クリエイティブ業界の注目情報や求人情報などを発信する、クリエイターのための総合情報サイトです。

「LINEクリエイターズスタンプ」という大規模プラットフォームでより多くの才能に光を当てるには……? LINEスタンプ事業部 石川康さんインタビュー

2018/06/13 プロデュース

今や130万セット以上のLINEスタンプを展開するプラットフォームとなった「LINE Creators Market」。誰でもLINEスタンプを制作・販売でき、公式スタンプと同様に人気キャラクターが次々と登場しています。
LINEスタンプ事業部の石川康さんは、LINEクリエイターズスタンプの責任者。現在の職種に就く以前は、他社でデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、SNSを利用したコンテンツ企画を中心に仕事の枠を拡げ活躍してきました。

今回は、石川さんのこれまでのキャリアを振り返るとともに、LINEクリエイターズマーケットへの熱い思いを伺いました。

石川 康(いしかわ・やすし)
2015年LINE株式会社入社。ユーザーがLINEスタンプを制作・販売できるプラットフォーム「LINE Creators Market」担当。
CGMプラットフォーム運用・構築をメインに、現在ではクリエイターのスタンプ制作活動を支援している。​

ユーザーとのコミュニケーション構築に興味を惹かれ、デザイナーから企画職へ

――現在はLINE Creators Marketのプロデューサー的役割を担われていますが、元々は石川さんもクリエイターからキャリアをスタートされているとか?

幼い頃からのゲーム好きが高じて、株式会社SEGAにデザイナーとして入社しました。ISP事業の部署に配属され、ドリームキャスト専用ブラウザや、ポータルサイトのコンテンツデザインを担当していましたが、その中でインターネットのユーザー参加型コンテンツ(CGM、UGC)に強く興味を惹かれ、次第に企画も担当するようになりました。

その後、転職した先輩に誘われる形で株式会社 ドワンゴに籍を移し、いろメロミックス(現ドワンゴジェイピー)やニコニコ動画のサービス立ち上げにデザイナー、ディレクターの両面で関わっていくようになりました。

――ニコニコ動画に関してもデザインや企画を担当されていたんですか?
担当案件ではデザイン、企画共に担当していました。当時はものすごい勢いで会員数が増加していましたので、反響も多く、仕事としても充実していたのですが、「今の仕事は参加メンバー全員の集大成であって、自分自身の力だとは言い切れないのではないか」という気持ちがずっと引っかかっていまして。30歳目前だったということもあり、自身の企画やデザインで勝負したいと一念発起し、株式会社 バスキュールに転職しました。

――転職先でもデザイナーとしての採用だったのでしょうか?
バスキュールでの肩書きはWebディレクターでしたが、現在と同じくプロジェクトの責任者として、企画だけでなく必要があればデザインも担当していました。
業務としてはクライアントのWebキャンペーンをフィールドに、テクノロジーとユーザーインタラクションを組み合わせて、新たな表現方法やコミュニケーションを形にしていたのですが、そこにCGMを取り入れることで自分らしさを追求していったという感じです。

今では当たり前になっているコンテンツの結果をSNSにシェアする仕組みのはしりを搭載したり、カーソルを避けるインタラクションバナーをポータルサイトに配置し、歴代上位のCTR値で多くのユーザーを巻き込んでいったりしました。
また、競争意識を高められるよう、コンテンツをゲーム形式にすることが多かったのですが、ここでは自身のゲーム好きの部分を生かせたのではないかと思っています。

――石川さんの中ではユーザーといかにコミュニケーションできるかっていうところがやりがいでもありおもしろさだったんですね。
インターネットは誰でも発信者になれるメディアです。ユーザーが発信した情報を必要としているユーザーにしっかりと届けることができれば自然と話題も大きくなります。
その結果、国内だけでなはく、海外の広告賞をいただく機会にも恵まれましたので、当初の目的をある程度果たすことができました。

――そこからLINEに入られた経緯というのは……?
ここまでで、「CGMコンテンツの企画と立ち上げ」と「プロモーション」を経験できましたので、退職後は「コンテンツ運用」を学ぶことでサービスの一連をカバーできると考え、フリーのWebディレクターとしてソーシャルゲームの運用に関わり、自分なりにアレンジすることで効果を上げていきました。

近年ではスマートフォンの普及に伴い、サービスに対する参加ユーザーの規模もどんどん大きくなっていますが、その中でもLINEはさらに大きい規模でしたので、何か面白い活動ができそうだなと常々考えていました。
そこで思い切ってご相談させていただいたところ、縁あって参加できることになったんです。

ユーザーの発信欲を掻き立てられてこそ真の意味で“バズる”と言える

――では入社以来クリエイターズスタンプを担当されていると。
入社して3年くらいになりますが、当初よりプロデューサー的な立場としてクリエイターズマーケットの活性化を目指し、企画、運用をしています。
最近では「LINE Creators Collaboration」を企画し、2018年6月よりサービスを開始しています。

