株式会社SHIFT AIは、全国の小学1〜6年生の子どもを持つ保護者722名を対象に「夏休みの子どものAI利用に関する保護者アンケート調査」を実施した。その結果、親のAI利用状況が子どものAI体験を大きく左右する実態が数字として明らかになった。

低学年からすでに約4割が生成AIを利用
小学生の生成AI利用率は、低学年(小1〜3)で37.9%、高学年(小4〜6)で40.4%と、学年による差はほとんどなかった。つまり、生成AIは「高学年になってから使うもの」ではなく、すでに低学年の段階から家庭に浸透している。

一方、保護者自身の利用状況を見ると、月に数回以上使う層は59.0%に達するものの、「今はほとんど使っていない」が9.8%、「使ったことがない」が31.2%と、合計41.0%が生成AIをほとんど活用していない。子どもに最も身近な存在である保護者の約3割が、生成AIに一度も触れたことがないという現実がある。

「差がつく」と感じながら、教えられない保護者たち
「使いこなせる子と使えない子で将来差がつく」と考える保護者は64.8%、「親自身がAIを使えるかどうかが子どものAI活用に影響する」と考える保護者は62.6%にのぼった。しかし、「自信を持って子どもに教えられる」と答えたのはわずか12.3%にとどまり、「教えられない」「わからない」を合わせると37.4%が実質的に教えられない状態にある。危機感は強くても、家庭の準備は追いついていない。

親の利用頻度で子どもの利用率に約5倍の差
この格差は実データにも鮮明に表れた。親がAIをほぼ毎日使う家庭では子どもの66.7%が生成AIを利用しているのに対し、使ったことがない家庭では7.6%まで下がる。月に数回以上使う親の家庭と、使わない親の家庭で比較すると、56.3%対10.8%と約5倍の開きがある。親のAIとの向き合い方が、そのまま子どものAI体験を決定づけている構図だ。

ルールづくりは後手に回り、家庭での会話すら少ない
子どもの利用が約4割に達する一方、明確なAIルールがある家庭はわずか10.1%。さらに41.1%は「そもそもAIについて話題にしたこともない」と回答した。AIを使っている子の家庭でも、約4割(39.0%)は親が詳しい内容を把握できていない。利用だけが先行し、ルールづくりと把握が後手に回っている実態が浮かぶ。

ルールの有無も親の利用度で分かれており、AIを使う親で「明確なルールがある」のは16.0%だが、使わない親では1.7%にすぎない。「そもそもAIを話題にしたこともない」という割合は、使う親の23.5%に対し、使わない親では66.6%に達した。

不安の上位は「依存」と「丸写し」
子どものAI利用に対する不安として、「AIに依存してしまう」が44.7%、「答えを丸写しして学習にならない」が44.5%、「自分で考える力が育たなくなりそう」が43.5%と上位を占めた。「特に不安はない」と答えた保護者は12.3%にとどまり、多くの保護者が何らかの懸念を抱えている。求める支援の1位は「危険な使い方・リスクの見分け方」(35.5%)だった。

家庭発のAI格差を生む2つの構造
SHIFT AIは今回の調査結果について、家庭発のAI格差を生む構造として2点を指摘している。まず、学校や社会にルールが整う前に生成AIが各家庭の判断で子どもの手元に届いており、判断のよりどころとなる指針がないまま利用だけが先行している点だ。次に、従来は所得や地域で語られてきた教育格差に、「親自身がAIを使えるか・教えられるか」という新たな軸が加わりつつある点を挙げる。認識と行動のギャップこそが、家庭発のAI格差を静かに広げている核心だとしている。

同社はこの調査結果を踏まえ、親子で考える「家庭のAIルール10か条」を公開。完全版PDFを無料でダウンロードできる。調査は2026年7月8日〜11日にインターネットリサーチで実施された。