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株式会社ミラクルポジティブ 代表取締役 加藤 拓さん

魔法株式会社、株式会社サイバード、株式会社スクウェア・エニックスでモバイルゲームを中心にプロデューサーとして活躍を続けていた加藤拓氏。氏は、2010年に独立し、株式会社ミラクルポジティブを設立、GREE向けオンラインRPG「勝手にクエスト」、定時更新型RPG「エルダーサイン」などをリリース、現在はサンドボックス・アクションRPG「Airship Q」の製作に取り組んでいます。ほとんどコンシューマゲームに携わらず、モバイル一筋でゲーム開発の経験を重ねてきた加藤氏に話を伺いました。

 

■ 若いうちにプロデューサーになりたいから、ゲーム業界を選んだ

大学を卒業してゲーム業界に入って以来、考えてみればモバイルゲーム一筋なんです。そもそもゲーム業界を志したのも、「ゲーム業界なら、若いうちにプロデューサーになれそう」だと思ったから。父が映画のプロデューサーをしていたのを見てきたせいか、なぜか、「プロデューサーになりたい」という気持ちは強かった。ただ、映画業界は歴史があって、システムができあがっているんです。下積みから始めて、プロデューサーになれるまでには時間がかかる。当時のゲーム業界はまだまだ歴史が短くて、若いうちからプロデューサーになれると考えたわけです。

考えが甘くて、ゲーム業界になんとか入れてもらってからは、ひぃひぃ言いながら、徹夜の連続でしたけどね(笑)

それで、就職活動のターゲットにしたのが、当時のエニックスだった。実は、数あるゲーム会社の中で、エニックスだけがプロデューサー採用だったんです。もう採用されたつもりでいたのですが、最終面接で大失敗をしてしまい、あえなく不採用。失敗の内容はあまり表では話せません(笑) そこで「とにかく一からゲームを作る会社に入ろう。そこで勉強しよう」と思って、就職活動を続け、魔法株式会社にいわば拾ってもらったんです。

そもそも、プロデューサーを志望したのは、父の影響もあるのですが、子どもの頃に好きだったゲームの影響も大きい。大好きだった「天外魔境シリーズ」ではプロデューサーの広井王子さんが多くのメディアに露出していて、とにかくかっこよかった。プロデューサーって、もともと「何もなかったところ」からものを作りだせる仕事。そこにこだわっていたんだと思いますし、いまでもその気持ちは同じですね。

 

■ 大資本が勝つゲーム業界が変化しつつある

縁あって、エニックス(現在のスクウェア・エニックス)に転職するんですが、当時のエニックスは「これからモバイルにも力を入れていこう」という動きがある一方で、やはり中心はコンシューマゲーム。いろいろと勉強させていただき、経験も積ませていただきましたが、8年半ほどで退社して、ミラクルポジティブを設立することにしたんです。スクウェア・エニックスでの経験もあり、「モバイルでやっていこう」という気持ちになっていました。とにかく、世界に通じるゲームを作りたかった。モバイルならば資本力は関係なく世界のユーザーがプレイするゲームを作れるかもしれないと思ったんです。

コンシューマゲームはハードがどんどん高度化して、ゲームを開発するのに開発費が数千万円、数億円かかる場合も少なくありません。そうなるとアイデアはあるけれど資本力がない人は入っていけない。スタッフも数十人とか百人以上のスタッフが関わって、ある程度の規模の会社でないとゲームが作れない状況なんです。しかし、スマホは違う。数人で作ったゲームが大ヒットすることもあるんです。Google playやApp storeの参入障壁も低くなって、いわば個人の時代といってもいい。多くの人が関わって予算もたくさん使っていると、なかなか冒険できませんが、スマホなら少人数で予算をかけないでもゲームを作ることができるので、冒険することもできる。それこそ、プロデューサーの腕の見せどころじゃないかと思って会社を立ち上げたんです。

ところが、スマホゲームでも難しい問題があって、本当に数多くのゲームがリリースされるようになる中で、ヒットするかどうかのポイントに広告宣伝力が大きな比重を占めるようになってきました。どんなに尖った面白いゲームでも認知されなければ遊んでもらえない。そうなると広告宣伝費をどれだけかけられるかという、これまた資本力の勝負になってしまう。いまやモバイルゲーム業界も非常に厳しい戦いが強いられるレッドオーシャンになってしまっているんです。

 

■ 万人受けするゲームより、本当のゲーム好きがハマるゲームを

(C)Cygames, Inc. Powered by Miracle Positive

(C)Cygames, Inc. Powered by Miracle Positive

いま開発しているのは、「Airship Q」というサンドボックス・アクションRPGです。サンドボックスゲームは海外で「マインクラフト」が大ヒットして、日本にも入ってきていますが、基本的には何をしてもいい、ゲーム内で好きなことをするゲームです。「マインクラフト」や「テラリア」を見て、自分でも作りたいなと思っていたんですが、これはなかなか大手のゲームメーカーではやりにくい。インディーズだからチャレンジできると思っています。サンドボックスゲームって、いまスマホゲームのメインユーザーになっている“ちょっとゲームでもやってみよう”“ゲームは軽い時間つぶし”といったライトユ―ザーにはウケない。言ってみれば、ものすごく辛いカレーなんです。好きな人はハマるけれど、一般受けはしない。そういうゲームは大資本のある会社では社内で提案を通していき難いですよね。

