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TBS 『水曜日のダウンタウン』ほかの演出を手がける藤井健太郎さんに聞く

演出・プロデューサーとして『水曜日のダウンタウン』『芸人キャノンボール』などを手掛け、TBSバラエティの快進撃を支えている藤井健太郎さん。2016年10月からは『クイズ☆タレント名鑑』がパワーアップして帰ってきた『クイズ☆スター名鑑』も新たにレギュラーに加わり、その制作番組にますます注目が集まりそうです。そんな藤井さんが、初めて“テレビの裏方”を意識するきっかけになった番組とは?そして、毎回、番組内で扱う“説”がtwitterなどでも話題になる『水曜日のダウンタウン』はどのように作られているのか?…など、お話を伺いました。

 

■ “テレビの裏方”を意識した『進め!電波少年』

ずっとテレビが好きだったことはもちろん、楽しくない仕事はしたくないな、という想いが根底にありました。かと言って、安定していない仕事も嫌で。
仕事選びには、経済的に安定していることと、楽しさのバランスが大事かなと。そういう意味で、テレビ局なら、大きい会社の所属でありながら、楽しいことができると思ったんです。

“テレビの裏方”を意識するきっかけになったのは、日本テレビの『進め!電波少年』でした。出演者の松村邦洋さん、松本明子さんはやらされている側で、コントロールしているのはスタッフという構造が表に出ていた番組だったので、裏方さんが面白いことを考えているんだな、という気付きになりましたね。

テレビ全般が好きだったので、入社時は絶対にバラエティがやりたいと思っていたわけでもなく、最初の配属は情報番組の部署でした。

そこで1年目にADの仕事をしていた時、入社6年目以下の若手を対象にした企画募集がありました。その時に出したバラエティの企画が実現することになり、編成担当から、「せっかくバラエティを作るんだから、いつもの情報系の人じゃなくて、バラエティで一線の作家さんと組んだ方が良いんじゃない?」と言われまして。
その時点で、バラエティの作家さんにはもちろん知り合いもいなかったので、どうせ知らない世界に飛び込むなら、バラエティ放送作家のトップ、高須光聖さんと一緒にお仕事をしてみたいと思ってお声がけをしました。

そして制作したのが『限度ヲ知レ』という番組です。世の中のはっきりとラインが引かれていないものに対して、どこまでが限度なのかを探っていく内容なのですが、例えば、ペット同伴OKの店に同伴で入れる動物の限度を探るとか。まずは、犬から始まって、だんだん「それはねぇだろ」という動物を連れていき、大蛇でNGは食らいつつ、オチは“猿が犬を連れていく”でした。他にも、牛丼屋の特殊オーダーには、ネギ抜きなどがありますが、それを何まで抜けるか?という。肉抜き、米抜きときて、最後は“丼抜き”で「どんぶりなしで」と…そういう感じの番組でした。

高須さんとの仕事をきっかけに、その後、ダウンタウンのお2人ともお仕事をさせていただくことになりました。大好きな方々なので嬉しい気持ちも大きかったのですが…大変そうだなぁという不安もありました。情報の部署からバラエティの部署に異動し、『リンカーン』の立ち上げに参加したことは、バラエティ制作者としての第一歩であり、ダウンタウンのお2人との初めての仕事でもあったので、それは一つの転機になったと思います。

 

■ 『水曜日のダウンタウン』の“説”に必要な3つの要素

『水曜日のダウンタウン』は最初から今のように、誰かが“説”のプレゼンターとなって、皆でそれを聞く、というスタイルで考えていたわけではありませんでした。ダウンタウンのお2人と話しながらどんな形が良いかを探っていく中で落ち着いたスタイルです。
企画自体にそれほど特徴があったわけではないので、“説”というワードは番組に特徴を持たせるためにも必要なワードでした。また、バカバカしいネタから真面目なネタまで、“説”さえ付いていれば同じ枠の中に収まって見えるし、番組の中身が後々変わってきたとしても“説”さえ付いていればなんとなくOK…という便利なパッケージです。

“説”を採用する基準は、まず聞いた時にワードとして面白いこと。そして、検証の結果、答えに興味が持てること。さらに、結果に至るまでの過程が面白く描けるかどうか、です。この3つの要素を全て満たしていればベストですが、どこかの要素が欠けていても、他のどれかが突出していればそれもアリです。

例えば「結果発表のコールが日本一上手いの浜田雅功説」は、そのワードと目線が面白いので、もうそれだけでOK。この場合の結果は分かりきっていますが、その検証モノとしての興味は、発展系の「浜田雅功の結果発表でカラス撃退できる説」で得られました。この“説”のように最初の視点がしっかり持てれば、その後の展開は作り易いですね。

“説”はVTRのクオリティはもちろん、それをスタジオでダウンタウンの2人が見ているということが凄く大事です。よくお2人に「VTRに悪意あるわ~」などと言われてしまいますが、僕自身は、悪意や毒と言われるものに対してそれほど意識的ではありません。何かを面白く表現しようとすると自然にそういったテイストが入ってきてしまうみたいです。

 

■ 自分が好きなものの形を理解しておく

終了から4年半を経て、『クイズ☆タレント名鑑』がレギュラー放送に復活し、2016年10月から『クイズ☆スター名鑑』としてスタートすることになりました。

『クイズ☆スター名鑑』は、芸能人・有名人を題材にしたクイズ&ゲーム番組です。そのような番組としての大枠がありつつ、自由度が高い…クイズではありながら、答える過程で自由に楽しく遊ぶ雰囲気のある番組になると思います。もともと『クイズ☆タレント名鑑』として形のあった番組なので、良いところはそのままに、昔見ていた方も満足できるようなものにしつつ、新しいことも取り入れて10月16日のスタートに向け中身を詰めている最中です。

これから映像制作などに携わりたい、という方は“自分が好きなこと”を理解しておくといいんじゃないかと思います。作りたいものの形まで具体的にイメージする必要はありませんが“こういうものが好き”という感覚は意識して明確にしておいた方が良いと思います。これ好きだな、とか、この映画やテレビのこの展開やパターンが好きという感覚を大事にして意識しておくと、後々、自分が何かを作ることになった時に発想のきっかけになることがあると思います。


■番組情報

TBSテレビ『水曜日のダウンタウン』
毎週水曜 よる9:57~
http://www.tbs.co.jp/suiyobinodowntown/
s_logo700

TBSテレビ『クイズ☆スター名鑑』
毎週日曜 よる6:55~
2016年10月16日(日)スタート
http://www.tbs.co.jp/star-meikan/


■書籍情報

『悪意とこだわりの演出術』
今、現場の最前線に立つテレビプロデューサーが語った、「話題の番組が生まれる背景」「人気芸人の凄さのヒミツ」から、「ナレーション原稿もすべて自分で書く」といったこだわりの演出に宿る信念、藤井ワールドの特徴でもある〝悪意〟の正体まで……。テレビ界、最注目プロデューサーがその手のうちを余すことなく語った、「バラエティ好き」「お笑い好き」ならずとも必読の一冊! また、有吉弘行さんとの特別対談や、元・TBSアナウンサー枡田絵理奈さんによるコラムも収録。

出版社:株式会社双葉社
定価:¥1,300+税

双葉社での書籍ページ

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藤井健太郎(ふじい・けんたろう)

1980年東京都生まれ。2003年TBSテレビに入社。
『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』『クイズ☆スター名鑑』の演出を務める。

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