クリエイティブ業界の注目情報や求人情報などを発信する、クリエイターのための総合情報サイトです。

「バイオハザード」シリーズ育ての親であるカプコン小林裕幸さんに聞く

シリーズ累計販売本数7,700万本超のサバイバルホラー・アクションの代名詞、「バイオハザード」の世界観をベースに、最新フルCG⻑編アニメーション技術で映画化したシリーズ最新作、『バイオハザード:ヴェンデッタ』が公開になります。歴代ゲームに登場した人気キャラクターたちをはじめ、不気味な存在を醸し出すオリジナルの新キャラクターまでが予測不可能なバトルを繰り広げ、新たに広がる世界観に感動必至の一作となっています。

ファン待望の最新作には、エグゼクティブ・プロデューサーの清水崇(『呪怨』シリーズ)を筆頭に、監督を辻本貴則(『THE NEXT GENERATION パトレイバー』)、脚本を深見真(アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」)、音楽を川井憲次(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』)が担当するなど、超一流のクリエイターが大集結! そして同シリーズの育ての親であるカプコンの小林裕幸さんが、原作監修として総合的なプロデュースを行っています。そこで今回、小林さんに今の仕事を目指したきっかけや、ヒット作を生み出す秘訣、そして未来の映像クリエイターへのアドバイスなど様々なことを伺います。

大学でCG専攻 ゲーム業界が近いと思い、カプコンへ入社

カプコンには95年入社なので22年ほど前の話になりますが、大学ではCGを専攻していて、当時ハリウッド映画でCGが使われ始めた頃でした。日本ではフジテレビで「ウゴウゴルーガ」などでCGが使われ始めた時代で、いずれCGを使った仕事がしたいと思っていました。大学4年生の時にSEGA SATURNとPlayStation(R)が出て、アーケードでは出ていましたが、ゲーム業界もCGの時代に入っていました。CG作業のアウトプットとして分かりやすいゲーム業界が近いなと思ったので、就職活動を経てカプコンに入ったという流れです。

だから今の仕事はやりたかったことではあるんですけど、最初はそんなきっかけで理系の大学を出てプログラマーで受けて、カプコンに入社して。たまたまPlayStation(R)の「バイオハザード」の1作目に参加したんです。そういう流れで仕事が始まりました。一応ファミコン世代なので、小学生の頃などディスクシステムまでやっていましたが、高校で一旦離れ、マンガやアニメや映画にシフトしました。その後、大学でまたゲームに戻ったのですが、その時にゲーム会社って就職先の一つなんだって気づいたんです。当たり前のことですが、自分の中で就職先とゲームが仕事として繋がっていなかったんですよね。それで運よく「バイオハザード」のチームに入った、ということがスタートでした。

バイオは社にとっても異質な作品に ヘンなチームで100万本突破の快挙!

新人なので苦労はありました。でも達成感がすごかったですね。発売日にはお店に行って、ゲームを買ってくれるお客さんがいるかちゃんと観に行きました。お客さんがレジに持ってくるとうれしかった。ランキングも気になりましたね。1作目はカプコンとして初めてのCGゲームだったので、若いメンバーが多かった。社の主要タイトルは別にあったので、寄せ集めチームではありました。もうカオス(笑)。だからよく怒られながらやっていましたよ。20代前半でゲームの作り方もわかっていなかったので、いま振り返るとよくやっていたなあと。一番上でも30代前半。会社はよくそんなチームを作ったものだと思います。大学生のノリが残っていて、よくマジなケンカもしていました。今じゃあり得ないです(笑)。

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

ただ、熱意はすごくありました。よいゲームにしたいというクリエイティブな欲求は高かった。でも、我のぶつけ合いで、すごく細かいことでケンカもしました。時代ですよね(笑)。22年前は3D技術のPlayStation(R)もハードが出て間もないころで、作っている技術もいろいろと実験しながらやっていたので、だからチャレンジなチームでしたよ。96年頃って実写っぽいゲームはめずらしかったので、カプコンにとってももちろん異質なゲームで、らしくない、海外で作っているようなゲームだった。ただ、だからこそ海外で逆にヒットしたんですよね。結果国内で100万本までいったけれど、ヘンなチームでよかったかな(笑)

好きだけではダメ――売ることも考えて総合的に判断するプロデュース業

2がすごくヒットして4が出た頃、映画になると。ミラ・ジョヴォヴィッチが主演で、その実写があってからの2008年にCG版が誕生しました。ゲームの4のプロデュースが終わった後CG映画の話が動いて、『バイオハザード ディジェネレーション』が誕生したんです。映画ではゲームのキャラクターを活かすことができるので、もともと映画化には挑戦してみたいと思っていました。苦労はしましたが、やってよかったですよ。ゲームよりもハイエンドのCGモデルなので、全部作り直しだったんです。レオンの顔ってCGで作ることが難しくて、かなり苦労しました。久々の登場だったクレアもCGのクオリティーがガッと上がったので、彼女は設定から作り直しました。ゲームに登場してなくて久々の登場だったので、「クレアはいま何をしている?」という地点から考えて設定を作りました。大変でしたね。

