロシア Dota 2
5位 Mira 約386.3万ドル 約5.6億円 ウクライナ Dota 2
6位 Faith_bian 約150.6万ドル 約2.2億円 中国 Dota 2
7位 Ame 約140.6万ドル 約2億 中国 Dota 2
7位 NothingToSay 約140.6万ドル 約2億 アメリカ Dota 2
7位 XinQ 約140.6万ドル 約2億 中国 Dota 2
7位 y` 約140.6万ドル 約2億 中国 Dota 2

出典:Top 100 Highest Earnings – Last 365 Days – Esports Player Rankings
(2022年10月7日における過去365日でみた年収ランキング)

上記の表を見てみると、ランキングに入っている10名の選手は全員年収2億円以上です。また、プレイする主なゲームは『Dota 2』となっています。Dota 2は日本ではあまり知られていませんが、世界的には大人気のゲームです。

日本のプロゲーマーの収入が低い理由

賞金のグラフ
先ほど紹介した世界のプロゲーマーの年収を見ると、日本人のプロゲーマーの収入が圧倒的に低いことがわかります。
日本人プロゲーマーの収入が低い主な理由は、以下の3つがあります。

・日本人は格闘ゲームのプロゲーマーが多い
・海外で人気のあるゲームのプロゲーマーが少ない
・法律的な問題で高額な賞金をかけられない

それぞれの理由を一つずつ確認していきましょう。

日本人は格闘ゲームのプロゲーマーが多い

JeSUのプロライセンスを持つ日本のプロゲーマーは、2022年10月時点で295名おり、最も多くの日本人プロゲーマーがプレイしているのが『ストリートファイターV チャンピオンエディション』という格闘ゲームです。(72名)
参考:プレイヤー | 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト

ストリートファイターは、日本のプロゲーマーに人気の格闘ゲームですが、世界的に人気のあるゲームとは言えません。
このことは、それぞれのeスポーツ大会にかけられている賞金を見れば一目瞭然です。

例えば、カプコンが主催するストリートファイター5の大会『Capcom Pro Tour』の優勝賞金は、約275万円です。
一方で、世界的に人気のゲーム『Dota 2』の公式世界大会『The International 10』では、2021年8月に開催された時の優勝賞金は約1800万ドル、日本円に換算して約26億円(10月7日時点の為替レート)です。この優勝賞金はストリートファイターと比べると非常に大きな金額差があります。
参考:The International 2021 – Liquipedia Dota 2 Wiki

スポンサーの強さや開催国などの関係も当然ありますが、基本的に大会の賞金金額とそのゲームの人気は比例します。

ストリートファイターをはじめ、日本で人気の格闘ゲームは世界的には比較的人気が低く、スポンサーも集めづらいため、賞金がつきづらく、仮に入賞したとしても日本人プロゲーマーの収入は低くなる傾向にあります。

海外で人気のあるゲームで優勝できるプロゲーマーが少ない

世界的に人気のあるゲームで優勝できるプロゲーマーが日本には少ない実情があります。
ESPORT EARNINGSが公開している賞金総額の大きいゲームは、以下の通りです。

順位 ゲーム名 賞金総額(米ドル) 賞金総額(日本円)
1位 Dota 2 約2.9億ドル 約420億円
2位 CS : GO 約1.4億ドル 約204億円
3位 Fortnite 約1.39億ドル 約202億円
4位 League of Legends 約9,570万ドル 約139億円
5位 Arena of Valor 約580万ドル 約84億円

参考:Top Games Awarding Prize Money – Esports Game Rankings(2022年10月7日時点)

先ほど紹介した、上位10名の海外プロゲーマーがプレイする主なゲームは『Dota 2』で賞金総額は、なんと420億円です。
これほど多くの賞金総額が用意されているのであれば、eスポーツ選手に分配される賞金額も高額になります。
また、2位の『CS : GO』は約204億円、3位の『Fortnite』は約202億円と、いずれも高額の賞金が用意されています。
しかし『Dota 2』や『CS : GO』などの高額賞金のかかったゲームをプレイする日本人プロゲーマーは少ないのが現状です。
『Fortnite』にはなじみがあったとしても『Dota 2』を初めて聞いたという方も多いでしょう。
海外のプロゲーマーは、賞金総額の高いゲームタイトルの大会で優勝しているので、必然的に日本人よりも収入は高くなるのです。

