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全世界待望のシリーズ最新作、『ファイナルファンタジーXV』。ディレクター田畑 端さんのゲーム制作にかける想いとは?

株式会社スクウェア・エニックスの代表作のひとつ『ファイナルファンタジー』シリーズ作品で、全世界で累計600万本を突破、さらに今後のアップデートも期待される RPG『ファイナルファンタジーXV』のディレクター、田畑端さんにお話を伺いました。

興味あることが、ゲームの中で自分のこととして体験できるのが凄いと思った

初めて「自分でゲームを作りたい」と思えたタイトルは、コーエーの『信長の野望』と『三国志』です。
当時は架空の物語の体験よりも、実際にあった史実や歴史を遊ぶほうが好きでしたね。天下統一とか、すごいそそるじゃないですか!ロマンを感じていたんでしょうね。「歴史が好き」という自分の趣味や興味が、実際に自分でゲームの中で体験できる。これがめちゃくちゃ面白くて、その時にゲームは思ってたよりずっと凄いなあと思いました。

ファミコンのゲームや、RPGも『ドラゴンクエスト』とか『ファイナルファンタジー』はやっていましたし、自分が主人公になって知らない世界を冒険することも面白かった。でも僕の場合は、ストーリーよりも、世界自体に没頭するゲームを作りたいという方が、意欲としては高かったです。

最初に入った会社は、今コーエーと合併したテクモでした。そこを受けた理由は『キャプテン翼』というゲームをテクモが作っていたから。『キャプテン翼』は好きだったので、この会社に入ったら楽しいんじゃないかなと思ったんです。当時は各社がどういうゲームを作っているか、よく分からずにゲーム業界に入りましたね。

すごく大きなビジネスであることを、改めて実感した

今まで開発した作品はたくさんあって、どれも同じくらい思い入れが強いです。
でも、『ファイナルファンタジーXV』は今まで関わった中でも質が違うと感じました。

発売を延期してしまったときに、社内外のいろいろなものに対してすごく影響が大きかった。
頭では分かっていましたが、制作の進行に合わせていろいろなビジネスを成功させるために全社で動いていることや、ゲーム業界の様々な方々にとって、ゲームの発売日が変わることでいろんな変化や苦しい状況があったのを目の当たりにしました。制作現場によく社長が様子を見に来るようになりましたし。すごく大きなゲームで、単なる「ゲームを作って発売する」ということではなく、すごく大きなビジネスであること、業界にも影響を与える大きな事業であるということを改めて感じましたし、勉強にもなりました。

大きなプロジェクトだからこそわかったこと

株式会社スクウェア・エニックス 田畑 端さん お写真1『ファイナルファンタジーXV』の制作現場では、スタッフも高い負荷を抱えながら仕事をする状況がずっと続いていました。もちろんみんな力がついて成長する。でも、いろんなところに無理をしていたんです。
大体の人たちは家庭にしわ寄せがいってしまうんですね。多分みんな、プライベートでいろんなことをギリギリで成立させながら仕事を頑張ってたんだなっていうのをすごく感じた時がありました。

そんな時に、うちの会社で「ファミリーデー」というものがあったんです。僕はすぐにチームの皆と話し合い、独自のファミリーデイを開催することにしました。スタッフのプライベートを支えてくれている家族にできるだけ多く来てもらって、みんなで徹底的にサービスをしました。子どもたちにFFXVを知ってもらうために、クリスマス特別バージョンというものも用意しました。僕もたくさんのご家族にご挨拶し、なるべく現状を説明して回りました。
スタッフの家族の方とコミュニケーションできたり、楽しんでもらう場を作れたのはすごくよかった。家庭での過ごし方が少しでも円滑になれば、みんなも張り切って仕事に打ち込めるし、すごく思い出に残っています。スタッフだけでなく、その家族の負担もケアしなければならないというのは、この大きなプロジェクトだから気づけたことですね。

