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2012年8月18日(土)より公開の映画『劇場版 FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-』の監督である藤森雅也さんに、これまでの生い立ちやクリエイターへのアドバイスなど、お話しを伺いました。

 

■ もしかしたら合うかもしれない

イメージ幼い頃はテレビで放送していたアニメや特撮を毎日何時間も観て育ちましたね。その後、「映像関係の仕事に就きたい」といった漠然とした思いもあって大阪芸術大学の映像学科に進学しました。

そこはクレイや切り紙アニメといった幅広く映像を学ぶ学科で、コマ撮りのアニメを作っているときに「自分と相性がいい」「もしかしたら合うかもしれない」と直感し、その時に職業としてアニメーションをやっていこうと思いました。

アニメーターとしてずっと原画を描き続けていたのですが、周りから「監督もやってみないか」と声をかけていただいてから、演出側の監督業にも携わるようになりました。

 

■ とにかくアクションははずせない

イメージ本来なら方向性を示すためのものなのでラフな方がいいといわれる絵コンテですが、私の場合わりと細かく描き込む方だと言われます。絵描き出身なのでついつい描いちゃうんですよね。
※ここで監督が実際に描いた絵コンテを見せていただきましたが、漫画の一コマのようで躍動感溢れるタッチと、「傷はあるけど血は見せない」といった的確な動きの指示が事細かく書き記されていました。

アニメーターとしてアクションが本当に好きで、自分の映画を作るときは、本来アクションが必要ないものでも1シーンでもいいからアクションシーンを作ってやろうと思っちゃいます(笑)これは絵描きの特性というものなのか、とにかくアクションははずせないんです。

 

■ 映画『劇場版 FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-』について

何よりも大切なもの それは信じられる仲間。
魔導士たちに日々、仕事の依頼を仲介している魔導士ギルド。中でも、古くから魔法が盛んな商業都市・マグノリアで、“魔法と気合”で様々な依頼を解決している魔導士ギルド、それが「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」。

彼らはエクレアという謎めいた少女と不思議な鳥・モモンに出会う。エクレアは記憶をなくしていて、唯一覚えていることは、手元にある「鳳凰石」をどこかに届けなければならないということだけ。シャルルの予知をキッカケに、“バウンダリーの森”を思い出したエクレアは、記憶の手がかりを求めて、危険が潜むというその森へナツやルーシィたちとともに旅立つが、いきなりエクレアが何者かに襲われてしまう。

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一体エクレアの過去には何があったのか!? そして鳳凰石の秘密とは・・・・・・!? 大いなる謎が解ける時、「妖精の尻尾(ルビ:フェアリーテイル)」に、かつてなき強大な敵、そして邪悪な陰謀が立ちはだかる!

 

■ 歯軋りしてしまうくらいすごく悔しい

本作で一番残念だったのは、今回は“監督”という役回りだったのでアクションシーンを担当することができなかったことです。 また、自分の思惑を超えた素晴らしいアクションシーンがいくつかあって、自分が描くよりもいいものがあがってくると歯軋りしてしまうくらいすごく悔しいんです(笑)

好みは別としてアニメーターとしてアクションシーンを見ると、それが上手いとか下手かがすぐに分ってしまうので。例えば、屋根の上でエルザとコーディネーターが戦うシーンは動きのつけ方など上手で、悔しかったです。監督としては、本当は喜ばしいことなのに、そこでアンビバレンスな感情が生まれてしまうんですね。今回は本当にそういうシーンがいくつもありました。

イメージ作画は自分の担当シーンによっていろんな役を兼ねるので、他の人が担当するシーンに負けないように、自分が担当したシーンを「いい画面にしたい」という気持ちで作画しますが、監督はそこから一歩ひいて全体を通して、冷静な判断とバランス感覚が必要とされます。それも、ただまんべんなく平らにしちゃダメなんですよ。意図してここを特出させたり抑えたりメリハリをつけないといけません。

でも監督をやってみて自分の本分はやっぱりアニメーターだなと思っています。監督は続けられなくてもいいからアニメーターとしては一生続けていきたいですね。老眼を恐れながらも(笑)監督業は、乞われているうちが花だと思っています。

 

■ 他のアニメと違って“視点”が変わっていた

自分が手掛けた作品の中でも特に思い出深いのものは『絶対少年』という作品で、オープニングが完成した時はすごく手応えを感じたので、自分の中でつくった中では一番のフィルムです。あとは劇場作品の第一作目となる『おまえうまそうだな』は、今までの携わった作品の中でも一番制作時間も長く、監督をやりながらラフ原稿も書かせてもらったので思い入れは強いですね。

好きな作品は、『宇宙戦艦ヤマト』の松本零士さんのアニメに始まり、宮崎駿さんの『カリオストロの城』などの作品を観に行きましたが、特に『機動戦士ガンダム』が好きでした。ガンダム作品は他のアニメと違い“視点”が少し変わっていて、ちょうど背伸びしたい思春期の頃の自分と作品の内容がマッチしたんだと思います。

特に、ガンダム映画3部作は、ものすごく公開を楽しみに待っていました。観ている間も、いちファンとして好きというのと劇場公開しているその場に居合わせている高揚感みたいなものを感じ、幸せだったことを覚えています。

山ほど観た映画の中でもジョン・フォード監督の『わが谷は緑なりき』という作品の冒頭15分が死ぬほど好きです。それからジョージ・A・ロメロ監督の映画などゾンビやクリーチャーがでてくるようなホラーは何でも好きですね(笑)

 

■ いかに美味しい料理にできるか

イメージものを作る時は、自分の個性を押し切って作るのではなく、例えば「この映画は誰が楽しみにしていて誰が観たがっているのか」という客観的な視点を常に気にしながら、観る人の期待を裏切らないように心がけています。
調べるものはきっちり調べて、読むものはしっかり読んで、人の話は全部聞く。その3点に気をつけて作品をつくること。逆にそうでないと作れません。

私たちがつくっているアニメは、個人アニメではなく、一つのフィルムの一翼を担うもので、集団作業の中で自分が果たすべきやるべき“役割”というものを各々が理解して取り組まなくてはなりません。特にアニメーターは職人的な部分を持ち合わせていないと通用しないと思います。 その時々で提示された材料をいかに美味しい料理にできるか、また納期を守ることも含めて、オーダーにしたがって作り上げることが大切です。


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『劇場版 FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-』

8/18(土)より、新宿ピカデリー他 全国ロードショー!
原作:真島ヒロ
監督:藤森雅也
脚本:十川誠志 演出:根岸宏樹・西本由紀夫
キャラクターデザイン・総作画監督:西岡夕樹
柿原徹也 平野 綾 釘宮理恵 中村悠一
大原さやか 佐藤聡美 堀江由衣
ゲスト声優:ますだおかだ 吉木りさ
音楽:高梨康治/音響監督:はたしょう二
主題歌:チャン・グンソク「200 miles」
ルーシィ(CV:平野 綾)「ずっと きっと」
配給:松竹
©真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイル製作ギルド

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藤森雅也(ふじもり・まさや)

大阪芸術大学映像科卒業後、1987年亜細亜堂に入社。
アニメーター、キャラクターデザイナー、アニメーション監督として活躍。


作画・画面構成に定評があり、映画『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』では、クライマックスパートのコンテ・演出・作監をつとめ、作中でも屈指のアクションパートに仕上がっている。これまでの劇場版監督作品に、『おまえうまそうだな』、『忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』がある。


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