“出会いを、もっと身近に。” このキャッチコピーで、あっという間にオンライン合コンサービスのトップとなった「ズムコン」

新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響で緊急事態宣言が出て、自宅で過ごす人々に合ったサービスとして話題となりました。

その人気の仕掛けを、発案者の新井源己さん(インターン)、ズムコンをシステム化した開発担当の後藤誉昌さん(取締役COO)、いち早く事業化に踏み切った社長の手嶋祐一さん(代表取締役 CEO)にお話を聞くと、トレンドを掴む瞬発力と、アイデアを形にする機動力が見えてきました。

ズムコン

新井源己(あらい・げんき)(写真左)
エンジニア/現役大学生。1998年生まれ。
前澤友作氏に憧れて、大学入学時から起業家を目指す。1,2年次には営業やエンジニアを経験し、その後休学して起業。いくつかの事業に携わる。


手嶋祐一(てしま・ゆういち)(写真中央)
エンジニア/Lab316代表取締役。1994年生まれ。
大学在学時にプログラミングを勉強し始める。プログラミングで食べていけると確信し、大手IT企業の内定を辞退。卒業と同時に、Lab316を創業。


後藤誉昌(ごとう・やすあき)(写真右)
エンジニア/Lab316取締役。1993年生まれ。
中学の時にプログラミングを始めて、大学在学中から受託開発を行う。卒業後はリクルートで新規事業開発に2年間従事し、その後Lab316に参加。

どこよりも早くZoomを利用した合コンサービスで注目

──ブームになる前からいち早くZoomを使ったサービスを作られましたね。

新井源己さん(以下敬称略:新井)4月3日くらいに外出自粛になるんじゃないかという話がでて、その期間に自宅で楽しめるものがあればいいなと企画し、4月5日にはリリースしました。

新井源己

その時にはまだ、世の中で“Zoomで合コンしよう”というアイデアは見かけなかったですね。

手嶋祐一さん(以下敬称略:手嶋)流行りに乗った形です。LINEで登録してもらい、“年齢”と“地域”の情報だけで、近い人をこちらでマッチングさせ、Zoomでの合コンを実施します。

手嶋祐一

とにかく手軽さを重視しています。

新井 マッチングアプリって面倒なんですよね。スワイプしてマッチしてメッセージして会う約束をしてそれからやっと出会う。その工数をできるだけかけたくない。自動的に出会わせることで、利用者の負担をできるだけ軽くしています。

ズムコン

これまでのマッチングアプリの出会い方に挑みたいですね。

──ズムコンの反響はいかがでしたか?

新井 3ヵ月で応募件数約8000件です。年齢は18歳から40代までで、もっとも多いのが30代。男女ともに申し込んだら70%くらいはマッチングします。

料金は手軽に男性1000円、女性無料で、近いエリアの方とマッチングする+500円のプランが圧倒的に人気があります。

合コンは2対2で実施されるのですが、おひとりで参加される方も多いですし、1人ずつ参加した女性同士が仲良くなってカフェに行ったという話も何回か聞きました。

──はじめから事業化する予定だったのですか?

手嶋 いえ。最初は、新井君が手動でマッチングさせていたのですが、利用者が増えて、リピーターも多く、ニーズが見込めたのでシステム化しました。

今後はより世の中のオンライン化が進むでしょうし、うまくいけばこのサービスを10倍にも100倍にもできる可能性が感じられたんです。

新井君のアイデアと、開発担当の後藤の技術がマッチしたので「今ならすぐに対応できる。このタイミングでシステム化に踏み込もう」と決めました。

後藤誉昌

後藤誉昌さん(以下敬称略:後藤)新井君がずっとパソコンの前から離れられなくなっていたんです。これは自動化した方がいいなと思いました。でも、今もあえて完全に自動にはしていなくて、人の目で見て手動でマッチングする部分もあります。

人と人との出会いですから、温かみのある運用が大事かなと思うんです。

発案はインターン生。企画に立場関係ない!