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

ただ、作る以上はファンが希望するキャラを出してあげたいし、最近出ていないキャラも出してあげたいなど両方考えます。レオンは人気があることと自分がファンなので、出している。クレアもゲームに出ていなかったので、出してあげたい。最新作ではレベッカが登場しますが、彼女もずっと出なかったので久々に出してあげようと。ファンの声に耳を傾けながら、製作都合と物語の都合を考えて決めます。だから、自分がファンでも人気がなければ、起用は見送るとは思います。それは日頃プロデュースをやっているので、売ることも考えないといけないから。合致できているので、レオンはいいわけです。ジルは最近ゲームに出ていて、とても人気がありますが、今回は設定上、難しいと判断し、最終的にレベッカに決めました。いちクリエイターであればわがままを言って出すかもしれないですが、総合的に物事を考えなくてはいけない。映画のプロデューサーとも相談をします。それは映画製作の特徴でもありますよね。

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

今回の映画は、1作目2作目がアクション系だったので、ホラーをやりたいというコンセプトがまずありました。ホラーなので清水崇さんにエグゼクティブをお願いして、アクションが得意な辻本貴則辻さんに監督をお願いしました。前半からレベッカの研究所まででホラー感を出しつつ、後半は救出作戦で辻本さんのカラー全開のアクションが満載。それでバイオお決まりのクリーチャーが出てという展開なので、めちゃくちゃ楽しいと思います。

アウトプットしているだけだと枯れて行く一方 モノ作りは、吸収が大事!

もうひとつ「戦国BASARA」シリーズは、自分で初めて立ち上げた作品でした。それまでは会社が決めたことを進めていましたが、自分で始めたので大変でしたけれど、10年間続いた。いずれ自分でとは思ってはいましたが、ただ、こういうことはタイミングですね。今、ゲームを元に映画を作る、マンガを元にアニメーションを作る、テレビドラマや舞台化など、ゲームコンテンツでいろいろなエンターテインメントをやっていることが楽しいですね。「戦国BASARA」シリーズで言うと、富士急でアトラクションをやらせてもらいましたが、仕掛けを考えるなど遊園地の設計が楽しかった。「バイオハザード」で言うと、USJでシューティング系のアトラクションを作りましたが、そういう広がりが楽しいですよね。エンタメのいろいろなことに首を突っ込んでいる感じが楽しい。特に今回、僕は清水さんのファンでもあったので一緒に仕事ができること、そのことの広がりが本当に楽しかったです。

とはいえ、モノ作りは大変です。はっきり言って普通の生活は送れないので、それが嫌な人は思いとどまったほうがいいですよ(笑)。意気込みがないと、たぶんなれない。モノ作りは時間がかかるので、一般的な人の寝食の時間、趣味の時間を減らして作る時間にあてないと、やっぱりいいものは作れない。それに学び続けなくちゃいけないので、辛いですよ。技術の進歩がハンパないので、ついていくこと自体が大変だなと思いますね。映画なら観る、ゲームなら遊ぶ、マンガなら読むなどしてトレンドやいい作品から感性を得続けないといけない。実はホラー、苦手だったんですよ(笑)。それではマズいと思い、最初の頃は映画館に通って、ホラーのセオリーなどを勉強しました。しかも楽しみながら学ばないと、ただ辛いだけなんです。モノ作りもしんどいだけ。僕も含めて普通の人は、アウトプットしているだけだと枯れて行く一方なので、吸収が大事ということは言いたいですね。

作品情報

『バイオハザード:ヴェンデッタ』
5月27日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

物語

対バイオテロ組織「BSAA」のクリス・レッドフィールドは、ある情報を基に、武器密売組織の拠点である謎の洋館へ突入する。探索の最中、クリスは国際指名手配犯であるグレン・アリアスと対峙するも、信じがたい光景を目の当たりにし、結果アリアスを逃してしまう。一方、元ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の一員だったレベッカ・チェンバースは、現在は大学教授として、「死者が甦り、凶暴化する」という不可解な事件の調査、研究に携わっていた。事件の調査により、「新型ウィルス」が関係していることを突き止めた彼女は、治療薬の開発に成功。その直後、研究所が何者かに襲撃され、レベッカは死の危険にさらされてしまう。幸いにも駆けつけたクリス達によって、九死に一生を得るのであった。
この襲撃後、クリスとレベッカは、アメリカ大統領直轄のエージェント組織「DSO」に所属しているレオン・S・ケネディのもとへ…彼は、この新型ウィルスが関わる事件を最もよく知る人物だった。再会を果たす、クリスとレオン。アリアスの真の目的が“バイオテロ”だと掴んだ二人は、レベッカと共に、その策略を阻止し人々を救う為、彼を追いニューヨークへと向かうのであった。

エグゼクティブ・プロデューサー:清水崇『呪怨』シリーズ
監督:辻本貴則『NEXT GENERATION パトレイバー』
脚本:深見真『PSYCHO-PASSサイコパス』
音楽:川井憲治『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』
原作監修:小林裕幸(カプコン)
制作:マーザ・アニメーションプラネット
配給:KADOKAWA

公式サイト:
http://biohazard-vendetta.com/

小林裕幸(こばやし・ひろゆき)

株式会社カプコン プロデューサー
1972年生まれ。愛知県出身。1995年、カプコンに入社。「BIOHAZARD」「DINO CRISIS」などのゲーム開発に関わる。1999年、「DINO CRISIS2」で初プロデュースを手掛け、「Devil May Cry」シリーズ、「biohazard」シリーズ、「戦国BASARA」シリーズなどにプロデューサーとして参加。ゲーム以外にも、映画「バイオハザード」シリーズ、アニメ「デビル メイ クライ」、アニメ・舞台・TVドラマと広がった「戦国BASARA」などに携わっている。