CEメディアハウスは5月30日、元日本経済新聞記者の白鳥和生氏による新刊『雑談が苦手な取材のプロが33年続けた 本音を引き出す聞く力』を刊行した。沈黙が怖い、共感しすぎてしまう、結論を急いでしまうといった“聞き手”としての悩みを抱える人に向けて、相手の心を開く18のスキルを紹介している。
著者の白鳥氏は、記者として33年間にわたり小売業や食品メーカーなど幅広い分野を取材。聞き出す力を鍛え続けてきた経験から、「相手の本音を引き出すには型がある」と語る。本書では、「共感しすぎは次の質問を妨げる」「自分勝手に話をまとめない」「価値観は一度脇に置く」といった具体的な技術や姿勢を丁寧に解説している。
また、会議や商談の場で「あのことを聞き忘れた」「もっと突っ込んでおけばよかった」といった後悔をしないために、どうすれば必要な情報をもれなく引き出せるのか、実践的なアドバイスも数多く盛り込まれている。スマートフォンを見ながら適当に相槌を打たれる、話を途中で遮られるなど、現代のコミュニケーションにありがちな“話しづらさ”に対しても、聞き手としてどう対応すべきかを提示している。
雑談が苦手でも、会話がうまく続かなくても、本書で紹介される「ほぐす」「引き出す」「絞る」「広げる」「整える」といった聞き方のプロセスを意識すれば、誰でも相手の本音に近づくことができると著者は説く。雑談の目的は「打ちとけること」であり、「面白い話をする必要はない」という視点も、気負いがちな人にとっては心強い。
著者の白鳥和生氏は1967年生まれ、明治学院大学国際学部を卒業後、1990年に日本経済新聞社に入社。長年にわたって経済報道に携わり、2024年2月まで編集局の調査担当部長を務めた。現在は流通科学大学で教授を務める傍ら、複数の大学でマーケティングや流通ビジネス論の講義も担当している。社会的責任(CSR)に関する研究でも博士号を取得しており、実務と学問の両面から「伝える力」「聞く力」の重要性を訴えてきた。
書籍は四六判176ページで、税込1760円。電子書籍版も同時発売されている。聞き方に悩むビジネスパーソンはもちろん、教育や医療など人と向き合う場に携わる人にも一読の価値がある一冊となっている。