なお、先ほど紹介した日本人プロゲーマーのかきp選手、ふぇぐ選手、ときど選手もすばらしい戦績と高額の賞金を獲得しています。しかし、この3人がプレイするゲームは、世界的に見れば高い賞金がかけられていません。
このように、日本人プロゲーマーは、賞金総額の高いゲームの世界大会で入賞していない点も、海外のプロゲーマーよりも収入が低い要因の一つと言えるでしょう。

法律的な問題で高額な賞金をかけられない

日本では法律が厳しく、eスポーツの大会に高額な賞金をかけられません。
刑法185条には「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」と明記されています。
出典:『経済産業省』1 賭博罪をめぐる論点について

また、景品表示法に関しても、消費者庁は賞金の上限を「元商品の20倍の金額、もしくは10万円」と示しています。
出典:『消費者庁』https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/

ゲームの種類によっては、運の要素も含まれているため、刑法185条の賭博罪に関わってくる可能性は否めません。
したがって、高額な賞金がかけられた大会が開催されにくくなるため、おのずと日本のプロゲーマーたちの収入も少なくなってしまうと言えます。

プロゲーマーには給料以外の収入源がある?

動画配信の様子
プロゲーマーは大会に出場して入賞すれば、一攫千金で大金を手にすることができます。また、チームに所属しているプロゲーマーであれば、固定の給料を毎月もらえることもあるでしょう。
しかし、プロゲーマーの収入源は他にもあります。プロゲーマーの収入源は、以下の通りです。

  • 大会の賞金
  • チームからの給料
  • 動画配信による広告収入
  • スポンサー収入

ゲーマーとしてまだ無名であったとしても、「実力がある」「見ていて面白い」などの要素が大衆に受ければ、YouTubeやTwitchなどの配信サービスで動画を投稿することで、広告収入を得ることができます。
また、大会で優勝したりチームに所属することで知名度が集まれば、企業とスポンサー契約を結んで一度に巨額の収入を得ることも可能です。

ちなみに、動画配信による広告収入とスポンサー収入で最も成功したといえるのが、アメリカのプロゲーマー「Ninja」選手です。
Ninja選手のYouTubeチャンネル登録者数は、2022年10月7日時点で約2,380万人。日本人トップYouTuberのHIKAKINさんよりも1,000万人以上も多いチャンネル登録者数です。
引用:
Ninja選手
また、Ninja選手は過去に「Adidas」や「Red Bull」などの世界的大企業とスポンサー契約を結んでおり、その契約金額は計り知れません。
出典:アディダス オリジナルス公式Twitter

このように、大会で優勝したりチームから給料を貰う以外にも、プロゲーマーの知名度次第で多様な収入源があると言えるでしょう。

ゲーム関連企業の動向

バーチャル世界での握手
次に、ゲーム関連企業の動向を一気にチェックしていきます。

企業①サイバーエージェント

「サイバーエージェント」は、子会社の「Cygames」がeスポーツ関連のイベントを手がける他、ゲーム開発もおこなっています。

「Cygames」は2019年12月に、優勝賞金1億1,000万円をかけた大会『Shadowverse World Grand Prix 2019』を開催しました。なお、当大会の企画・運営には、同社子会社の「CyberE」が携わっています。
参考:Shadowverse World Grand Prix 2019 | eスポーツイベント制作・運営・企画|CyberE

また、同社子会社の「CyberZ」が、国内最大規模のゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」を運用しており、eスポーツ大会の配信やゲーム実況のライブ配信をおこなうなど、ゲーム事業に力を入れています。
参考:eスポーツ事業 CyberZ|スマートフォン広告マーケティング事業

なお「サイバーエージェント」の主要3事業「メディア・インターネット広告事業・ゲーム事業」は、いずれも営業利益を年々伸ばしています。特に、ゲーム事業に関しては「プロジェクトセカイ」や「ウマ娘」など新規タイトルが大ヒット。
さらに組織的な運用力によって、2021年の営業利益は964億円と前年より217.9%の大幅増収となりました。
参考:セグメント別の業績 | 株式会社サイバーエージェント
参考:ゲーム | 株式会社サイバーエージェント

