HOME > VILLAGE CAFE > 映画監督 吉田 光希さん
9/24(土)より公開する映画『家族X』の監督である吉田 光希さんに、これまでの生い立ちやクリエイターへのアドバイスなど、お話しを伺いました。
■ 日本映画は面白い
小学校から高校までは柔道をやっていました。その当時放送されていたTVアニメ『YAWARA!』を見て「柔道着が着たい!」と思ったのがきっかけでした(笑)
小さい頃から何か物語りを創作したいという気持ちがあったのか、その頃は将来は漫画家になりたいと
思っていましたね。
小学生の頃から映画には触れる機会はありました。
家の近所に映画館があったので、幼い頃は『東映まんがまつり』などを見たり、父親がビデオをよくレンタルしてきていたので一緒に見ていました。
『仁義なき戦い』などが多く、非日常的な感じがして面白かったです。
一人でも映画館に行くようになって、初めて見た実写映画は黒沢清監督の『スウィートホーム』。ホラーが好きだったんです(笑)
影響をうけたのは、伊丹十三監督の映画ですね。『マルサの女』など伊丹監督の作品を見て、「日本映画は面白いな」と思いました。
そういえば、父に「北野武の映画が見たい」と言ったのに、有無を言わさず桑田佳祐の『稲村ジェーン』に連れて行かれたことがありましたね(笑)
■ 「お前は監督になりたいんじゃないの?」
中学生になると、自分以外にも映画に詳しい同級生がどんどん出てきて、周りに負けじと映画ばかり観ていましたね。
特にホラー映画を極めようとめちゃくちゃ見てました。
高校の頃見た映画の中で衝撃を受けたのは、塚本晋也監督の『鉄男』です。
卒業後、
たまたまテレビで塚本監督がスタッフを募集しているのを知り、早速履歴書を郵送。
塚本監督のもとで映画の現場を経験することができました。
このまま“映画”というものに関わっていこうと漠然と思っていて、最初は撮影部や照明部などの技術職を目指そうかと考えていました。
すると、同期のスタッフから、「お前は監督になりたいんじゃないの?」と言わることがあって、はっとしたんです。
それまではなかなか声に出して言えなかったんですが、その言葉を受けて監督をめざすとはっきり決めました。
その後、映画以外の事も勉強したいと考えて大学に進学したんです。それからは迷うことなく自主制作で映画を撮り始めましたね。同時に、時間があれば撮影現場に出て経験を積むようにしていました。
振り返ってみると初監督は実は小学校6年生の頃で、学校にあったHi8(ハイエイト)を使って、
友達や自分も出演して道徳的なストーリーを撮りました。
そのタイトルは恥ずかしいので秘密です(笑)
■ ありのままの彼女を撮りたかったんです。
とにかく天候に恵まれず、なかなか思い通りのアングルが狙え
なかったのですが、ここぞというシーンはしっかり撮れたと思います。
なかでも特に印象に残ったシーンは、専業主婦を演じる南果歩さんが路上をさまようカット。
公道なので本来なら車を停めて撮影用に車を走らせるのが一般的ですが、「自分のタイミングで行かせてください。」と南さんに言われて、実際に走っている車のタイミングをご自分で計って演技をされたんです。
見事に一発撮りの一発OKでした。
台所で南さんが感情を爆発させるシーンも同様でした。
人間という感情を持って動くものを狙ってとることはできないので、最初に演じた演技でいいと思っています。
■ シナリオ通りに撮ると自分の想像を超えられない
またこの作品で一番こだわったポイントは、“彼女(南さん)を逃さない”こと。屋外でも家の中でも三脚は一切使用せず、彼女にはりつきました。ありのままの彼女を撮りたかったんで
す。
シナリオはシナリオであって映画ではありません。シナリオ通りに撮ると自分の想像を超えられないんです。だから現場で生まれる「何か」を大切にしています。
狙って撮る段取りだけの映画ではなく、役者さんと作り手の関係をうまくつくることで一緒になった時に初めて、その「何か」が生まれるんだと思います。
■ 好きな映画について
伊丹十三監督の作品から始まり、塚本晋也監督の作品と感銘を受けたものはたくさんありますが、黒沢清監督の『回路』がオススメです。
自分と他者の問題をホラーというジャンルでも表現できることに驚きました。エンターテインメントと自他問題が共存している奥深い作品です。
■ チャンスはいくらでもある
学校を卒業した後に撮れるか撮れないかがカギになってくると思います。
社会人になるとどうしても仕事の合間をぬってのことになるので、自分の今の生活の中で“撮る”という作業ができるかどうかだと思います。
ただチャンスはいくらでもあるので、無理にでも時間を作って撮ることができれば、次からもきっと撮れます。
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『家族X』 9月24日(土)、ユーロスペース他にて 全国順次ロードショー! 監督・脚本:吉田光希 プロデューサー:天野真弓/撮影:志田貴之 照明:斉藤徹/録音:加藤大和/整音:照井康政 美術:井上心平/装飾:渡辺大智/音楽:世武裕子 編集:早野亮、吉田光希/スクリプター:西岡容子 助監督:松倉大夏/制作担当:和氣俊之 出演:南果歩、田口トモロヲ、郭智博 筒井真理子、村上淳、森下能幸 |
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2010年/35ミリ/ 90分/カラー PFFパートナーズ(ぴあ、TBS、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN) リトルモア提携作品 配給=ユーロスペース+ぴあ |
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吉田 光希
1980年東京都生まれ。
東京造形大学在学中より塚本晋也監督作品を中心に映画製作現場に参加し、美術助手、照明助手、助監督などを経験。
大学卒業後は、製作プロダクションにてCMやPVを制作する傍ら、自主製作映画を手掛け、4作目の作品『症例X』がPFFアワード2008にて審査員特別賞を受賞。
第20回PFFスカラシップの権利を獲得し、『家族X』へと至る。