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千葉県東庄町の旧石出小学校で、11月29日と30日の2日間限定で「OPPES(オッペス)倉庫美術館」が開かれる。一般社団法人オンラア未来会議が主催し、現代アートの廃棄問題に対する新たなインフラ構築を目指す試みである。

このプロジェクトは、芸術祭で生まれた作品を継続的に受け入れ、保存・再展示する実践的な「倉庫」として機能する。企画の中心には、倉庫美術館構想を提唱した佐藤直樹(多摩美術大学教授)、防災と生存の視点を共有する津村耕佑(武蔵野美術大学教授)、地域参加型の活動で知られる水野俊紀(Chim↑Pom from SMappa!Group)がいる。彼らは、東京一極集中の構造や作品の「使い捨て」文化に異議を唱え、地域とアーティストの新しい関係づくりを進めてきた。

旧石出小学校は2020年に廃校となったが、オンラア未来会議が「トゥーノーイシデショウ」として再生。ここでは、アーティストが作品を無償で預ける代わりに、地域での展示権を得る仕組みを築いている。さらに、作品の設置には地元工務店が関わり、専門家から技術指導を受けることで、地域内にアート設営技術が根付いた。今では子どもや学生が訪れる学びの場ともなり、生きた芸術拠点として成長している。

展示予定の作品には、市原えつこの《未来SUSHI》や津村耕佑の《夢夢神社》など、過去の大規模展覧会で注目を集めた作品が並ぶ。加えて、久保寛子、YOUCA、石田尚志、OJUNら、日本の現代アートを代表する作家たちが一堂に集う。

開催期間中は、地域イベント「第1回フェスティバルトウノショウ」も同時開催される。町の伝統的な祭りを再構成し、現代アートと融合させる試みであり、アートが地域社会に新しい活力をもたらす場となる。主催者は「まつりづくりからまちづくりへ」という理念を掲げ、地域の未来に向けた文化的循環を目指している。

オンラア未来会議は2019年に設立された団体で、「無価値の価値化」を理念に掲げる。地域資源を活用し、カフェやコワーキングスペースの運営、空き家の利活用など、多面的な地域再生に取り組んできた。代表の柳堀裕太は「オンラアとは東庄の方言で“私たち”のこと。誰もが地域の未来を共に考え、動き出せる場所をつくりたい」と語る。

OPPES倉庫美術館は29日と30日、午前10時から午後4時まで開館予定で、入館料は一般1,000円、学生500円。予約不要で誰もが参加できる。アートと地域が交わるこの試みが、次世代の「共創のかたち」を示す場となりそうだ。

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