企業②Aiming

「Aiming」は、オンラインゲームの企画やプロデュース、開発、運営などをおこなっている企業です。過去に、eスポーツプロチーム「DeToNator」のメインスポンサーを務めたこともあります。
参考:Aiming がメインスポンサーを務める e-sports プロチーム「DeToNator」が AVA 公式大会で優勝、世界大

そのほかに「CARAVAN STORIES」「ログレス」シリーズなど、人気スマホゲームの開発・運用をしています。なお、Aimingの2021年における営業利益は、14.9億円と前年から1.1%減少しています。
参考:Aiming、21年12月通期の決算は営業益11%減の14億円 予想を上回る着地 『DQタクト』通年寄与で増収も新作開発費や運営中のタイトルの広告宣伝費が響く | gamebiz

企業③カヤック

「カヤック」の子会社「Well Played」はeスポーツの企画・大会運営・配信・プロデュースをおこなうeスポーツ専門の会社です。
プロゲーマーのマネジメントやキャスティングもおこなっており、ゲームプレイヤーが活躍できる環境整備にも力を入れています。
さらに、大会企画運営や配信・番組制作、新規開発タイトルのコンサルティングまですべて”ワンストップ”で携わっています。
なお、2022年12月期におけるカヤックの営業利益は、3.3億円(前年同期比62.0%増)と第2四半期としては最高業績を達成しました。
参考:eスポーツ大会・施設の企画運営(ウェルプレイド・ライゼスト株式会社) | 面白法人カヤック
出典:2022年12月期 第2四半期 決算説明会資料

企業④KADOKAWA

niconicoを手がける「KADOKAWA」は、映像・ゲーム部門を含めて、2022年3月期の連結決算における営業利益が過去最高となりました。営業利益は約185億円と前年から35.9%増加しています。
出版事業、海外事業でもともと好調だったことに加えて、同年2月にリリースされたアクションRPGゲーム『ELDEN RING(エルデンリング)』が大ヒットしたことも理由の一つです。
参考:IR情報|KADOKAWAグループ ポータルサイト

また、KADOKAWAのグループ会社である「KADOKAWA Game Linkage」は、自社がプロデュースするeスポーツチーム「FAV gaming」を運営しています。2018年に設立されたFAV gamingは、現在「格闘ゲーム部門」「レインボーシックス シージ部門」「VALORANT部門」の3部門が誕生し、合計17名の選手が所属しています。
参考:KADOKAWA Game Linkage
参考:FAV gaming

企業⑤コナミ

「コナミ」は、全国都道府県対抗eスポーツ選手権やeFootball™ Championship 2022などのeスポーツの各種大会・イベントを数多く開催しています。
参考:「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI」eFootball™部門
参考:『eFootball™ 2022』公式eスポーツ大会「eFootball™ Championship 2022」6月に開催決定! | 株式会社コナミデジタルエンタテインメント

また「コナミ」は、2020年にeスポーツスクールを開講し、業界で長く活躍できる人材育成にも貢献しています。
なお、3月通期の連結決算における営業利益は、前年度から103.6%増の約744億円でした。

参考:コナミホールディングス株式会社2022年3月期 決算発表資料(6ページ目)

企業⑥カプコン

「カプコン」は、ストリートファイターシリーズで、数多くのeスポーツ大会を積極的に開催してきました。2022年は世界19カ国で各1回ずつ実施される、個⼈戦のオンライン⼤会「CAPCOM Pro Tour 2022」を開催中です。
参考:Capcom Pro Tour 2022 | カプコンプロツアー2022

eスポーツ開発・運営スタッフとなる方法や年収

e-sportのステージ
eスポーツ選手ではなく、eスポーツに関する仕事をしたいのであれば、以下の3つの選択肢を考えておきましょう。

  • eスポーツ大会・イベントを主催する企業に就職する
  • eスポーツチームをサポートしている企業に就職する
  • eスポーツ関連のエンジニアになる

それぞれについて、詳しくお伝えします。

eスポーツ大会・イベントを主催する企業に就職する

eスポーツに携わりたいなら、まずはeスポーツ大会・イベントを主催する会社に就職することを検討しましょう。
先述した「コナミ」や「カプコン」では、数多くのeスポーツイベントを積極的に開催中です。
eスポーツを主催するのは大企業であることが多く、eスポーツ開発・運営スタッフの年収は高いことが予想されます。
ちなみに、カプコンの平均年収は、約713万円(2021年度)となっています。
参考:株式会社カプコン有価証券報告書 ‐ 第43期