全員で同じひとつの目標に取り組む

多くのスタッフと関わり合う中で心がけているのは、「全員がちゃんと同じゴールを見ているか」「何のための取り組みかを理解しているか」「シンプルな、絶対ブレない目標になっているか」。あと、スタッフが何を言いたいのかは常に知る努力をしています。

最終的に僕たちは、作ったものをお金を払ってもらってユーザーの皆さんにお届けするのが仕事なので、内容を確認する際には、これを世に出して良いものかどうか、というところをまず考えます。
スタッフの成果物にNGを出す必要がある時は、何がダメで、こうすると目標に到達できるというところまで話すことを心がけていますね。

最初に目標をはっきりと決めていれば、ここに届いていない・届いている、ずれている・ずれていないというのをちゃんとお互いに持っていれば分かってくるので、その人の人格を否定するような事には全くならないですね。ちゃんと作ったプロとしてのものが最初の目標通りになっているかどうか、必要な品質に到達しているかどうか、遊んだ人がどう感じるか。意図した通りに感じるかどうか。重要なのは目先の個人の成果ではありません。チームで到達するべき最終ゴールです。

長期の目標を立てた時点で、決めた道以外には行かないというのをはっきりと決めて、あとは全員でそこだけを目指しています。今やっていることを完成図と照らし合わせて、合っているか合っていないかというのが日々の制作の良いか悪いかの判断の基準になっています。

世界中のファンに楽しみにしてもらえているのは、幸せなこと

株式会社スクウェア・エニックス 田畑 端さん お写真2「『ファイナルファンタジー』シリーズのディレクターである」ということ自体にはプレッシャーは感じたことはないです。最近の世代のゲームは、まず「完成させられるか」というのが大きなハードルになっていて、いかに目指したものを完成させるか、そのものが競争力を持てているか、意図した人たちの手に渡るのかどうか、しっかりと楽しんでもらえて広がりを作れるかどうかを考えます。そうすると「『ファイナルファンタジー』のディレクターだ」と感じるよりも、「今作らないといけないゲームを完成させ、届けること」が第一になります。

ただ、開発から一歩外に出ると、「待ってます」「楽しみにしてます」という声をたくさん耳にします。ファンの方の楽しみの一端を担っているという部分で、責任を感じます。 でも、嬉しい事の方が多いです。楽しみにされるというのはポジティブで、すごく幸せなことじゃないですか。そういう声から多くのプラスのエネルギーを頂いていますね。

シリーズ作品の中での役目

『ファイナルファンタジー』のファンの方は、自分の好きなナンバーが必ずあるんです。だからシリーズを任されたことで僕が心がけていたのは、過去のシリーズと比べた時に「『ファイナルファンタジーXV』が1番」って言ってくれる人がちゃんと生まれる、というところでした。発売してからそういう風に言っていただく機会もあったので、15番目の最新作としての役目は果たせたかな、と思います。

『ファイナルファンタジーXV』の今後についても、こういうことをやりたいという企画はたくさんあります。まだはっきり言えない部分もあって今発表している内容に止めていますが、その中のどれだけ実現していけるかというのは、支持してくれる方々がいて、我々もコストをかけて作るものとしてバランスが取れる限りは、なるべく長く、たくさんやりたい。もともと発売までかなり待たせてしまったので、その分できるだけ長く遊べるようにしたいなと思っています。

タイトルを起動したときにファンの方へのメッセージを表示していることにも意味があって、1つは開発をしている時に毎日目にすることで、「ファンも、そうじゃない人も、どちらも大事にしなくてはいけない」という自分たちプロの開発者に対するメッセージ。もう一つはユーザーの方々に対する素直なメッセージなんです。

よくプロモーションをしている時に 、「FFを挑戦者にするんです」というようなことを僕は結構言っていたんですけど、それを突き詰めていくと、今まで自分たちがやっていたことでやりきれなかった部分をもう一回頑張ってやってみよう、ということになるんです。つまり自分たちが挑戦者になるということ。そのためには昔から「FF」が大好きだったファンの人たちに、今『ファイナルファンタジーXV』を作る我々が「ちゃんと挑戦してる」と感じてもらうべきだという考えが、あそこには入ってますね。

