こんにちは、CREATIVE VILLAGE編集部の澤田です。

11月9日(水)、10日(木)にFukushima Tech Create-ビジネスアイデア事業化プログラム-、第4回ワークショップが行われました。
ビジネスアイデアの種を、ビジネスモデルの芽に育てていく全5回のワークショップ。今回はマーケット調査に取り組み、いよいよ事業の輪郭ができていきます。

<DAY4の講師は…>
熊谷氏・プロフィールこんにちは、株式会社ツクリエ・熊谷です。
前回は皆さんのアイデアの技術的な特徴を掘り下げ、その用途について複数の仮説をたてました。
今回取り組むのは「マーケットアセスメント」。用途仮説から想定される潜在顧客とニーズ、商流、競合、売上とコストについて調査し、どんなマーケットの中でどんな立ち位置でビジネスを展開するのか方針を決めていきましょう。

潜在顧客とニーズ仮説

用途仮説ごとに複数の潜在顧客を想定し、潜在顧客ごとに複数のニーズ仮説を想定します。順番に解説していきます。

潜在顧客

潜在顧客について仮説を立てるときは顧客像を具体的に設定しましょう。
年齢や性別、職業、居住地、ライフスタイル、どんな悩みを抱えているかなど、細かく人物像を設定します。ペルソナとも言ったりしますね。

BtoBビジネスにおけるペルソナの考え方
toB向け商材の場合、企業が抱えるニーズは社外に表出しづらいため具体的な顧客像を想定しにくいでしょう。以下のポイントをもとに、できる限り細かく設定しましょう。

  • 顧客の業種(例:食品)
  • 商流の中での立ち位置(例:生産者、卸、輸入商社、食品製造…など)
  • 会社名
  • 担当者の社内ポジション(決裁権や予算決定権があるか?)

ニーズ仮説

ペルソナができたら、次は自分の提供しようとしている商品やサービスがその人にとって無くては困るものなのかを想像します。またその人はニーズを自覚しているのか、そうでないのかという観点でも考えます。

顧客が「無くては困る」と感じているとき、その切実なニーズの背景には優先度・緊急度が高い、痛みを伴う課題があります。事業初期にはそんな緊急度の高い課題をもったアーリーアダプターを見つけることが重要になります。

※アーリーアダプターとは?
イノベーター理論(新しい商品やサービスへの反応が早い順に市場を下図の5つに分類する理論。)において、トレンドに敏感で自ら情報収集を行い判断する層。新しい商品やサービスなどを早期に採用し、世間や業界のオピニオンリーダーやインフルエンサーになりやすい。
イノベーター理論の5段階
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には「キャズム」と呼ばれる深い溝があり、市場開拓においてはこの溝を超えることが重要になる(キャズム理論)。
アーリーマジョリティ以降のメインストリーム層を開拓するためには、アーリーアダプターをきちんと攻略して市場にポジティブな影響を与えてもらうことと、製品やサービスを導入する合理性をきちんと説明できることが重要になる。
参考・引用:https://www.onemarketing.jp/lab/btob-marketing/innovation-theory_195

付加価値を提供する製品やサービスは「切実な課題を解決する」とは認識されづらい傾向にあります。そんなときはまず顧客の課題を理解してあげましょう。
ニーズが顕在化していなくても課題を抱えているケースはあります。課題が分かれば、商品やサービスを課題解決の手段として提案できます。
事業初期の受け入れ先が見つかりやすくなるでしょう。

また顧客のニーズは、その顧客が商流の中で担う役割によって変わります。商流については次で解説していきます。

商流

商品やサービスが生産され顧客に届くまでの商取引の流れを商流といいます。
既存の商流の中でどのポジションを目指すのか、どこを顧客にして何を提供するのかを決めていきましょう。

