アドビは、世界最大級のクリエイティビティカンファレンス「Adobe MAX 2025」で、すべてのクリエイターの制作工程をAIで支援する新機能を発表した。AIアシスタントをAdobe Firefly、Adobe Creative Cloud、Adobe Expressなどの主要アプリに統合し、アイデア創出から制作、納品までをシームレスに行える創作体験へと進化させる。
今回の発表では、プロンプトベースの編集が可能な「Adobe Firefly Image Model 5」や、クリエイター独自のスタイルを学習させる「Adobe Fireflyカスタムモデル」など、最新AIモデルを公開。加えてGoogleやOpenAI、Runwayといった他社のAIモデルもアドビのプラットフォーム上で利用できるようになった。
Adobe ExpressやPhotoshopなどには、対話型のエージェントAIが新たに導入された。ユーザーが言葉で説明するだけで、AIアシスタントが意図を理解し、最適な制作提案や操作を支援する仕組みである。これにより、専門知識がなくても高度なデザインや編集を行うことが可能になった。
デジタルメディア事業部門代表のデイビッド・ワドワーニ氏は、「アドビのAIは創造する力の根源だ。私たちはすべてのクリエイターが芸術的、経済的チャンスを最大限に活かせるよう支援する」と述べた。
Fireflyではスタジオ品質の動画編集環境も整備された。「サウンドトラックを生成」や「音声を生成」などの新機能により、YouTubeなどのチャンネル向けコンテンツを統合環境で制作できる。また、ノーコードで数千枚の画像を一括処理する「Fireflyクリエイティブ制作」も登場した。
さらに、Adobe Creative Cloud全体には、生成塗りつぶしや生成アップスケール、動画内の人物を自動認識するオブジェクトマスクなど、多様なAI機能が搭載された。これらによって制作時間を短縮しながら、高精度な表現とピクセル単位のコントロールを維持できる。
アドビはAIを「人間の創造性を補完するツール」と位置づけ、クリエイターの権利を尊重した責任ある生成AI開発を推進していく方針だ。





