本記事ではネットワークエンジニアの仕事内容、求められるスキルや取得しておくと良い資格について詳細に解説します。ネットワークエンジニアを目指すには学校に通わないといけないのか、キャリアパスについても具体的な説明をしていきます。

本記事を読めば、ネットワークエンジニアの仕事内容はもちろんのこと、実際になるためにどんな準備や行動が必要なのかが明確になります。ネットワークエンジニアを目指している方はぜひご覧ください。

ネットワークエンジニアの仕事内容とスキル

ネットワークエンジニアとは、快適なネットワーク環境を構築し、保守管理などを行うエンジニアのことです。

まずは、ネットワークエンジニアの仕事内容とスキルについて整理しましょう。仕事内容と必要なスキルが分かれば、どういう勉強をしていけば良いのかが分かります。

ネットワークエンジニアの仕事内容

ネットワークエンジニアの仕事内容について、その作業の段階を簡単に分類すると以下のようになります。

(1)ネットワークの設計
(2)ネットワーク環境の構築
(3)ネットワークの保守(監視・トラブル対応)
(4)ネットワークの運用(仕様変更対応)

各作業についてさらに細かく見ていきましょう。

(1)ネットワークの設計

コンピューター同士を機器でつないで、少しでも良い性能で快適なネットワーク環境を実現できるように、適切な配置を考え設計書を作成するまでの仕事を「設計」と呼びます。

大規模なネットワーク構成では、サーバーマシンも用途別にいろいろあります。データベースは自前で持つか、それともクラウドサービスを使うかなど、規模が大きくなるほど高度な知識と経験が必要とされます。

設計は、ネットワークエンジニアの仕事の中でも上流工程です。技術的な知識はもちろんのこと、クライアントの提示する予算内で最適なシステムを提案する提案力や、業務システム設計者などとの密な連携が必要で、高度なコミュケーション力が要求されます。この工程がしっかりできる人は常に不足している状態です。

(2)ネットワーク環境の構築

設計書が完成したら、次は「構築」という段階に入ります。設計書を見ながら実際に各機器の配置や配線を行い、ソフトウェアのインストールも実施します。設計書通りに各機器がつなげたら、問題なく動作するかのテストも行います。

このテストは、他のネットワークエンジニアの協力や、そのネットワーク環境に乗せる業務アプリケーション開発チームとの連携が重要です。

構築の段階でも、各種電子機器やソフトウェアの知識が必要になるほか、他システムの管理者や業務アプリケーション開発チームとの調整・交渉力が問われます。

(3)ネットワークの保守(監視・トラブル対応)

ネットワークを構築した後は、そのネットワークに障害が起こらないかを監視して、問題が起これば対処する必要があります。この段階を「保守」と呼び、設計や構築に当たっていた人とは違う人が担当となる場合も多いです。

設計担当は、保守担当のためにマニュアルを作成し、そのマニュアルを見ながら保守をします。新人がネットワーク関連の仕事をする場合、まずこの保守を任されることが多いです。保守の仕事をしていくことで、ネットワークで起こりがちなトラブルの対処方法などの経験が蓄積され、将来、設計や構築を行う上での貴重な知識となります。

(4)ネットワークの運用(仕様変更対応)

構築したネットワークを運用していくと、そのネットワークをさらに拡張したい、新しい機器を導入したい、という要求が発生します。この要求に対応していく工程を「運用」と呼びますが、保守と運用はほぼセットになる場合が多いです。ネットワークの設計者が設計をし直しますが、構築以降は保守担当が行う、という流れです。

ネットワークは常に変化します。使い続ける限りは、誰かが保守・運用をしていかなければなりません。今の時代、ネットワークエンジニアの必要性は高まるばかりでしょう。

ネットワークエンジニアに求められるスキル

では、ネットワークエンジニアに必要なスキルとはなんでしょうか。
技術的なスキル面では、以下の知識は必要です。

・通信業界の最新動向についての知識があること
・ネットワーク機器関連知識を理解して実際に使えること
・ネットワークを管理する技術を理解して実際に使えること
・ネットワークプロトコル(※1)関連知識を理解して実際に使えること
・ネットワーク技術について理解して活用できること
・要件定義技法(ネットワークを構築するために必要な要件を整理し、設計のインプットとする技法)

※1 ネットワークプロトコル :ネットワーク上でデータをやり取りするための取り決め

パーソナルスキルで言えば、以下のスキルは磨いておきたいですね。

・クライアントに最適なネットワーク環境を提示する提案力
・関係各所との円滑な協力体制を築くための交渉力・調整力

一気に紹介しましたが、求められるスキルは企業によって変わります。
上記の必要なスキルを踏まえつつ、実際の求人内容を細かくチェックしてください。

ネットワークエンジニアの求人一覧

ネットワークエンジニアと資格について

ネットワークエンジニアの仕事内容とスキルが理解できたところで、次は取得しておくと就職・転職時に有利になり得る資格をご紹介します。

取得しておくと有利になり得る資格

実は、ネットワークエンジニアになるのに必要な資格は存在しません。ただし、未経験の方がIT業界に就職する場合、最低限持っておきたい資格が存在します。その資格とは、情報処理技術者試験の入り口としての資格「基本情報技術者」です。