eスポーツチームをサポートしている企業に就職する

eスポーツチームを運営しているまたはサポートしている企業に就職するのも、eスポーツ関連の仕事をする上では、おすすめの手段です。
例えば、eスポーツ大会・イベントを「ターゲット層にどのようにリーチするのか?」などを考える「eスポーツマーケティング」の企業があります。
さらに、選手・チームのプロモーション強化のために、カメラで撮影・動画編集をおこなう「eスポーツ映像クリエイター」や大会映像の演出を手がける「eスポーツディレクター」などの仕事もあります。
ちなみに、厚生労働省が発表している令和3年度の賃金構造基本統計調査によると、マーケティング職の平均年収に関しては約621万円。映像クリエイターの平均年収に関しては、約320万円と報告されています。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)

eスポーツ関連のエンジニアになる

最後に紹介するのは、eスポーツ関連のエンジニアになることです。
業務内容としては、eスポーツポータルサイトの開発や、運用などがあげられます。
例えば、eスポーツ大会を主催すると、大会用のホームページを作成するだけではなく、出場者のエントリー機能や大会の最新情報、戦績データの閲覧など、数多くの実装が必要です。
なお、令和3年度賃金構造基本統計調査によると、エンジニアの平均年収は約559万円とされていますが、eスポーツは成長産業でもあるので、これから需要の高い分野のエンジニアと言えるでしょう。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)

eスポーツの投資信託がある?

eスポーツの銘柄
参照:大和アセットマネジメント株式会社 2022年10月19日月次レポート
ゲーム及びeスポーツに特化した投資信託『iFreeActive ゲーム&eスポーツ』(大和アセットマネジメント)にも注目です。

『iFreeActive ゲーム&eスポーツ』は、日本はもちろん世界のゲーム及びeスポーツ関連の株式の中から、10~20銘柄程度を組入銘柄として選定しています。2022年8月31日時点では、日本の「任天堂」「カプコン」やアメリカの「エレクトロック アーツ」や「アドバンスト マイクロ デバイシズ」などが代表銘柄となっています。
参考:iFreeActive ゲーム&eスポーツ:組入銘柄情報 – みんかぶ(投資信託)

『iFreeActive ゲーム&eスポーツ』は大和投資信託が運用するもので、楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券、ソニー銀行などで取り扱っています。2022年10月7日時点の基準価額は13,067円です。
参考:iFreeActive ゲーム&eスポーツ / 大和アセットマネジメント株式会社

まとめ

東京オリンピック開催前のイベントとして、国際オリンピック委員会がeスポーツ大会を開催し話題になりました。eスポーツは世界的な盛り上がりを見せており、eスポーツが正式にオリンピック種目になる日は近いかもしれません。
また、コロナウィルス感染拡大に伴う巣ごもり需要でさらに市場が拡大しました。したがって、eスポーツの盛り上がりは、今後もますます広がっていくことが予想されます。

しかし、日本におけるeスポーツをとりまく環境は、選手にとってまだまだ競技に専念できる状況とは言えません。
海外におけるeスポーツ大会の賞金金額は、1億円以上がある種スタンダードとなっており、eスポーツプロゲーマーはれっきとした職業として認められています。
一方で、日本の場合は、法律的な制約によりeスポーツの賞金金額がまだまだ少ないのが実情です。
これからのeスポーツ市場が日本でさらに発展していくためには、ゴルフやボクシングなど、他のプロスポーツ大会並みの賞金が獲得できる大会を開催していく必要があるでしょう。

プロゲーマーで生計を立てていくには、大会で入賞したり、チームに加入したりなど、一定の実力と実績が求められます。
現状では、プロゲーマーが職業として安泰していると簡単に言い切ることはできません。しかし、eスポーツを支える基盤体制が徐々に構築されていけば、誰でもeスポーツに挑戦できるようになるでしょう。
そして、知名度が高くなり、多くのファンとスポンサーがつくことで、eスポーツ選手は安心して競技に専念できるようになります。
今後、有望なeスポーツ選手が育ち、日本のeスポーツ市場をますます盛り上げてくれることが期待されます。