映画制作の常識を覆すAI技術が登場した。株式会社ニュウジア(東京都中央区、代表取締役・柏口之宏)は、AIによる映像制作専門スタジオ「NIUSIA AI STUDIO for Film Production」の提供を開始した。群衆シーンや背景美術、VFX、プリビズ、キャラクターデザインなど、制作で最もコストと時間を要する五つの工程をAIで効率化する。これにより、従来比で最大95%のコスト削減と90%の制作期間短縮を実現するという。
同スタジオはAI映像生成や合成、自動レンダリングを組み合わせた独自のワークフローを構築。9,000万円を要した群衆シーンを150万円で再現、3,000万円のロケ背景を100万円で代替、5,000万円のVFXを1,000万円に抑えることを可能にした。予算・スケジュール・人材という三大制約を同時に解消する仕組みで、プロデューサーにとって大きな魅力となりそうだ。
ニュウジアによると、同スタジオはAIを単なる生成ツールではなく、制作インフラとして位置づけている。AIが作る一瞬の映像ではなく、監督の意図や演出の統一性、照明やキャラクターの一貫性といった映画の品質を支える根幹部分に注力する。これにより「AIで動画を作る」のではなく、「AIで作品を完成させる」ための環境を提供するという。
さらに、映画やアニメ、CMなど幅広い映像クリエイター層を対象に、AIを基盤技術として再定義。制作現場責任者には再現性の高い効率化を、投資家や制作委員会にはROIの可視化を、他分野のプロにはAI統合による表現力向上を提案する。
同社が公開した試算では、中規模SF映画(制作費5億円)を想定した場合、AI導入によって総制作費を約3.2億円に削減できる。これにより、中小制作会社でも大手同等のVFX品質を実現でき、挑戦的な企画を実現する可能性が広がる。また、海外ロケの簡略化によって国際共同制作も推進しやすくなると見込まれる。
ニュウジアはAI映像制作を「人を置き換えるもの」ではなく、「創造性を拡張する基盤」として位置づける。重い工程をAIが担うことで、制作者が物語と演出に集中できる環境を整備する方針だ。AI技術を安全かつ一貫した品質で現場に統合し、文化として根づかせることを目指している。



