大阪・中之島エリアを舞台に、国内最大規模の創造ネットワーク「クリエイティブアイランド中之島」が秋のスペシャルプログラムを開催している。会期は11月30日までで、エリア一帯がアートと対話の拠点として活気づいている。
中之島は水都大阪の象徴ともいえる中州で、美術館、音楽ホール、科学館、国際会議場など多彩な文化施設が集積する都市空間である。今回のプロジェクトでは、このエリア全体を「創造的な実験島」と見立て、アート・科学・まちの知を結びつけたイベントが多数展開されている。
目玉のひとつは、演出家岡田利規氏による回遊型ARプロジェクト「ARでめぐる『中之島15の場所での物語』」である。過去と未来が交錯する十五の短編世界を、スマートフォンを通じて現実の風景に重ねながら歩く体験型アートとなっている。金氏徹平氏や小林健太氏ら多彩なアーティストが作品制作に参加しており、日本語と英語の両言語に対応する。
11月8日には大阪市中央公会堂前で、ディスカッション&パーティ「NAKANOSHIMA LONG TABLE vol.0」が開かれる。参加者は青い服をまとい、100名ほどが一堂に会して創造的な対話を交わす。都市の魅力を「ナカ」から再発見し、大阪を面白くするアイデアを語り合う場として注目される。
アートと音楽を組み合わせた「Radio Cruise Nakanoshima」も話題だ。FM COCOLOの人気DJクリス氏が案内役を務め、11月15日に堂島浜ピアから出航するリバークルーズでは、中之島の歴史や建築を音楽とともに紹介する。英語音声ガイド付きで観光客にも開かれた企画となっている。
また、文化施設の連携企画「エクスチェンジプログラム」では、大阪中之島美術館と大阪市立科学館、grafが共催するトークイベントや、こども本の森中之島とエスパス ルイ・ヴィトン大阪によるナイトツアーなどが予定されている。11月2日と15日に開催され、アール・デコや現代アート、本と建築の関係などを多角的に掘り下げる内容となる。
これらの企画を通して、クリエイティブアイランド中之島は文化・芸術が共鳴する都市の新たな姿を提示する。2025年の大阪・関西万博開催を見据え、中之島が発信する創造の波はさらに広がりを見せそうだ。