例えば自動車産業の場合、以下のような商流が想定できるでしょう。

自動車産業の商流
商流はビジネス構造そのものといえます。商流の一部を変えることで新しいビジネスモデルができ、新しい価値が生まれるということもあります。
また商流を把握することで、顧客の関心がどこにあるのかもわかります。
自社活用を検討したいのか、顧客の顧客に販売したいのか、顧客が提供するサービスを向上させ顧客の顧客に価値提供できるかなど、顧客の関心は様々です。自分たちの商品やサービスの強みが響くポジショニングを探っていきます。

商流は、一度調べた後も「これで合ってるか?」と何度も繰り返し調べるものです。
代表的な調べ方としては、以下のようなものがあります。

  • 日本経済新聞や関連書籍から探す
  • 「技術・アイデアを表すキーワード」+「商流」でWeb検索

競合

商流の中でのポジションが決まったら、次は競合調査です。
競合調査をする際は、技術の競合、製品・サービスの競合を分けて考えます。

例えば、電動ドリルの場合は以下のようになります。
どこの競合?

競合と比較して特に優れている点、劣っている点はそれぞれどこでしょうか。
「競合がない」ということはあり得ず、必ず比較対象があります。
比較をすることで自分たちが提供しようとしているサービスの特徴を再確認しましょう。

競合も用途仮説を調べたときと同じように、製品・サービス名やカテゴリー名、技術やアイデアを表すキーワードで検索することで調べられます。

売上とコスト

当たり前のようですが、事業を継続するためには利益を出す必要があります。
利益をあげるためには、売上構造とコスト構造を把握し調整しなければなりません。

ざっくりいうと、売上は「売り方×課金モデル×価格設定の仕方」で決まります。
そこからコストを差し引いた金額が利益になります。
コストの内訳は提供するサービスによって異なりますが、例えば人件費、サーバー費、研究開発費、マーケティング費、広告宣伝費、治験費、家賃、外注費、材料費などがあります。

バリュープロポジション

既存マーケットの中でどんな立ち位置で、どんなビジネスを展開するのか。
ここまでの調査を通して、その輪郭が見えてきたと思います。

ここで今一度、顧客のニーズ仮説と自分が提供しようとしているサービスの結びつき、そして他社サービスとの違いについて振り返ってみてください。

バリュープロポジションここからは顧客のニーズ仮説との結びつきを繰り返し検証することでバリュープロポジションを明らかにしていきます。
バリュープロポジションとは、顧客に求められているが競合他社では提供できない、自社だけが提供できる価値のことです。

商品やサービスが顧客の課題を解決できるか検証するには、最小限のプロダクトが必要になります。
詳しくみていきましょう。

MVPをつくってみる

ニーズ検証用の実用最小限の製品をMVP(Minimum Viable Product)といいます。
DAY2冒頭で登場したプロトタイプも、MVPの一種です。

検証段階ごとのMVP

また、商品やサービスの概要が分かるパンフレットもMVPの一種といえます。
今回のワークショップではパンフレットを作成し、ヒアリングを通して仮説検証をしていきましょう。

ヒアリング相手としては、ニーズや課題に沿って良し悪しを判断するアーリーアダプターを選びます。その中でも、設定したペルソナに近い人物に話を聞きましょう。

toB向け商材の場合は現場担当者、予算執行者、決裁者の各人にヒアリングできることが望ましいです。なかなか想定顧客に接触できないケースもあるかも思いますので、そういうときは商流の前後の企業や同業/競合企業と話をするのも意義があります。

パンフレットMVPはピッチの場で話すスピーチの土台にもなります。
受け手にいかに最短で正確に伝えられるかを意識し、「自分たちがやりたいことをどう届けるべきか」を考えるファーストステップとして取り組んでみてください。

Fukushima Tech Create-ビジネスアイデア事業化プログラム-とは?
東日本大震災によって失われた地域の産業復興を目指す「福島イノベーションコースト構想」内のプログラム。独自技術を用いた起業や新規ビジネス創出にチャレンジする企業・個人をワークショップやメンター制度を提供している。

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