この「Ariship Q」はスマホではなく、PlayStation®VitaとPlayStation®4で開発をしています。いまや、スマホゲームの環境はあまりに競争が厳しい。それならものすごく辛いカレーが好きな人向けのコンシューマゲームとして販売しようと思ったんです。モバイルのライトなゲームユーザーではなく、もともとのゲーム好きをターゲットにするならスマホが持つ手軽さより、ゲーム性の高さやコントローラがあるからできる操作性の高さを実現できるはず!「マインクラフト」のPlayStation®Vita版が小学生にうけていると言うお話があって、スマホユーザー以外のあたらしいターゲットが広がっていることも、チャンスと感じています。

クラウドファンディングの「Makuake」での資金調達もしました。開始から5時間で目標額を達成するという記録を作ったんですが、実はこれはある狙いがありました。クラウドファンディングでお金を集めるのではなく、話題になって認知度が上がること、ユーザーからの声をいただいてクオリティアップをすることを狙っていたんです。インディーズですから、広告宣伝費やデバッグ費用はあまりかけられないことを逆手にとったチャレンジでした。
その後、注目をいただけたこともあって、Cygames社から開発資金のさらなる調達も行うことができ、開発人員も大幅増員して、発売に向けて、最後の追い込みをしています。

 

■ 「とにかく業界に入って、起きてる時間全てを戦いに捧げる」

(C)2012-2015 Lindwurm/MiraclePositive (C)Winds/Skyarch/AtticArcade

(C)2012-2015 Lindwurm/MiraclePositive (C)Winds/Skyarch/AtticArcade

これからゲーム業界を目指したい人には、「本気でやりたかったら、とにかく業界に入って、起きてる時間全てを戦いに捧げろ」と伝えておきたいですね。僕自身、第一志望だったスクウェア・エニックス(当時はエニックス)は入社試験で落ちているんですが、後に転職で入ることができた。それから本当にゲームが好きか、作りたいかという気持ちですね。はっきり言えば、1日20時間働かなければならないときもあるんです。それどころか、その働き方をする開発者が膨大にいて、その人たちの方が経験も豊富で、さらにそこまでやったからといって必ずヒットするなんてことはないんです。安定とか金もうけを考えたら、やれる仕事ではない。そういったことを越えて「好きだからやる」と言いきれる強い気持ちがないとやっていけないと思います。とはいえ、逆に言えば、人生を賭けて本気で働いていれば、応援してくれる人たちが現れる、そういった業界であると思います。

 

■ 一生、プロデューサーを続ける

「ショップミー!」 (c)ShopMee All rights reserved.

「ショップミー!」 (c)ShopMee All rights reserved.

これから先のことはあまり考えていないんですが、5年後でも尖ったゲームを少人数で作り続けていきます。ただイメージとして、東京オリンピックまで景気がよくなるとして、他の業界にゲームの要素を持ちこめる可能性も探っています。例えば、eコマースを見ていても、インターフェイスがかわるだけで使い勝手が大きく向上すると思うんです。そもそもゲームのインターフェイスは他の業界に比べて何歩も先を行っている。ゲームで培ったインターフェイスをeコマースやほかのサービスに活かしていくことができれば面白い。弊社でも、「Yahoo!ショッピング」とのAPI連携による1億点を超える豊富な品揃えと、”ヤマダポイントとTポイントのダブルポイント還元”を実現している「ショップミー!」というキュレーションサービスを配信しています。

特にこれからは「スマホネイティブ」、物心ついたときからスマホを使ってきたような人がどんどん増えていきます。そうなってくると、これまでのサービスのインターフェイスではなく、スマホ時代のインターフェイスが必要になってくる。そこを埋めることができるのは、ゲーム業界のノウハウじゃないかと思うんです。

ゲームそのものも変わってくるでしょうね。ある程度の世代の人はスマホゲームのアイテム課金に強い抵抗があるけれど、これからはアイテム課金が当たり前という世代が増えてくる。そうなるとゲームの質そのものも変化していくと思います。インターフェイスに加えて、そういった課金部分のビジネスの変化もゲームから参考にできる点が多いと感じています。

そういったことも含めて、「それまでに無かったものが作れる」プロデューサーを一生やっていきます。言葉が適切かどうかはわかりませんが「仕事そのものが人生を賭けたゲーム」なのかもしれません。今の難局をどうやればクリアできるか、それを攻略し続けるのが仕事というか、もしかしたら人生なのかもしれないという気持ちもあります。そういった意味で、死ぬまでゲームをやっているんでしょうね。


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■オフィシャルサイト

http://miraclepositive.com/

(2015年7月7日更新)

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加藤 拓(かとう・たく)

1978年、1月30日生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業。ゲームプロデューサー。株式会社ミラクルポジティブ 代表取締役。株式会社スクウェア・エニックス在籍時に、「みんなdeクエスト」、モバゲータウン用RPG「エルアーク」のプロデュースなどを担当。2010年に株式会社ミラクルポジティブを設立。

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