世界を楽しみ、心ゆくまで旅をしてほしい

株式会社スクウェア・エニックス 田畑 端さん お写真3今回はストーリーを一気にクリアするのではなくて、あの世界にいる時間、仲間と旅を楽しむようなゲームにしています。例えば釣りや料理にもすごくこだわっていて、それぞれ本当に突き詰めた人たちだけで作っています。おかげで最初は釣り用語ばっかり出てきて全く分からなかったり、釣りの腕前でチーム内での発言力が決まったりするという(笑)。
限られた中でも「本当に最高の仕事をする」という目標だったので、多くの人が楽しめる作りになったのではないかなと思います。

いいのが釣れるとみんなが集まってきて声をかけてくれたり、一緒に水に飛び込んで喜ぶというように、仲間との関わり方も他のシリーズとは少し立ち位置が違っていて、そういうところをすごくこだわっています。ストーリーだけ進めていくと、どうしてもその要素がちょっと欠けていってしまうので、遊び方によって評価が分かれるゲームだな、というのは今感じています。

既存曲である「スタンドバイミー」をテーマに起用したのも、曲の持つ魅力と歌詞の内容が旅の最後の演出と合っていたからです。RPGはクリアすると終わってしまうのが普通ですが、終わった後にちゃんと自分でやったことを思い出として振り返ることができるようにしたかった。昔の「スタンドバイミー」ではなく、現代性のある女性ボーカルにすることで、最終的にユーザーに感じてほしいイメージと重なる曲になりました。

自分の得意な分野、強みを活かせる仕事をしてほしい

株式会社スクウェア・エニックス 田畑 端さん お写真4

『ファイナルファンタジーXV』のようなクオリティのゲームが世の中にあまりないのは、なかなか作れないからです。正直、現世代ハードで大作を開発するのはすごくしんどいんですね。それは開発だけではなくて、それを支える周囲のスタッフも同様で、開発を支える予算や、それを世界中にデリバリーするための仕組みやスタッフも、これまで以上に開発に密接で重要な役割を担っています。一本の「人の心を動かすゲーム」を作って世界に届けるには、本当にいろんな仕事をする人たちがたくさんいるんです。

この業界を目指す人たちは開発だけではなくて、一緒にチームを組んで仕事をしている人たちもたくさんいて、いろんな仕事があるというところにも目を向けて、自分の得意な分野、自分の強みを活かせる仕事をしたいっていうモチベーションでゲーム業界に来てほしいです。
僕たちの職場に来るのであれば、「いいものを作ってユーザーに届ける」という前提において開発も、開発ではない仕事も全く上下がありません。開発以外の人たちの情熱や覚悟や、ちゃんと決めて一緒に仕事をしてくれる人たちの心が、最後まで作り切れるかどうかをすごく左右するんです。なので開発のみならず、強い意思を持って「ゲームをつくる仕事に就きたい」と思ってくれると嬉しいです。
我々は常に、一緒に未来を切り開ける仲間を求めてますよ。


■『ファイナルファンタジーXV』 公式サイト
http://www.jp.square-enix.com/ff15/

記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
(C) 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

田畑 端(たばた・はじめ)

株式会社スクウェア・エニックス「FFXV」ディレクター
2004年1月、株式会社スクウェア・エニックス入社。
「ビフォアクライシス -ファイナルファンタジーVII-」(携帯電話)、「クライシスコア -ファイナルファンタジーVII-」(PSP)、「The 3rd Birthday」(PSP)、「ファイナルファンタジー 零式」(PSP)など多くの作品でディレクターを務め、現在は「ファイナルファンタジー」シリーズ最新作「ファイナルファンタジーXV」のディレクターを担当する。

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