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サイバーエージェント流!スマホゲームでVRと3Dを駆使したオルタナティブガールズチームの挑戦

注目企業の中の人によるコラム
今回は全6回シリーズで、株式会社サイバーエージェントさまに“サイバーエージェント流!新サービスの生み出し方”と題して、ウェブサービスやアプリの開発秘話などを解説いただきます。
第4回目は、株式会社QualiArtsのクリエイティブ・ディレクターとして、「オルタナティブガールズ」の開発運用に携わる庄司拓弥さんのコラムです。

初めまして、オルタナティブガールズのアートディレクターの庄司です。
オルタナティブガールズは2016年8月にリリースされたVRモード搭載美少女RPGです。

今回はスマホゲームでVRと3Dを駆使したオルタナティブガールズチームの挑戦ついてお話ししたいと思います。

コンセプトは「50cmの距離感」

様々な人種が集まりひとつのプロダクトを作り上げるとなると、制作の過程で色々な方向に脱線してしまわないよう、まず軸となるコンセプトを作ることが重要となります。

3Dの女の子たちが戦うゲームということは当初から決まっていましたが、どんな方向のゲームにしていくかをチームで何度も話し合い、その中で生まれたコンセプトが「50cmの距離感」です。

「50cmの距離感」とは、ユーザーの皆さんがキャラクターのいるこの世界に入り込んで彼女たちをすぐそばに感じられる距離感のことです。

例えば新機能を開発する時、「ユーザーが彼女たちを近くに感じられるものになっているのか」など、サービスが正しい選択をできているか振り返れる行動指針のようなものになっています。

そういったサービス開発の中で決まった主要機能が「スマフォでVR」です。

スマフォでVR

「VR」は、女の子たちとの距離感を楽しんでいただくものとして開発当初に導入が決まった機能です。

VR空間では、彼女と二人の世界に没入することができるため、サービスとしても様々な挑戦をしてきました。

1つ目が「見た目」です。
キャラクターは全ては2万ポリゴン近いハイポリで表現しているので、50cmの距離感で見ても耐えられるような完成度になっています。

2Dよりかわいいと言われる3Dを追求していく中で何度も3Dモデルを作り直し、可愛く見える「見た目」を追求しました。

顔のバランスはパーツを1mm動かすだけでも大きく印象が変わるのでミリ単位の調整をしています。
特に目の描き方は3面図の時点で3Dにした時にどう見えるかを意識し、2Dの時点で髪の陰影のつけ方は大きく上下で2階調にみえるように、その間にハイライトが入るようにしています。

目のハイライトを大小ひとつずつ、その隣にうっすら反射のハイライトを入れ、白目は真っ白ではなく少しだけ肌色に近づけて境界線はぼかすことで極力2Dっぽいルックを目指しました。

質感表現はスマフォの性能の限界まで引き出せるよう検証を重ねています。
髪の毛のテカり、肌の柔らかさと服の柔らかさの微妙なものまで表現できるよう、汎用的なプログラムを作ったりもしています。

モーションキャプチャーで個性豊かな「かわいい」動きを追求

キャラクターのかわいさを決める重要なポイントは、見た目だけではありません。動きや仕草がぎこちなければユーザーの期待を裏切ることになるため、「動き」についても新しい取り組みをしています。

個性豊かな彼女たちのかわいい動きを実現するため、オルタナティブガールズで取り入れたのがモーションキャプチャーです。(以下、モーキャプと記載)

モーキャプをスマフォのゲームで本格的に取り入れたゲームは珍しく、
オルガルチームでは300以上あるストーリーを全て3Dで表現しています。

撮影したモーション数は1000を超えており、それぞれの動きがゲーム中に使用されています。

モーキャプ収録前には、役者さんと綿密に話し合いをして動きのイメージを共有します。
それによりキャラクターを理解してもらうことができ、よりいきいきとした動きが生まれます。

また、女性らしい日常的な仕草を「かわいい」とユーザーに思っていただくことを大切に収録しています。
腰の流れや手首の使い方など、女性らしい柔らかい動きの表現はモーションキャプチャーが得意とするところです。

こういった長い時間をかけて、オルタナティガールズに登場するキャラクターのアニメーションは生まれています。

さらにもうひとつ重要になるのが、フェイシャルの動きです。

フェイシャルチームでキャラクターの性格を理解し、それぞれのキャラクターあった仕草を選定し、実際にひとつずつ動きをつけていきます。

上の図のような「瞳」「パーツ」「目」「眉」「口」と分かれている表情ターゲットをブレンドすることで、フェイシャルアニメーションを付けています。

オルガルではたくさんの個性的な女の子が登場します。
バトル時の必殺技はもちろんのこと、ホームにいる女の子やシナリオ、カットシーンなどすべてに3Dの女の子が登場しています。

そのため、同じ状況でもキャラクターそれぞれで浮かべる表情には違いがあります。
例えば下の図にあるように「通常・微笑み・驚き・怒り・照れ」を取っても女の子によって表情が違うことが見て取れます。そのためフェイシャルチームでは、モーキャプ撮影した全モーションに手付けでフェイシャルアニメーションを付けています。

メンバーシナリオやVRラウンジという機能では、キャラクターをVRモードで見ることができます。3000Fにもわたるモーションにフェイシャルアニメーターが音声を聞きながら一人ずつキャラの動作・個性に合わせ表情と視線を付けています。

上記のような3Dデータ(モデル・カメラ・配置・モーション・フェイシャル)を簡単にコントロールできるようにシステムを作ってもらい、全てがひとつになり50cmの距離感にいるようなキャラクターたちが生まれました。

おわりに

オルタナティガールズチームの挑戦について書かせていただきましたが、今まで美少女ゲームといえば2Dが一般的で、3Dで表現しようとした時に初めから試行錯誤の連続でした。それでも諦めず何度も作り直してきた3Dチームとエンジニアの高い技術力があったおかげで、3Dの美少女ゲームを作り上げることができました。

もし興味をお持ちいただけた方は、ゲーム事業に携わるクリエイターが更新している、クリエーターブログもみてください。
https://creator.game.cyberagent.co.jp/


庄司 拓弥(しょうじ・たくや)

2009年度に新卒でデザイナーとして入社。モバイルゲーム「私のホストちゃん」スマホカードゲーム「ギャングロード」などの運用を経て、現在は株式会社QualiArtsのクリエイティブ・ディレクターとして、「オルタナティブガールズ」の開発運用に携わる。

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