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~飛躍するクリエイター~ 第38回 青山 遥 アニメーション 仕上げ

青山遥はいつもアニメとマンガに救われてきた。
「中学3年生の頃に精神のバランスを崩しどん底をさまよっていたときは、アニメとマンガでなんとか世の中とつながっていられた感じでした。どんなときも不思議とそれらだけは面白いなって思えたんです。特に『鋼の錬金術師』の主人公のどんなときも前向きに頑張る姿には、本当に勇気をもらいました」
すべてはアニメの仕事を続けていくために……、青山は2012年からフリーになり、新たな挑戦を始めた。

 

■ 作品を底上げする重要な力

 仕上げの仕事に就いて5年目になります。アニメーションは、原画、動画、仕上げ、撮影と行程が進んでいくのですが、仕上げというのは、上がってきた動画素材をスキャナーでパソコンに取り込み、色指定に従ってPaintManというソフトで色をつけ、塗り間違えがないか検査するまでをいいます。最近は、韓国や中国の動画と仕上げをセットで手がける動仕会社に発注することが多く、私の所属していたTriple Aも中国に動仕会社を持っていて、そこで塗られ戻ってきたものを日本で検査し納品するというケースが主でした。海外は作業スピードが早く、日本のアニメーションには欠かせない力となっていますが、そのぶん荒さが目立つ場合もあり、仕上げの最終段階での検査がとても重要になってきます。塗りミスがないかなど間違い探しをする作業だから、細かさと忍耐が要求されます。大変ですけど、作品のクオリティーを底上げする重要なパートなので、そういった自覚をもって作品に取り組んでいる人は成長するし、続けられると思います。
 働きはじめて1年半たって、初めて色指定を任された作品が「FAIRY TAIL」でした。Triple Aでは、一通りの仕上げの作業が身につき、色指定を担当することができるようになりました。これまで積み重ねてきたものがやっと実を結んだぞ!って思え、クレジットに色指定で名前が出たときは本当にうれしかったです。

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大好きな作品です。(4話と10話の「色指定・検査」を担当)

 

■ アニメの仕事で自立する

 物心ついた頃からアニメが好きでした。幼稚園に入る前には、ディズニーの短編もののビデオを観ていた記憶があります。ディズニー映画も一通り買ってもらい、動物ものが特に好きで、「バンビ」「ダンボ」「ライオンキング」はレーザーディスクで数え切れないくらい観ていました。NHK BSの衛星アニメ劇場で再放送をしていた「ニルスの不思議な旅」も小さい頃に観てすごく心に残っている大好きな作品です。幼稚園に入ると「セーラームーン」にハマり、それからはアニメと共に小学校、中学校時代を過ごしました。録画の仕方を覚えてからは、いろんなアニメ番組を録っては観ていました。ジャンプなどの少年マンガやCLAMPさんの少女マンガなども大好きで読みまくっていました。すぐそばにいつもマンガやアニメの話ができる友人がいたのも大きかったと思います。
 子供の頃から絵を描くのも好きでした。美術も得意で、中学校のコンクールで賞をもらったりもしていました。母が刺繍や編み物といった、コツコツものをつくることが好きだったんです。そういうのを見て育ったから、自分も何かものづくりができる仕事につきたいなと思い、自分にできるものは何だろうと考えたときに、やっぱりアニメかなと。それで高校卒業後はアニメ業界を目指し専門学校に進みたいと考えました。
 東京で何校か体験入学に参加し、一番雰囲気が良かったのが日本工学院専門学校でした。学生と先生が仲良くわいわい学んでいる感じで、対応してくれた先輩もすごくしっかりされていましたし、親身になっていろいろ話してくれたんです。それでマンガ・アニメーション科(現クリエイターズカレッジ マンガ・アニメーション科)に入学を決めました。
 1年生でマンガとアニメとキャラクターデザインの授業をひと通りやり、2年生ではアニメの作画コースを選択しました。周りにはうまくて手が早い人がいて、全然かなわないなって。そこで私は奮起するというより、方向転換を考えました。私にとって一番大事なのは”アニメの仕事で自立すること”でした。でも新人動画マンの初任給を聞いて自活は厳しいんじゃないかと。それでほかの道を探していたときに、合同説明会で cube A motion(現Triple A)に出会い、仕上げの仕事を知りました。私は色彩検定2級を取っていて色彩・配色関係にも関心があったので、すごく興味を持ち就職試験を受け入社が決まりました。仕上げの仕事を知ったのも日本工学院に入ってからでしたし、就職活動中のサポートが充実していたこともあり、アニメ業界に進むためにはすごくいい選択をしたと思っています。仕事は楽しかったです。あこがれていたアニメの仕事に携われていることがうれしかったし、仕上げという根気が必要な仕事も自分に向いていました。

