短編映画『Sakura サクラ – Land of Symphony』が世界初公開 人気アニメ「Winx Club」日本初イベントも開催

2025年6月2日、イタリアのアニメ制作会社レインボーとその傘下にある芸術大学ポリアルテは、大阪・関西万博のイタリアパビリオンにおいて、特別イベント「ARS 技 – マルケ州の卓越した才能と技術」を開催した。このイベントは、イタリア中部のマルケ州の文化・創造力を紹介する「マルケ州週間」の公式プログラムの一環であり、アニメーションやビジュアルアートを通じて、日伊の文化的交流を深めるものとなった。

目玉企画として、ポリアルテが制作した短編映画『Sakura サクラ – Land of Symphony』が世界で初めて上映された。本作は、イタリアの大学・研究省と外務省、EUの「Next Generation EU」による支援を受けた「ラファエロ・メタバースプロジェクト」の一部として誕生した。日本人バイオリニストがイタリア・マルケ州を旅する中で風景や人々に触れ、インスピレーションを得ていく過程を描いた作品であり、監督はパオロ・ドッピエリ、脚本はセルジオ・ラマッツォッティ、アートディレクションはマルコ・デリオ・ロッシが担当した。製作には、同州の老舗ワイナリーやファッション企業、バイオリン工房、音楽院など、多くの地域の協力が結集している。

撮影は、チンゴリ、イェージ、フェルモ、アンコーナ、マチェラータなど、マルケ州各地の名所で行われ、また日本の要素として、サン・ジネージオにある文化施設「ワビサビ・カルチャー」も舞台となった。音楽はマルケ出身の作曲家ステファノ・ステヴ・ファニャーニと、日本の音響デザイナー岩田裕大による共同制作で、オペラ《蝶々夫人》の一節も取り入れられるなど、日伊の芸術的融合が図られている。

イベントではさらに、マルケ州のデザインと創造性を集約した初のデジタルミュージアム「MADE – MArche DEsign Museum」も発表された。家具やファッション、グラフィックデザイン、音楽など、100年以上にわたる同州の文化遺産を紹介するこのオンラインミュージアムは、2026年に一般公開される予定で、ポリアルテが地元企業や国立研究機関と連携して開発を進めている。

また、国際的に高い人気を誇るアニメ「ウィンクス・クラブ」の日本初イベントも行われた。同作は、2025年10月に新シリーズ『Winx Club – The Magic is Back』がNetflixで全世界同時配信予定であり、それに先立つ形で日本で公式に紹介された。イベントには原作者でレインボー創設者のイジーニョ・ストラッフィが登壇し、制作秘話やグローバル展開の背景について語った。

併せて、国際イラストコンテスト「Under the Sign of Winx – Illustration Without Borders」の受賞式も実施され、イタリアのマッテオ・マッシャーリ、日本のさけハラスがグランプリを受賞した。彼らは今後、両国間の特別な文化交流プログラムに参加する予定である。

さらに、日本の「ウィンクス・コスプレ・クラブ」によるパフォーマンスが披露され、著名コスプレイヤー・ユリコタイガーのプロデュースによるステージが観客を魅了した。イベントでは、世界各国で広がるファン活動やコスプレムーブメントについても紹介され、作品を通じた国際的な文化交流の可能性が示された。

このイベントは、創造性と技術を通じて文化を超えたつながりを育むものであり、イタリアが芸術・デザイン・アニメーションの分野で世界に向けた発信力を持つことを強く印象づける一日となった。