デザインコンセプトを伝える、クライアントに提案する、SNSで投稿する…。ライターでなくとも、すべての人に訪れる文章作成のタイミング。プロにお願いできれば良いですが、スケジュールや予算の関係で、自分でアウトプットしなくてはならない機会に出くわしたとき、困っている人は多いはず。

そんな問題を解決すべく、今回は株式会社ウェブライダーの代表取締役 松尾茂起さんにご指導いただき、「言語化能力」を短時間で集中的に増強するブートキャンプ式ウェビナーを実施しました!

この記事で得られる学び

  • 忘れがちな6W1Hを意識するだけで、読んでもらえる文章になる!
  • Fact(事実)の解像度を高めて物事に光を当てると、良文が書ける!

1.講座概要

「クリエイターのための言語化ブートキャンプ」前半は、松尾さんが長年培ってきた経験をベースに、ライティングにおける考え方を詳しく解説。後半は、複数の例題を元に文章作成にチャレンジ。繰り返しアウトプットしていくことで知識を定着させ、強く無駄のない「言語化能力」を養いました。

2.登壇者紹介

松尾 茂起(松尾 シゲオキ)氏
松尾 茂起(松尾 シゲオキ)氏1978年生まれ、奈良県出身、京都&東京在住。
関西学院大学卒業後、舞台音楽を手がける制作会社に入社。
2005年に過労により退職後、自分のスキルを活かせる方法はないかとWebの世界へ足を踏み入れ、Webライティング・Webマーケティングを独学で学ぶ。
2006年に自身のピアノ伴奏を素材としてまとめた「超!ピアノMIDI素材集」をつくり、前職の給与を超える売上を実現。
2007年からは、自身のノウハウを広める事業を始め、検索集客のノウハウをまとめたHPテンプレート「賢威(けんい)」を販売。(累計約30,000ユーザー)
2010年に法人化し、株式会社ウェブライダーを設立。
法人との直取引によるWebコンサルティング事業を本格化し、Web集客からブランディング、商品・サービス開発まで幅広く支援。
2017年には文章作成アドバイスツール「文賢(ぶんけん)」を開発。
上場企業から中小企業まで、1,000社を越える企業に導入されている。

講師としても、宣伝会議「編集・ライター養成講座」や「ad:tech 」「CSS Nite」などで登壇。
CSS Niteでは年間ベスト・スピーカー賞を4度獲り(2013、2015、2016、2017)、殿堂入りを果たす。
主な著書に、シリーズ累計19万部突破の『沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』など。

ピアノ弾き・作曲家としての顔ももち、「松尾シゲオキ」名義で、国民文化祭2011の音楽イベントのプロデュースや、京都の貴船神社などに楽曲提供している。
自身がプロデュースした「私の心の中の関数」は、Amazon国内MP3ランキング第1位にも選ばれる。

▼ウェブライダー企業サイト
https://web-rider.jp

3.6W1Hを意識せよ!

冒頭で、自身の経歴や仕事実績を丁寧に、詳細に話された松尾さん。実は、ここにも既に「ライティング」の極意が潜んでいました。
「最初に詳しく自己紹介をした理由は、ライティングの際に重要な“6W1H”のなかの“Who(誰が)”という情報をきちんと伝えたかったためです」
“6W1H”というのは英語学習者ならご存じのとおり、Who、Why、Whom、What, When、Where、Howのこと。

ライティングの6W1H
Who(誰が)…書き手(発信者)の情報
Why(何のために)…書く目的や理由
Whom(誰に)…読み手の対象
What(何を)…読み手に届けたい「主張」や「情報」
When(いつ)…読み手に文章を届けるタイミング
Where(どこで)…読み手が文章に触れる場所
How(どう伝えるか)…文章の表現や演出

文章を読んでもらえずに悩んでいる人は、だいたいこの6W1Hのうちのどれかが欠けていることが多いのだとか。
「僕が自己紹介でWebマーケティングに携わっていることや、編集・ライター養成講座に登壇しているという経歴を伝えることで、文章力アップのためにこのセミナーに参加したであろうみなさんは、聞く前よりも『信憑性がありそうだな、聞いてみようかな』と感じたと思います。どれだけ良い情報でも、誰が、どんな人が発信しているかが伝わらないと、自分の思い通りには相手に伝わりません

「それって結局、えらい人の言葉しか伝わらないってこと?」と思いきや、権威のありなしは大きな要素ではないのだとか。
同じ属性や悩みを持つというのも大切な要素です。時には、匿名の発信だから効果的なこともあります。距離感が近い人からの助言だと、いろんなバイアスがかかった答えしか得られないけれど、匿名の人ならそれがないから聞いてみたい、と思うように。相手の属性やタイプ、悩みを理解し、そこに刺さるような“Who”が有効です」

そもそも、それって文章でないといけないの?…Whyを考える

自分が発信するとき、情報はどんな順序を経て伝わっていくのでしょう。

「まず、自分の頭の中の考えや感情を、文章や言葉などのかたちで“見える化”します。その言語化されたものを、相手が見たり、聞いたり、読んだりして、相手に伝わり始めます。けれども、自分の伝えたいことは100%そのまま相手に伝わるわけではありません。

自分と相手の前提や知識、生きてきた経験値が違うため、必ず相手の頭の中で“翻訳”されるんです。自分が伝えたことが相手の頭の中で翻訳されたときに、大きな相違や誤解がなく伝えられるかがすごく重要なんです

自分の頭の中→言語化(見える化)→相手が見聞きする→相手の頭の中で翻訳される

“見える化”するための表現方法は、言葉の他にも、絵、ジェスチャー、時には音楽も使えるかもしれません。そのなかでも、あえて「言葉」を使う強みとは?

