2025年上半期、note上で最も話題となった映画のランキングが公開された。集計期間は2024年11月1日から2025年6月30日までで、note公式お題「#映画感想文」と作品名のハッシュタグを付けて投稿された記事の投稿者数をもとに順位が決定された。栄えある第1位には、吉沢亮が主演を務めた『国宝』が選ばれた。6月6日の劇場公開直後から投稿数が急増し、公開からわずか3週間でランキングのトップに躍り出た。この勢いは興行成績にも反映されており、公開3週目には観客動員ランキングでも1位を記録している。
『国宝』は、任侠の家に生まれた主人公・喜久雄が、血筋の壁に苦しみながらも歌舞伎の道を極めようとする一代記である。観客の心を強く動かしたのは、作品が描き出す深い悲しみと社会への静かな怒りだった。noteに投稿された感想文を分析した結果、「悲しみ」の感情強度が最も高く、平均7.1点(10点満点)を記録。続いて「怒り」が5.2点となった。実際に投稿された感想には、「涙が止まらなかった」「報われない現実に胸が締め付けられた」「理不尽さに怒りが湧いた」など、強い感情が込められた表現が多く見られた。また、主演の吉沢亮や共演の横浜流星の演技に対して「驚き」の声も多く寄せられたことから、キャストの演技力も高く評価されている。
第2位には松村北斗主演のラブストーリー『ファーストキス 1ST KISS』がランクインし、切なさや恋愛への余韻を描いた感想が多く投稿された。第3位の『ウィキッド ふたりの魔女』は、孤独や友情をテーマにした内容が反響を呼び、心の再生を描いたという声が目立った。第4位には宗教と政治を題材にした『教皇選挙』が入り、作品の重厚さやタイムリーさを評価する投稿が多かった。第5位にはガンダムシリーズの最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』が続き、熱心なファンによる考察投稿が話題を集めた。
なお、11位以下には『名探偵コナン 隻眼の残像』『ベルサイユのばら』『新幹線大爆破』など、話題作が並んでいる。
また、今回のランキングには、投稿された感想文の感情を分析したレポートも付属している。分析にはLLM(大規模言語モデル)を活用し、感情を「喜び」「悲しみ」「期待」「驚き」「怒り」「恐れ」「嫌悪」「信頼」の8種に分類し、その強度を数値化。『国宝』においては特に「悲しみ」と「怒り」が突出していたが、それらは作中に描かれた社会的葛藤や登場人物の過酷な運命によるものと考えられる。
近年、映画やドラマの感想文はnoteにおいて人気コンテンツとなっており、2025年には「#ネタバレ」タグ付き投稿の数が前年比約2.6倍に増加している。公式お題「#映画感想文」や「#テレビドラマ感想文」が付いた記事の閲覧数も大幅に伸びている。投稿者の多くは広告収入を目的とせず、自らの感動や考察を他者と共有したいという純粋な動機で執筆しており、鑑賞体験を深める手段として感想文が浸透しつつある。
さらに、noteは映画・ドラマのプロモーションに活用される場としても注目されている。たとえば『新幹線大爆破』では、公式アカウントが「みんなのフォトギャラリー」機能を活用し、ファンの投稿を後押しした事例がある。また、「#ネタバレ」タグにより、読者が自分に合った内容の感想文を選べる仕組みも整っている。
映画を観て終わりではなく、自らの言葉で語り、他者と共有する。その行為が新たな感動を生み、作品の価値をより深めていく。noteは、そんな体験を後押しする場所として、2025年上半期も多くの映画ファンに支持されている。



