フリーマーケットアプリ大手のメルカリと、エンタメ・ホビー専門企業の駿河屋は、エンタメ・ホビー分野におけるグローバルコマースの推進と、安心・安全な取引環境の構築を目的に資本業務提携契約を締結した。
両社は、オンラインとオフラインを融合させた流通モデルを通じ、日本文化を世界に発信する基盤づくりを加速させる方針である。
提携の柱となるのは、メルカリが持つ越境ECの知見やAIをはじめとするテクノロジーと、駿河屋が長年蓄積してきた商品カタログデータ、膨大な在庫、真贋鑑定のノウハウ、国内外152店舗のリアル店舗網を組み合わせる点にある。
これにより、エンタメ・ホビー領域で日本最大級の品揃えと信頼性の高い取引環境の実現を目指す。
メルカリは中期的な成長戦略としてグローバル展開を重視しており、越境取引事業は過去3年で流通総額が15倍以上に拡大し、年間900億円規模に成長している。なかでもアニメやゲーム、フィギュアなどのエンタメ・ホビー分野は越境取引の大半を占め、世界的な需要の高まりを背景に重要性を増している。一方、駿河屋は数千万点規模の在庫と約3,000万件の商品カタログデータを強みとし、日本有数の専門性を武器に国内外で高い支持を集めてきた。
世界的に日本のアニメやゲーム文化への評価が高まる一方で、海外市場では正規流通が十分に整っていない地域も多く、偽造品や価格の不透明性といった課題が指摘されている。
今回の提携は、こうした課題に対応し、日本の文化的価値を正しく届ける信頼性の高い流通基盤を構築する狙いがある。
具体的には、メルカリのマーケットプレイス上に駿河屋の全商品を連携させ、国内では駿河屋の公式ECを駿河屋.jpとメルカリ駿河屋店に集約する。
価格は両サービスで統一され、利用者は日本最大級の品揃えから安心して購入できる環境が整う。さらに、メルカリのグローバルアプリを通じて駿河屋の商品を世界中に提供し、オンラインとオフラインを連動させたOMO施策や、国内外での旗艦店展開も視野に入れる。
また、駿河屋の膨大な商品カタログデータと、メルカリの取引データやAI技術を組み合わせることで、偽造品排除や適正流通を強化し、国境を越えた取引における安全性の向上を図る。
駿河屋の杉山綱重社長は、日本品質のリユース文化を世界に広げる意義を強調し、メルカリとの連携によって新たな信頼モデルを築けるとの期待を示した。
メルカリ側も、日本のエンタメ・ホビー商品を購入する際の事実上の標準となるプラットフォームへの進化を目指すとしている。
両社は今後、エンタメ・ホビー分野を起点に循環型リユースモデルを深化させ、将来的には他分野へも展開する構えだ。
オンラインとオフラインをつなぐ世界最大級の流通網の構築を通じ、日本発の文化と価値をグローバルに届ける挑戦が本格化する。
