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映画『スノーホワイト』監督 ルパート・サンダースさん

2012年6月15日(金)より公開の映画『スノーホワイト』の監督であるルパート・サンダースさんに、これまでの生い立ちやクリエイターへのアドバイスなど、お話しを伺いました。

 

■「君は監督になったほうがいいよ」

子供の頃はただ大人になりたくて。あんまり覚えていないけど、映画監督になりたいとは思っていませんでした(笑)

ロンドンのセントラル・セント・マーチンズでグラフィックデザインを勉強し、卒業後はヒップホップやレゲエ雑誌に携わっていました。 そののちにアメリカに渡り、1年間、映画『イージー・ライダー』のように 「何か乗り物に乗って旅をしたい!」と思い、古いキャデラックで車中生活を送っていました。その最中、砂漠で幻覚をみた事もありました(笑)

その旅の途中、ラスベガスでトニー・ケイ監督と運命の出会いをしたのです。

rupert01トニー・ケイ監督のもとで、CM撮影現場の手伝いをすることになったのですが、その当時、現場のルールなんか全く知らなかった私は 現場で何をしたらいいのか分からず、撮影初日に監督に「カメラの位置はこうした方がいいんじゃないか」などと口出しをしちゃったんです。 そしたらトニーから、「君は監督になったほうがいいよ」と言われて、その時から監督になろうという意識が強まっていきました。

 

■ 勝手に制作したCMを買いとってもらえた

帰国後、CMを撮るために広告業界に自分を売り込みにいったのですが、「君は経験がないし監督じゃないからダメだ」と言われました。 でも「トニーが自分のことを監督だといったから僕は監督だ」と言い、とにかく諦めませんでした。

そして大学の友人たちと700ポンドをかけてSONYのウォークマンのCMを勝手に制作したんです。 「ただ歩くだけではなく、何かをやり遂げろ」をコンセプトに「Don’t Just Walk, Man」と名づけてSONYに持ちこんだところ、 なんとその作品を買いとってもらえたんです。実際にCMとしてオンエアされた時は本当に嬉しかったですね。

再びトニー・ケイ監督のもとに戻り、そのことを伝え、一緒に仕事をすることになりました。

 

■ 映画『スノーホワイト』について

ある王国。マグナス王が死んで、女王ラヴェンナの統治に変わると平和な国は荒廃し、世は乱れていった。女王は永遠の美と若さに執着し、毎日鏡を眺めてはこう問いかけていた。

rupert03「鏡よ、鏡。この世でいちばん美しいのは誰?」「もちろん女王様です」

しかしある日、鏡はこう言った。
「この世でいちばん美しいのは女王様ですが、やがてあなたよりも美しい娘が現れます。その時、娘の心臓を食べれば、あなたは永遠の美と若さを手に入れ、不死身となるでしょう」

その娘が自分の継娘スノーホワイトと知った女王は、彼女を城の塔へ閉じ込め、時が熟するのを待った。

7年後、ついにその時が来る。ところが、スノーホワイトは塔から脱出を図り、深い森の奥へとひとり逃げ込んだ。女王は森に詳しいハンターのエリックを雇い、何が何でもスノーホワイトを捕えるように命じるのだった。

 

■ 魔法がかかったようなシュールなもの

古くからあって誰もが知っている「白雪姫」。
その物語とは少しかけ離れた、予想や期待を裏切る内容で中世的なアクション作品にしたかったんです。

例えばこの物語のシンボルとなるリンゴや鏡なども、想像がつくようなものではなく、ひとつひとつに魔法がかかったようなシュールな表現にしました。

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どのカットが一番好きかと聞かれると、まるで「自分の子供の中で誰が一番好きか」と聞かれているようで困るけど、特に気に入っているカットは、スノーホワイトが黒い森の中でひとり恐怖におびえるシーンと、黒い鳥が羽ばたき女王が黒いオイルをまとうシーン。

戦闘シーンはまるで自分がその場所に居るような感覚になって作品に没入してほしいという思いがあって、できるだけ役者に近づき手持ちカメラで撮影し、躍動感を表現するようにこだわりました。

 

■ 2人の共通点

rupert07スノーホワイトと女王という2人の女性について、どちらも強い女性ではあるのですが、決して男性的な強さではありません。

スノーホワイトと女王は全くちがう女性だけれども、2人には『3滴の血』という共通点があり、また2人とも大きな喪失感を抱えていて、その喪失感が動力となっています。

一方は“死”、もう一方は“生”という決して交わることがない、それぞれの持つ強さが面白いと思います。

 

