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「クリエイティブとは、“好き”を突きつめること」ZOZOTOWNクリエイティブディレクター 株式会社スタートトゥデイ工務店 遠藤裕顕さん

2017/04/14 インタビュー

CMやキャンペーンなどで異彩を放つZOZOTOWNは、国内最大規模のファッション通販サイトとして3,821ブランドのアイテムを取扱っています。過去には電車をまるごとジャックしたり、『スター・ウォーズ』とコラボレーションしたり、ときにはゲリラ的に総額2億円の商品を“0円で販売”したりと、驚く企画を次々と打ち出し、話題となりました。そのZOZOTOWNのクリエイティブを統括する、遠藤裕顕さんにお話を伺いました。

好きなバンドのメンバーが起業した会社へ

物心ついた頃から自宅にパソコンがありました。父親が趣味でプログラムを書いたり、子どもの頃からパソコンでゲームをしたり、僕にとってパソコンは身近なものでした。高校生の頃Windows95が登場して初めてインターネットに触れて「これはスゴイ!面白い!」とハマりました。大学は経済学部だったのですが、趣味で簡単なWebサイトを作るうちに、Webの勉強をしたいと思うようになって専門学校にも途中から通いました。卒業後はWebデザイナーを目指して渋谷の制作会社に入社しました。
制作会社では商社のチラシやWebの受注制作をしていたのですが、残業も多く、泊まり込む日も多かった。得意なジャンルでもなく、辛かったけど3年はとりあえず続けました。
ちょうど3年経った頃、好きだったバンドのメンバーが千葉の実家近くに面白い会社を経営していると聞いたんです。ピンときてすぐに採用応募したのが、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)を運営するスタートトゥデイでした。ZOZOTOWN開設一年目の当時は、正社員は20名くらいしかおらず、ネットで服を売るというサービスがこれから成長していくという時でした。

入社後は、当時ZOZOTOWNを作ったアートディレクターの元で関連のサービスを立ち上げるようになりました。入社してまもなく、京葉線の広告ジャックもやりました。20代半ばで影響力のある仕事に携われたのは本当に刺激的でした。ベンチャーならではだと思います。
その後も、サイトの大規模リニューアルやZOZOTOWN10周年の『0円企画』、「スター・ウォーズ」とのコラボなど、インパクトのある企画を行いました。『0円企画』では、代表と「10周年だから何か面白い事やろうよ」と話していて、告知ナシで約2万点・総額2億円相当のアイテムを0円で販売したんです。その時の僕たちの裏テーマは「Yahoo!ニュースのトップに載るぐらい話題性のあるニュースを仕掛けよう」で、ゲリラ的に0円で売ったら面白いだろうという発想でした。狙い通りYahoo!ニュースのトップに掲載されて、すごく達成感がありました。リスクはもちろん承知の上で、今までにない新しく面白い事を仕掛けていこう、という考えです。そもそも、ネットで洋服を売るサービスをどこよりもはやく始めたのが、ZOZOTOWNですから。

ZOZOTOWNのクリエイティブを担う

僕達インハウスデザイナーは、基本的に社内でのやり取りがほとんどです。他部署の要望だったり、チーム内の提案から始まります。
また、代表の思い描くイメージやアイデアを汲み取って、それを広げて「こういう感じですか?」と形にして見せて……を繰り返す。ラフを描いたり、モックアップを作ったり、コンセプト画を作ったり、スピード感をもって頻繁にコミュニケーションをとるようにしています。
代表はデザインにも精通しているので、非常にこだわりが強い。デザインの理解があるので仕事がやりやすいですし、続けられる理由でもあります。もっとこうしよう、ああしよう、と次から次にいろんなことに挑戦するので飽きないんです。

僕は今、ZOZOTOWNとスタートトゥデイのクリエイティブディレクションをしています。基本的なサービスのUI、広告、企画から、ノベルティや、新卒向けの入社記念品とか……なんでもやります。毎回いろんなお題があるので、作り手としては楽しいです。
モノを作って外に出す時にもっとも意識しているのは、クリエイティブを見た人が「どういう気持ちになり、実際に行動喚起させられるか」ということ。広告であれば、その広告を見てサイトに来てくれるかどうか。UIだったらなにも考えなくても使いやすく買い物ができるか。見た人にどう感じてもらい、どう動いてもらいたいかというところをきちんと整理して、それに合わせた表現を作ることが、デザイナーの仕事だと思います。

