エンジニアやプログラマー、デザイナーなど、Web開発・制作に携わる多くのクリエイターにとって、JavaScriptは欠かせないプログラミング言語です。このJavaScriptをより便利かつ効率的に活用できる環境がNode.jsです。
しかし、Node.jsが具体的にどのようなものかを知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、Node.jsとは何か、JavaScriptとの違いは何かなど、基本的な情報をご紹介します。この機会に、Node.jsへの理解を深めていただければ幸いです。
Node.jsとは「サーバーサイドのJavaScript実行環境」
Node.jsを理解するためには、まずJavaScriptとの関係性を知ることが重要です。ここでは、Node.jsの基本知識とJavaScriptとの違いについて解説します。
そもそもJavaScript とは
Node.jsとは、簡単に言えば「サーバー上で動作するJavaScript」です。
「エンジニア白書2024」によると、Webサイトやシステム開発に使用されるプログラミング言語として、JavaScriptは2020年から4年連続で国内エンジニアの使用言語の1位に選ばれています。実際、多くのWebサイトはJavaScriptで構築されています。
例えば、ポップアップウィンドウやスライドショーなど、動的なWebページの制作にJavaScriptが使用されています。ただし、JavaScriptは基本的にWebブラウザ上で動作する「クライアントサイド」のプログラムである点に注意が必要です。
JavaScriptをサーバーサイドで動作可能
ブラウザ上で動作するJavaScriptを、サーバー上で動作させる環境がNode.jsです。つまり、Node.jsはサーバーサイドのJavaScript実行環境と言えます。本来、JavaScriptはクライアントサイドのプログラムであり、単体ではサーバー上で動作しません。しかし、Node.jsを使用することで、JavaScriptをサーバー上でも動作させることが可能になります。これにより、サーバーサイドのプログラムとしてJavaScriptを実行できるのです。
なお、Node.jsは以下の公式サイトからダウンロードできます。WindowsおよびMacの両方にインストール可能です。
Node.jsを使用するメリット・デメリット
Node.jsを活用することで、JavaScriptをサーバー上で動作させる以外にも、さまざまなメリットがあります。一方で、利用時の注意点も存在します。ここでは、WebエンジニアがNode.jsを利用する際のメリット・デメリットについて確認しましょう。
Node.jsのメリット
Node.jsを活用することで、Webエンジニアの負担軽減につなげられる点がメリットです。Node.jsをインストールすると、JavaScriptをサーバーサイドで活用できるだけでなく、スマホアプリ開発やIoT開発も可能になります。また、クライアントサイドとサーバーサイドで使用する言語をJavaScriptで統一できるため、Webエンジニアの負担軽減につながるでしょう。
さらに、高速処理が可能になることも、Node.jsの大きなメリットです。Node.jsはシングルスレッドを採用しているため、瞬時にレスポンスできます。そのため、アクセス数が1万件を超えると発生すると言われる「C10K問題」の解決や、SNSなど多くのユーザーが同時アクセスするサービスの開発に適しています。
Node.jsのデメリット
JavaScriptとの互換性がない点は、Node.jsのデメリットです。JavaScriptの記述はNode.jsでも実行できますが、フロントエンドとの互換性がないため注意が必要です。したがって、Node.jsとJavaScriptには、処理上の互換性はありません。
また、Node.jsに対応しているサーバーが少ないこともデメリットです。使用する際に、Node.jsに対応していないサーバーを利用する場合には、VPSを別途確保しなければなりません。
Node.js使用によって実現できる5つのこと
JavaScriptをサーバー上で動作させられるNode.jsを活用することによって、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。ここでは、Node.jsの使用によって実現できる5つのことをご紹介します。
スマホアプリ開発
Node.jsを使用することで、スマホアプリの開発が可能になります。
特に、バックエンド処理を担うAPIサーバーの構築や、リアルタイム通信を必要とするアプリ開発に適しています。
例えば、Node.jsのフレームワークであるExpress.jsを活用すれば、効率的なアプリ開発が可能です。
また、React Nativeなどのフレームワークと組み合わせることで、フロントエンドとバックエンドの両方をJavaScriptで統一できるため、開発効率の向上が期待できます。
Webアプリ開発
Node.jsを活用すれば、Webアプリの開発も容易になります。
特に、非同期処理が求められるリアルタイムWebアプリ(チャットアプリやストリーミングサービスなど)の開発に適しています。
Node.jsには、Webアプリ開発に役立つフレームワークやライブラリが多数存在し、例えば、Express.jsを用いることで、シンプルかつ柔軟なWebアプリケーションを構築できます。また、WebSocketを活用することで、リアルタイム性の高いアプリケーションを実現可能です。
Webサーバーでの使用
Node.jsを使用すれば、高速かつスケーラブルなWebサーバーを構築できます。
特に、イベント駆動型のノンブロッキングI/Oを採用しているため、多くのリクエストを同時に処理することが可能です。
この特性により、アクセスが集中する大規模なWebサービスのバックエンドに適しています。
また、軽量なサーバーを手軽に構築できるため、小規模なプロジェクトやプロトタイピングにも向いています。
JavaScriptでのプログラム記述
Node.jsを活用すれば、サーバーサイドのプログラムもJavaScriptで記述できるため、バックエンド開発においてもPHPやPythonの知識が不要になります。これにより、フロントエンドとバックエンドの両方を同じ言語で統一できるため、開発効率が向上します。また、JavaScriptエコシステムの豊富なパッケージを活用できる点も大きなメリットです。
CSSへの変換
Node.jsを利用することで、CSSのプリプロセッサ(SassやLessなど)を活用したスタイルの変換や最適化が可能です。
また、Node.jsを用いることで、TTFフォントの変換やCSSの圧縮・最適化が容易になります。これにより、Web開発におけるパフォーマンスの向上や、ファイルサイズの削減が期待できます。
WebエンジニアはNode.jsスキルの習得がおすすめ
・Node.jsでJavaScriptをサーバーサイドで動作できる
・Node.jsはJavaScriptに新たな可能性をもたらした
・Node.js習得でさまざまな開発が実現可能になる
Node.jsは、サーバー上で動かせるJavaScriptと言えるものです。サーバーサイドのプログラムとして、JavaScriptを実行できるようになります。Node.jsを活用することにより、Webエンジニアの負担軽減につなげられる点や、高速処理が可能になることがメリットです。ただし、JavaScriptとの互換性がない点や、対応しているサーバーが少ない点に留意する必要があります。
Node.jsを習得することによって、エンジニアは以下5つのことが実現可能です。
・スマホアプリ開発
・Webアプリ開発
・Webサーバーでの使用
・JavaScriptでのプログラム記述
・CSSへの変換
Node.jsを習得できれば、エンジニアとして活躍できる範囲が大きく広がるでしょう。他者と差別化をするためにも、ぜひこの機会にNode.jsの習得を目指してみてはいかがでしょうか。