──ズムコンを発案した新井さんはインターンです。事業化に向けたアイデアは誰でも出せるのですか?

新井 かなり自由にやらせてもらえます。僕は今、大学3年ですが、卒業してもなにか一緒にできたら嬉しいなと思える環境です。

新井源己

手嶋 それぞれ自由に始めたアイデアのなかで、良さそうだと感じたものはすぐに会社として本腰を入れます。

キャリアも立場も年齢も関係なく、それぞれの良いところがマッチングするのが大事だと思っています。

もちろん、始めたけれど続かなかったサービスもたくさんありますけれどね。うまくいったものには、全国のタピオカ店をレビューする『タピナビ』というアプリがあります。発案は後藤でした。

後藤誉昌

後藤 僕の彼女がすごくタピオカ好きだったんです。きっといろんな人にとっても身近なものだし、話題になりやすいかなと思いました。

どのサービスもまずは小さく始めてみて、うまくいきそうならサービスとして展開していきます。

──肩書も関係なく、それぞれが積極的にアイデアを出せる環境なんですね。

手嶋 もともと、僕と後藤は工業大学の同期なんですよ。学生時代から一緒にアプリを作って仕事をしていたんです。でも優秀な生徒だったわけではなく……むしろ落ちこぼれ。

ズムコン

僕は大学を停学になって、時間があったのでニューヨークに留学していました。しばらくして帰国して、たまたま流行っていたプログラミングについて調べていたら面白いものを作っている人がいて、どうやら同じ大学で同い年。

でも学年が合わないなと思いながら連絡してみたら、留年していたんですよ。それから後藤にプログラミングを教えてもらうようになりました。

僕は就職できる会社も多くないし、それなら自分でやった方がいいかなと思って法人を作って今に至ります。

ズムコン

後藤 僕は就職しましたが、2年で退職して、彼の会社に入りました。今後は事業数を増やして、自分達のサービスを作っていきたいですね。

手嶋 自社のサービスで成功させたいね。僕の夢は、海外に出せるサービスを作ること。ズムコンも、韓国や台湾という合コン文化がある地域にも展開できるかもしれない。

自社サービスが世界で使われるのが夢ですね。

これからも増えるオンラインの出会い

──オンラインでの出会いは今後どうなると考えていますか?

ズムコン

手嶋 今後も増えると見込んでいます。コロナによる自粛には関係なく、出会いの手軽さは大事です。飲み屋で異性に話しかけても相手にしてもらえないかもしれないけど、ズムコンなら確実に30分は話すことができるので。

新井 ユーザーインタビューでも「これからも利用したい」という声は多かったです。家でできるので、仕事終わりに疲れていても気軽に利用できる。

飲み屋や相席屋には行かないけど出会いたい人には使いやすいと思いますね。「マッチングアプリは抵抗あるけれど、ズムコンなら手軽だしやってみたい」という方にもっと知っていただきたいですね。

ズムコン運営者

──これから先の展開は?

手嶋 今、ズムコンの横展開に取り組んでいます。声だけでコミュニケーションをとる出会いのサービス『声カラ』をリリースしています。

ズムコンと違って顔は見えませんが、容姿に自信がなくても始められるというコンセプトは同じです。見た目だけで判断されない恋愛観を大事にしたいです。

後藤 事前登録では100人くらい応募がありました。ズムコンの方ももっとオプションを増やして、ニーズによって使い分けができるようにしたいです。

ズムコン運営者

新井 やっぱり、自分に合う人と出会ってもらいたい。ズムコンも手軽さは活かしながら、もっと自分に合った人と出会えるように改善していきます。

簡単に良い人と出会えたよ、というのが理想ですね。

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取材・ライティング:河野桃子/撮影:SYN.PRODUCT/編集:田中祥子(CREATIVE VILLAGE編集部)