これまでのスタンプはオリジナルのキャラクターを作る必要がありましたが、この企画では、版権元から許諾をいただいた人気キャラクターを利用してスタンプを制作・販売できるようになりました。
「オリジナルのキャラクターは作れないけど、好きなキャラクターを描くことだけは誰にも負けない」というユーザーの声を企画にした形です。
また、ユーザーの創作活動の多くは「版権の管理」と「マネタイズ」が課題にあげられますが、版権元と協議のもと基準を設定し、審査を必ず通すことで「版権の管理」を、売上の一部をIPに還元することで「マネタイズ」をクリアしているのも特長のひとつです。

第一弾はユーザーの制作活動が盛んな『東方Project』です。
情報解禁後、いろいろなメディアで取り上げていただき、ユーザーからも「こういう企画を待っていた」といった好意的な声をたくさんいただきました。
スタンプ作成の過程をTwitterで定期的にアップしているユーザーもおり、ファンの言葉や意見を交えてスタンプ制作のをしている様子をみると、楽しんでもらえるサービスになったのではないかと感じています。

「LINE Creators Collaboration」は今後も様々なキャラクターとコラボレーションしていく予定ですので、こういった制作の輪が広がってくれるといいなと思います。

――まさにやりがいを感じられそうな結果ですよね。
今回は苦労したことも多かったので、ユーザーのポジティブな声や意見がもらえたのはとても嬉しかったです。また、LINEという大規模なサービスの中で実現できたというのも手ごたえとして非常に大きかったです。

――今までの石川さんが様々な実績を積み上げてきたからこそ実現できたんだということがよくわかります。
CGMやUGCはユーザーが参加して楽しんでもらうことで初めて完成するコンテンツですので、ユーザーに参加いただく際のベストな状態を考えていく上で、自身の経験は大変役立つものになりました。

より多くの才能にスポットを当てられる場所であるためにできることとは……?

――現在クリエイターズマーケットで人気のあるスタンプの傾向はどのようなものですか?
スタンプは「LINE上のコミュニケーションを促進する」役割が大きいので、相手に嫌悪感を与えることなく、伝わりやすい内容のものが使用される傾向があります。
形にするのは意外に難しいのですが、スタンプを送信することで相手がどんな返答が返ってくるかまでをしっかり考えられているスタンプは自然と人気になる傾向がありますね。

――人気のあるスタンプって、正直どれくらい売れてるんでしょうか。
売上TOP10名のクリエイターの平均販売額は累計で6.4億円にものぼります。クリエイターズマーケットは「クリエイターの活動支援」を目的として開始したという側面もありますので、そこに関してはある程度実現できているのでのはないかなと感じています。

――6.4億円って、規模が違いますね……。
ここまでの規模はさすがに限定的かもしれませんが、こういったチャンスが誰にでもあるのは、現代のコンテンツらしいと思います。

――今後クリエイターズマーケットでやっていきたいことっていうのはありますか。
世の中にはいろんな才能を持たれた方がたくさんいらっしゃるので、様々な才能にスポットを当てられる場所として構築していけたらと思っています。
現在はイラストにフォーカスされてしまっているので、「フォトグラファー」や「コスプレイヤー」であったり、今とは全然違う方向としても「面白いスタンプを発掘するコーディネーター」といった才能にもスポットを当てられたらいいなと思っています。

ユーザーとプロデューサー、2つの視点を持つことでよりクリエイティブに

――では最後に、石川さんのようなお仕事をしたいと思ってる人に向けてアドバイスを頂きたいです。
枠に囚われず、様々なことにチャレンジをするいうのがとても大事だと思います。
自身で言えば、立場をデザイナーに止めず、企画やディレクションにもチャレンジすることで得られた経験が今に繋がっています。
デザイナーだからデザインしかしないのではなく、デザイナーでの経験値や視点をもってサービスをよりよくすることに務めた方が、結果としてみんなが幸せになれると思っています。
そして、そこに固定観念はないほうがいいのではないかと思います。
デザイナーでもプロデューサーでも、立場は違えどいいサービスを創りたいという気持ちは同じはずです。いろんな視点の意見をうまく取り入れつつバランスを取ることで、より良いサービスが創れると僕は信じています。

そして、なにより「ユーザー視点」を大事にすること。
これらをうまく形にすることができれば自然と反響がもらえるますし、多くの人に喜んでもらえた時なんかは、クリエイターとして幸福を感じられる瞬間なんじゃないかと思います。

インタビュー・テキスト:上野 真由香/撮影:TAKASHI KISHINAMI/編集:CREATIVE VILLAGE編集部


LINE Creators Market
「LINE Creators Market」は、世界中のLINEユーザーがLINEスタンプ/着せかえを制作・販売することができるプラットフォームです。クリエイターが制作したスタンプ/着せかえはLINEによる審査を通過後、「LINE STORE」https://store.line.me とLINE内「スタンプショップ」にて販売・購入することができます。

LINE Creators Market:https://creator.line.me/ja/