情報処理技術者試験(ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者(FE)などの12の試験区分がある)

情報処理技術者試験
参考:https://www.jitec.ipa.go.jp/

情報処理技術者試験は、IT業界に関わる全ての職種の人が、知識や情報を学ぶことができます。
経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」に基づき、情報処理技術者としての知識や技能が一定水準を満たしていると認めた人が資格取得に至ります。
いくつかの試験区分に分かれているので、自分の知識レベルや働く上で必要なスキルを見極めて、受験する科目を決めましょう。

実施機関 IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)
試験スケジュール 試験科目によって異なり、多くは年2回、春と秋に実施
試験会場 全国各地にある試験会場(https://www.jitec.ipa.go.jp/1_02annai/sikenti.html
資格取得者数(年間) 120,119人(平成28年度)
合格までの勉強量 試験区分と受験者のスキルによって異なる
受験料 5,700円(税込)

まったく知識のない状態で勉強するなら、半年程度の時間を見込んでおくと良いでしょう。試験を受けられる機会は年2回(春と秋)だけですので、しっかり準備をしてから受験してください。


世界共通基準!Cisco Certified Network Associate(CCNA)

Cisco Certified Network Associate(CCNA)
参考:http://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/associate/ccna-routing-switching.html

IT業界では極めて知名度の高い、世界共通基準のベンダー資格です。ネットワークエンジニアとしての基本的なスキルを保有している証明になります。

どうしても資格は必要か?

基本情報技術者とCCNAをおすすめの資格として紹介しましたが、どうしてもこの資格を取らなければ就職に不利、というわけではありません。これらの資格も、就職して新人教育を受け、実務経験を積んでからの方が取得しやすくなります。もし余裕があれば取得する、程度に考えておけば大丈夫です。

学校に通ってから就職した方が良い?

未経験からIT業界への転職は難しそうだから、専門学校やビジネススクールに通って知識をつけてから就職した方が良いのでは、と思う方もいるかもしれませんね。しかし、今IT業界は人手不足で、常に人材を欲している状態です。未経験歓迎という会社もたくさんあります。

そのような会社では、新人研修で最低限の知識を与えてから現場で実地経験を積むことが可能です。別業界の人でも十分にやっていける環境はありますので、学校に必ずしも通う必要はありません。ネットワークエンジニアとして早く活躍したいなら、早く就職することも意識してはいかがでしょうか。

ネットワークエンジニアのキャリアパス

ネットワークエンジニアとして就職した後、新人の頃は運用・保守担当となり、次第に構築・設計といった上流工程を積んでいくのですが、ここからキャリアパスが分かれてきます。大きく分けると以下の3パターンです。

(1)要件定義の技術と提案力を磨いてコンサルティング
(2)現場をまとめるマネージャー
(3)技術をさらに磨いてスペシャリスト

これらの仕事はどれも重要で、極めればより条件の良い会社への転職も夢ではありません。自分が最終的にはどの方向を目指すのかを見据えて、仕事を選べる状態なら、自分のキャリアパスに必要な仕事を選べるようにしておきたいですね。

上流設計者はフリーランスの道も

ネットワークエンジニアの経験を積み、ネットワークの設計・要件定義までできるようになれば、フリーランスでも十分にやっていける力がつきます。ただし、フリーランスとしてやっていくためには、その仕事が遂行できるということを目に見える形で見せなければなりません。

職務経験で具体的にどのような仕事をしてきたかを説明するだけではなく、その実績を裏付けるだけの資格も必要になるでしょう。情報処理技術者試験 のネットワークスペシャリストや、シスコ技術者認定資格のCCDEなど、いくつかの資格がありますので、忙しい仕事の合間でも勉強して取得しておきたいものです。

まとめ

ネットワークエンジニアになりたい方のために、仕事内容や必要なスキルなどについて紹介しました。ここまで話してきた内容をもう一度簡単にまとめます。

・ネットワークエンジニアの仕事内容は「設計・構築・保守・運用」
・必要なスキルはネットワーク関連の知識と、提案力などのコミュニケーションスキル
・未経験者が取得しておくと良い資格は、基本情報処理技術者とCCNAだが、就職時に必須というわけではない
・ネットワークエンジニアのキャリアパスは、コンサルタント・ゼネラリスト・スペシャリスト
・フリーランスを目指すなら設計や要件定義の現場経験を積みつつ上位の資格も取得しておくこと

現在は、未経験者からネットワークエンジニアになるのに比較的門戸は広く開かれている状態です。

ただ、よく見るとその募集要項で求められている人材は、要求定義や設計ができる人であることが多いです。就職先を探す際は、教育が充実していて、いろいろな現場経験が積めそうな会社を選ぶように意識してみてください。

「ネットワークエンジニアを目指したい」「もっと良い条件の会社に転職したい」など、ネットワークエンジニアとしてのキャリアチェンジをお考えなら、クリーク・アンド・リバー社の転職支援サービスをご利用ください。
ネットワークエンジニアの求人紹介はもちろん、「もっと詳しく話が聞きたい」といったご相談のみでも結構です。お気軽にお申し込みください。