東京国立博物館(以下、東博)本館の体験型展示「日本美術のとびら」が、2026年6月30日にリニューアルオープンした。新たなデジタルコンテンツ「とーはくワンダーウォール 一期一会 ~きょう、出会う一点~」が加わり、来館者と文化財の”新しい出会い”を演出するインタラクティブな空間へと生まれ変わった。
東博が所蔵するコレクションは約12万件に上る。しかし、来館したその日に展示されているのはそのうち約3,000件にすぎない。お目当ての作品に会えないこともあれば、複数ある展示館のどこで何を見ればよいか分からないという声も多かった。さらに、保存上の理由から展示替えも定期的に行われるため、今日出会えた文化財に次回も会えるとは限らない。ただしそれは、毎回未知の名品との出会いがある「一期一会の博物館」ともいえる。「とーはくワンダーウォール」は、そうした壮大な文化財の世界への入口として、来館者の好奇心を喚起し、鑑賞体験をより主体的で豊かなものへと導くことを目的に開発された。コンテンツ制作は株式会社内田洋行・パワープレイス株式会社が担当した。
コンテンツは前半と後半の2部構成だ。前半は幅14メートルの大型スクリーンに映し出される約2分間のスペシャルムービーで、1872年の湯島聖堂博覧会から2022年の創立150周年までの歴史を軸に、「松林図屏風」や「遮光器土偶」など東博を代表する名品が次々と登場する。法隆寺宝物館や黒田記念館など他施設も横断的に紹介しており、館内をめぐる楽しさや、国や時代・ジャンルを超えた作品との出会いのわくわく感を実感できる構成になっている。この映像は体験型インタラクティブコンテンツの合間に15分ごとに上映される。
後半は、スクリーンの前に立ち来館者自身が操作する体験型デジタルコンテンツだ。東博のWEB情報や所蔵品データベース「ColBase」と連動しながら、その日展示されている名品の中からリアルタイムに「きょう、出会う一点」を提案する。切り口は「研究員の推しと出会う!」「一期一会ガラポン!」「国宝や重要文化財と出会う!」など6種類で、そのうち4種類がランダムに表示される仕組みだ。スクリーンに設置されたモーションセンサーが身体の動きを読み取ってコンテンツが展開するため、小さな子どもや車いすの来館者も体験できる。日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語に対応しており、国内外の幅広い来館者が楽しめる。
また、リニューアル前から継続する「高精細複製品と出会う」コーナーでは、最新のデジタル技術と伝統的な職人の技によって制作された屏風や掛軸の高精細複製品を、ガラスケースなしで間近に鑑賞できる。6月30日から8月30日までは国宝「納涼図屏風」と「焔」を展示。その後も季節ごとに展示作品が入れ替わる予定だ。
「日本美術のとびら」は東京国立博物館本館1階B室にあり、開館時間は9時30分から17時00分(毎週金・土曜日などは20時00分まで)。観覧料は東博コレクション展に準じ、一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料。月曜休館(祝日の場合は翌平日休館)。