僕が楽しめば、チームも楽しくなる

現在、デザイナーは約20名程います。席も近いし、プライベートでも遊ぶ仲なので、コミュニケーションで苦労したことはないんですよ。週末に一緒にライブに行って、「あの企画どうする?」なんて話しています。遊びと仕事の境界が曖昧だし、ストレスもほとんどない。社内でストレスチェックをした時に、デザイン部のメンバーはほぼノーストレスだったらしいです(笑)

2015年末にスタートトゥデイ工務店(ZOZOTOWNやWEARのシステム開発・デザイン・分析など制作業務全般を担うグループ会社)を発足してからは、少し変わりました。スタートトゥデイ工務店は技術に特化していて、スタートトゥデイのサービスをほぼ100%、僕らで開発しています。青山と幕張の2拠点になったこと、サービス規模も大きくなって関わる人数も増えたことで、より業務が細分化され効率化されました。

それでも基本は変わっていません。働くうえで大事なことは、とにかく楽しむこと。僕が楽しんで仕事しているので、現場にもその雰囲気が伝わると思います。アイデアが出た瞬間や、企画で狙った通りの反応が返ってきた時など、ものすごく気持ちいいし達成感がありますね。
時には思いきりふざけることもあって(笑)会社が大きくなってもふざけたことをするということは、大事だと思うんです。仕事も遊びも同じように楽しんでやるというのは、僕が入社直後に素敵だなと感じたスタートトゥデイの魅力なので、その良さを残したいと思ってます。

クリエイティブのための勉強はしたことがない

クリエイティブのための勉強というのは特にやっていません。自分の好きなことや興味のあることを深堀りしているだけです。デザインの本を読むのも、いろんな作品を見るのも、ただ好きだから。好きじゃないことなんてできないし、やらなくていいと思います。当たり前だけど、好きでもなく、楽しくもなく作ったものなんて良いものができるわけない。好きだし、楽しんで必死にアイデアを考えて全力で取り組むからこそ、良いものができると思う。

そもそも僕がこの会社に入社したのも、好きなバンドのメンバーが代表だったこともあるので、自分が惹かれる方向へ進んだ結果、好きなものを突き詰められる今の環境にいられるのかもしれません。

とにかく“懸命な”メンバーと働きたい

一緒に仕事をしたいと思う人は、ポジティブな影響を与えてくれる人。大人しくても口下手でも、必死に考えて、改善しなければいけないことは指摘して、より良いモノを作ろうとする一生懸命さがあればいい。そんな人とは話していて気持ちいいし、一緒に切磋琢磨していけます。

技術面でのスキルは、後回しでもいいと思います。最近はプログラムもデザインもできる人が多いから、スキルも大切だと思うんですけど、デザイナーにとって大事なことは個性や感性といった“人間性”です。例えば、ただ街を散歩するだけでも目に入ったものや、聞こえたもの、何にどういう感情が湧くかは人それぞれです。クリエイティブな仕事は人間性がとても出るので、自分の好きなものを突き詰めて、得意な部分を伸ばして、自分だけのスタイルを作れると良いと思います。

ZOZOTOWNの場合は自社サービスですから、受託制作と違って、自分で考えて、自分で決められて、社会にたくさん影響を与えられる。「こんなことがやってみたい」という思いがまずあって、その次に、「技術を磨きたい、腕を試したい」という前向きな気持ちで仕事に臨めると、楽しく働けるでしょうね。

もちろんサイトの数字もすごく見ています。けれど数字ばかりを追ったサービスでは面白味がない。完成されたものより未完成なものの方が味があって魅力的なので、遊べる“余白”を大事にしたいです。そこは最適なバランスをとりつつです。それがZOZOTOWNの特徴だし成功している要因だと思います。


1998年設立。輸入CD・レコードのカタログ通信販売事業から、2000年よりファッションのインターネット販売事業を開始。2004年にファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」をオープン。現在、ZOZOTOWNは3,800以上の人気ブランドを扱い、常時41万点以上の商品を掲載。2013年にはファッションコーディネートアプリ「WEAR(ウェア)」を提供開始(現在世界中で850万ダウンロード)。2007年、東証マザーズに上場(3092)、2012年2月、東証第一部に上場。2016年3月期では商品取扱高1595億円を達成。事業を通して、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念の達成を目指す。
https://www.starttoday.jp/

遠藤 裕顕(えんどう・ひろあき)

株式会社スタートトゥデイ 工務店
ZOZOTOWNクリエイティブディレクター

2005年デザイナーとしてスタートトゥデイに入社。
2012年にデザイン部 部長に就任。
その後2015年にZOZOTOWNやWEARのデザイナーやエンジニアを集約した株式会社スタートトゥデイ工務店発足、現在に至る。

スタートトゥデイ工務店
https://st-komuten.jp/

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