「言葉は、みんなが使えるツールです。イラストやデザインで伝えようとすると、絵が苦手だったりPhotoshopなどのツールが使えないとうまく伝えられませんが、言葉なら差はあれど誰でも使えますよね」

けれども、言葉を使ってうまく表現すること自体に苦手意識を持つ人も多いはず。それを解決するには?

「私たちの思考は、私たちが持っている言葉に依存します。つまり、思考するためのパーツである“言葉”がたくさん頭に入っていないと、言葉以上のことは考えられないんです。だから『本を読む』、『いろんな人の話を聞く』、『いろんな価値観に触れる』のが大切と言われるんですね。

また、情報は、通常は“文章”では記憶されません。僕が今話していることを、文章として一言一句覚えることは難しいですよね。人は、情報を『要点となる言葉を頭の中に残しておく』ことで記憶するんです。文章やトークのうまい人は、相手が頭の中に残しやすいような、ギュッと意味が圧縮された言葉を、適切なタイミングで出しているんです

4.Fact(事実)の解像度を高めよ!

ライティングがうまくできない理由は、「見ているものを言葉にできない」ことと、「思考をうまく整理できない」ことに集約されると話す松尾さん。それらを解決する方法とは?

Writing(書く)=Lighting(光を当てる)である

「見ているものを、言葉を使って書くためには“語彙”が必要。かといって、今から必死に読書などをしなくても、私たちは、すでに基本的な語彙は持っているんです。あとは、語彙の選び方や組み合わせ方を知ればいいだけ」

「では試しに、これを見て説明をしてみてください」と映されたのは、1枚のサラダの写真。
例題:サラダの写真

「難しい言葉は使わなくてよい。まず単純に観察をすることが大切です」という松尾さん。

松尾さんの回答例:
黒いテーブルに置かれた丸くて白いお皿に入ったサラダは、とてもカラフル。鮮やかな緑のレタスやベビーリーフ、水分を含んだトマト、そして、紫と白のオニオンが良い色の世界を創りあげています。お皿の横にあるベビーリーフと岩塩が、ちょっとしたアクセントになっていて、配置にこだわりを感じます。

「たった1枚の写真を観察するだけでこれくらいの情報が得られますが、文章が苦手という人は観察をしないことが多い。まずやるべきことは、自分の心の中の世界を文章化することではなく、Fact(事実)を羅列することなんです」

サラダの写真の説明は、松尾さんの回答だけでじゅうぶんに思えますが、まだFactが足りないそう。

『それってあなたの感想ですよね?』という、かの有名な(笑)フレーズがありますが、文章を書くときに自分に問いかけたい言葉です。気の置けない仲間に伝えるときはそんなに労力はいりませんが、初対面の人など、すぐに自分の頭の中に寄り添うことが難しい人には、最初から感想、情緒的な表現を伝えるのは難しい。まずはFactをできるだけ伝えて、頭の中の前提条件を揃えることが大切です。

『黒いテーブル』っていうのは、どんな黒か? 材質は? など、自分で問いかけて答えを探し、表現するのが効果的。分からないことは調べればいい。テーブルの正確な色や素材の名前を知らなければ、画面キャプチャをしてGoogle画像検索で調べたりするのも手。ライティングとは、物事に光を当てて(lighting)細部を言葉の絵の具で丁寧に大胆に描いていくことなんです」

思考は“Vライティング”で整理

見えないもの、たとえば自分の心の中などはどう言葉にすればいいのでしょう?
自分の心の中の動きや、身体の反応を言葉にしてFactのように伝えるとよいです。一見、情緒的な情報も、紐解いていくとFactが多いことがわかります」

ここで出されたのは、一枚のワインの写真。
「たとえば『おいしい』を、おいしいという形容詞を使わずに表現するなら、どうしますか? そういったときは、“Vライティング”が効果的です」

松尾さんのいう“Vライティング”とは、Verb(動詞)を用いて書くこと。
「副詞や形容詞を意識的に減らして、動詞を活用してみることで、相手がイメージしやすくなります。たとえばワインの説明なら、口に含んだときの様子、喉を通るときの様子など、プロセスを描写するとよいでしょう」

実際にVライティングをしてワインの説明をしてみると、このように書くことができます。
「口に含んだ瞬間に白桃の味が口の中に広がります」「追いかけてくる酸味が絶妙」「後味はスッキリ」「塩辛い生ハムや、ムニエルなどのバターを効かせた魚介料理と一緒に飲むことをオススメします」

5.ワークショップ

セッションのあとは、たっぷり約1時間を使ったワークショップを開催。とある人気YouTube動画のサムネイルたちを見て「なぜこのサムネイルがつくられたのか?」を分解したり、景色や食べ物の写真から受け取れるFactをもとに、写真の内容を100字以上で書いたりという課題を通して、表現力を培いました。
GoogleスプレッドシートやZoomのチャットで100名を超える参加者の回答を見ることができ、大盛り上がり。松尾さんから、リアルタイムでフィードバックがもらえる貴重な機会となりました。

ワークショップの最後には、松尾さんから「究極のライティング」、“UVPライティング”も伝授 。実際に“UVPライティング”を身に着けるためのワークも行っていき、普段わたしたちになじみのあるカフェやコンビニ、食べ物の解像度が深まり、「めちゃめちゃ面白かった!」「とても勉強になった」と大反響でした。これを詳しく知りたい方は、ワークショップに参加するのがおすすめ。

6.まとめ

苦手意識を持っていると、なにかと不便な「ライティング」。すべて出してはもったいない!と思うくらいの大ボリュームで松尾さんのライティングのコツをくまなく教えてもらえる、とても貴重なセミナーとなりました。ぜひ、日常のライティングの機会に意識して活用してみてください。

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