2025年5月13日、空撮技術のリーディングカンパニーであるDJIは、新型ドローン「Mavic 4 Pro」を正式に発表した。1億画素のHasselblad(ハッセルブラッド)メインカメラ、大型CMOSセンサー搭載のデュアル望遠カメラ、そして360度回転に対応する「インフィニティジンバル」を融合させた本機は、コンテンツクリエイターに向けて前例のない自由な撮影体験を提供する空撮プラットフォームとなっている。
Mavic 4 Proには、28mm、70mm、168mmという異なる焦点距離の3眼カメラが搭載されており、広角から中望遠、超望遠までをシームレスに切り替えながら撮影できるのが特長だ。すべてのカメラはデュアルネイティブISOフュージョンに対応しており、ノイズの少ない映像を実現するほか、最大5フレームのRAWスタッキングや被写体フォーカス、フリーパノラマなどプロ品質の映像制作を支援する機能を備えている。
特筆すべきは、Hasselbladブランドの4/3型CMOSカメラだ。新開発の1億画素センサーとHNCS(ハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション)により、細部まで鮮明で自然な色彩表現を実現。f/2.0〜f/11の広い絞り値と10本の光条効果により、あらゆる照明条件で印象的な映像が撮影可能となっている。
中望遠カメラには48MPの1/1.3インチセンサーを搭載し、ポートレートやオービットショットに最適な圧縮効果を発揮。さらに望遠カメラは50MPの1/1.5インチセンサーと新ジンバルアルゴリズムを組み合わせることで、遠距離からもブレを抑えた高精細な映像を提供する。これら3つのカメラはすべて4K/60fps HDRに対応しており、メインカメラは6K/60fps HDRおよび約16ストップのダイナミックレンジを実現している。
Mavic 4 Proの撮影表現を飛躍的に広げているのが、新設計の360度インフィニティジンバルである。このジンバルは、カメラ本体の360度回転と70度の上向き撮影に対応し、従来の空撮では困難だったアングルや「ダッチアングル」など、映画的な映像表現を可能にする。空間を縦横無尽に活用できることで、映像制作の自由度は格段に広がった。
安全性と飛行性能も飛躍的に向上している。6基の低照度対応魚眼センサーとデュアルプロセッサーによる高精度な環境認識により、最大時速18mでも全方向の障害物回避が可能。GPSが使えない環境でも、ビジョンポジショニングシステムとリアルタイムマッピングによって、正確な帰還や自律飛行を実現する。また、ActiveTrack 360°機能によって、遮蔽物や低照度下でも被写体を滑らかに追尾できるトラッキングが行える。
最大51分の飛行時間を誇るMavic 4 Proは、時速90km、航続距離41km(※)という優れたスペックを実現。さらに、新世代のO4+映像伝送システムにより、最大30km※のHD映像伝送も可能となっており、都市部など電波干渉の多い場所でも安定した通信を維持する。
操作面では、新たに開発された送信機「DJI RC Pro 2」が対応。高輝度の7インチMini-LEDディスプレイと回転スクリーンを備え、縦向き撮影や高精細映像のモニタリングに最適化されている。また、HDMIポートや128GBの内蔵ストレージ、最大4時間駆動のバッテリーなど、プロ仕様の設計が随所に施されている。
充電においても効率化が図られており、240W電源アダプターとパラレル充電ハブにより、約90分で3本のバッテリーを同時にフル充電可能。さらに、バッテリーの電力を集約してモバイルバッテリーとして使用できるなど、フィールドでの実用性も高い。
Mavic 4 Proには64GBの内蔵ストレージが搭載されているが、より大容量の512GBモデルも用意されており、ALL-I 4:2:2エンコードにも対応。Wi-Fi 6を利用した最大80MB/sの高速転送が可能な「クイック転送機能」や、ドローン本体の電源を入れずにPCに直接接続してデータを移行できる機能など、編集作業をスムーズに進める工夫も随所に見られる。
万が一のトラブルに備えて、DJIは本機にも「DJI Care Refresh」プランを提供。飛行紛失や衝突、水没などにも対応し、1年版は2回、2年版は最大4回までの製品交換が可能となっている。
販売はDJI公式ストアおよび認定販売店で開始されており、価格はMavic 4 Pro(DJI RC 2付き)モデルが277,200円(税込)、Fly Moreコンボが355,850円(税込)、512GBクリエイターコンボが497,860円(税込)となっている。
撮影、飛行、編集のすべてにおいて圧倒的な性能を誇るMavic 4 Proは、映像制作に革新をもたらす「空飛ぶカメラ」として、今後のクリエイティブシーンを大きく変えていくことになりそうだ。