 

■ すべてはアニメを続けるために

 2012年からフリーで活動しています。色指定を任されるようになり、忙しさで追い込まれ、ストレスで精神的にまいってしまったんです。好きな仕事なのに頑張れない、そんな自分が許せなくて、自分にダメ出しばかりの日々が続きました。
 当時まだ24歳だったんですが、ものすごく将来に不安を感じ、それでアニメの仕事以外に手に職を付けようと会社を離れ、現在は調理師免許の取得を目指し、日中は保育園で調理補助をやり業務経験を積みながら、夜はアニメの仕事をしています。それで最終的に調理師免許を取ったら、もう一度アニメの世界に戻ろうと思っています。すべては大好きなアニメの仕事を続けるため。私は追いつめられるとダメになってしまうタイプだから、自分を追いつめないためにも、まだ無理が利くいまこそ、何かあったときの準備しておかなければと思いました。いつまでもアニメの仕事に携わっていられるための保険が、私には必要なんです。
 夢は、本当の意味で動物愛護を学んでもらえるようなアニメをつくることです。私にはアニメとマンガ以外に愛しているものがもうひとつあって、それが動物なんです。例えばかつてアニメ「あらいぐまラスカル」でアライグマブームがおこり、ペットとして飼った人が面倒を見切れなくなり捨て、農作物を荒らしたり日本の生態系を崩す大問題になったことがありました。元来アライグマは気が荒く人になつかない動物なので、ペットにするのはそもそも難しい動物なんです。大好きなアニメのせいで大好きな動物が被害に遭うのが許せない。犬や猫などペットの殺処分問題もなんとかできないかといつも考えています。私はアニメやマンガに人生を救われました。アニメの力を信じているし、影響力の大きさも実感しています。遠い夢かもしれませんが、アニメだからこそ教えられることが、そしてアニメに人生のすべてを教わってきた私だからこそやれることがあるような気がしているんです。

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GATCHAMAN CROWDS(ガッチャマン クラウズ)
2014年1月22日 DVD/Blu-ray発売
[DVD] 15,540円(税込) [BD] 19,740円(税込) 発売元:バップ
©タツノコプロ/ガッチャマンクラウズ製作委員会

フリーになったことで自分から積極的に動くようになり、尊敬する色彩設計の大先輩である辻田邦夫さんと知り合え、一緒に仕事をさせていただける機会をいただきました。先輩たちの作品に対する真剣さや妥協のない姿勢にすごく刺激を受けました。

 
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info@c-place.ne.jp

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青山 遥(あおやま・はるか)

アニメーション 仕上げ
1988年愛知県生まれ。高校卒業後、2006年日本工学院専門学校マンガ・アニメーション科(現クリエイターズカレッジ マンガ・アニメーション科)に入学。2008年からアニメーション制作会社Triple A(トリプルエイ)に所属し、多数のアニメーション作品に参加する。2012年独立。主な作品に、テレビアニメ「FAIRY TAIL(フェアリーテイル)」(09)、「神のみぞ知るセカイ」第2シーズン(11)、「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%」第1シーズン(11)、「ONE PIECE FILM Z(ワンピースフィルムゼット)」、「GATCHAMAN CROWDS」(13)ほか。

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