REVISIO株式会社は、テレビスクリーンへの視線を測定する独自のアテンション(注視)データを用いて、2025年5月に放送されたテレビCMの注視度ランキングを発表した。アコム、東宝、アイフルがトップ3を占めたほか、JTの企業広告シリーズ「鬼のゆく道 茶屋」篇が5位にランクインし、視聴者の関心を集めた。

このランキングは、REVISIOが提供するCスコア(クリエイティブスコア)をもとに作成されている。Cスコアは、地上波の関東キー局で放送されたテレビCMに対し、どれだけ視聴者の視線を引きつけたかを示す指標で、スコアが高いほど注視度が高かったことを意味する。

5月の1位に輝いたのは、アコムの「Acom Stories~#01 妹の結婚式・式場」篇だった。このCMは、妹の結婚式に招かれたミュージシャンの兄が、髪を切り、髭を剃ってスーツに着替え、式に出席する様子を描くドラマ仕立ての内容で、妹の「うん…でもかっこいいよ、ありがとう」というセリフが心に響くと、多くの視聴者の注目を集めた。前月3位だった同CMは、5月に順位を上げて首位となった。

2位には東宝の映画『隣のステラ』の告知CMがランクイン。福本莉子と八木勇征が主演を務める本作は、隣同士の家に住む幼なじみの関係が変化していく様子を描いた青春ストーリーで、原作漫画は累計100万部を超える人気作である。映画公開は8月下旬と先だが、CM段階から高い注目を集めていることが明らかとなった。

そのほか、ワーナー・ブラザース映画『かくかくしかじか』のCMが2本ランクインしており、フジテレビのCM枠において映画告知が依然として高いアテンションを獲得している状況がうかがえる。

5位にランクインしたのは、日本たばこ産業(JT)の企業広告「鬼のゆく道 茶屋」篇だった。山田孝之が演じる“鬼”が若い男女と出会い、「心の豊かさとは何か」を考える物語で、シリーズ第3弾にあたる。冒頭の女性ナレーション「ある日鬼は」や、ストーリー中盤の静寂と効果音、終盤の音声演出に至るまで、視聴者の関心を巧みに引きつける要素が随所にちりばめられており、最も注視を集めたのは22秒目のシーンだったという。

REVISIOは、これまでに14万本を超えるテレビCMの注視データを蓄積しており、「しっかり視られるCM」制作のノウハウを提供している。CM制作において、直感や経験だけに頼るのではなく、視聴者の実際の視線データを活用することが、広告効果の最大化につながると分析している。

今回のランキングと分析結果からは、物語性や音声演出、セリフの間など、視聴者の心をつかむ工夫がいかに注視を生むかが浮き彫りとなった。今後のCM制作においても、こうした視線データに基づくアプローチが一層注目されることになりそうだ。