■ 心の底から楽しんでいないと続けられない

CMと映画の大きな違いは、まず“スタミナ”です。できあがる作品の尺の違いからもそうですが、例えばCMだと拘束される期間は6日間、それに対し映画の場合は撮影だけで90日、その後も1年半以上、作業があり、とても長い期間がかかります。

rupert05日にちがかかる分、モチベーションを維持するためにも、自分がその作業を愛し心の底から楽しんでいないと続けられないと思います。

CMはビジュアルがメインとなるので、グラフィックデザインに近い感覚があるのですが、映画はキャラクターを用いて演技を通してストーリを伝えることがより明確にできるので、今までとは違った経験ができました。

 

■ 周りの人を友人のように思うこと

クリエイティブなものを創り出すためには、物語を伝えることができる能力が必要です。自身の中で明確なビジュアルスタイルをもつこと。また視覚的にも観客と繋がる事ができること。それには政治家的な要素だったりエンジニアだったり、問題を解決できる人でなければなりません。

自分の物語を伝えるためにも周りの人を友人のように思うこと。特に映画は一人でつくることは難しいので、お互いを尊敬し讃えあうような関係を一緒につくりあげていくコミュニケーションがとても大事です。


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6月15日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー!
『スノーホワイト』(Snow White and the Huntsman)

ルパート・サンダース監督作品

クリステン・スチュワート
シャーリーズ・セロン
クリス・ヘムズワース
サム・クラフリン

原案:エヴァン・ドハーティ
脚本:エヴァン・ドハーティ
ジョン・リー・ハンコック、ホセイン・アニミ
製作:ジョー・ロス、サム・マーサー
衣装デザイン:コリーン・アトウッド
音楽:ジェームス・ニュートン・ハワード

配給:東宝東和
©2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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ルパート・サンダース(るぱーと・さんだーす)

イギリス出身の監督。ロンドンのセント・マーティンズ・カレッジでグラフィック・デザインを学んだのち、『アメカン・ヒストリーX』のトニー・ケイが監督をつとめたCMの撮影を手伝ったことがきっかけで、映像作家の道を志す。一度イギリスへ戻ったあと再び渡米し、ケイに師事。「短編映画として、芸術作品としてCMを作る」ことを学ぶ。


壮大なビジュアルと綿密なディテールが融合した独自のスタイルで、CM業界で名実ともにトップクラスのディレクターとして注目を集める彼は2005年、スパイク・ジョーンズらも所属している映像プロダクション、MJZに参加。


Xbox 360の旗揚げとなったCM巨編「ジョイ」を監督し、一躍脚光を浴びた。同年、アディダスの「メイド・トゥ・パーフェクション」のCMも監督、この2作でアメリカ監督組合賞の最優秀コマーシャル監督賞にノミネートされた。これはキャリアを出発させたばかりの新人としては異例のことだった。


2008年には、ビデオゲームシリーズ「Halo」の一連のTVCMや、プーマ、ナイキ、ノキア、トヨタといった大手企業のCMを手がけ、クリオ賞、ANDY賞、ADDY賞、AICP賞、D&AD賞、カンヌ国際広告賞などCMディレクターに与えられるアワードを総なめにした。同年、トラベラーズのCM「デリバリー」でエミー賞にノミネート。同作とジョーダンのCM「クロックタワー」、モンスター.comのCM「レッグス」で2度目の米監督組合賞にノミネートされた。


翌2009年、プロジェクターの映像とダンス・パフォーマンスを組み合わせたプーマのCM「リフト」が話題に。ジョーダンのCM「フィールド・ジェネラルズ」でAICP賞を受賞し、米監督組合賞に3度目のノミネートを果たした。


さらに2010年にはXboxのHaloシリーズのCM「ザ・ライフ」で、4つのAICP賞と4つのクリオ賞を受賞。同CMでは、カンヌ国際広告賞の撮影部門金賞、監督部門銀賞、エンターテイメント&娯楽部門銅賞を獲得したのに加え、音楽と美術部門にもノミネートされた。カンヌではこのほか、ナイキのCM「スラップ」で編集部門銅賞を、アクティヴィジョンのCM「キャプティヴィティ」で編集部門のノミネートを獲得している。新世代のヴィジュアリストとしてCMの世界で華やかなキャリアを築いてきたサンダースにとって、本作は長編映画デビュー作となる。

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