制作の総指揮官として顧客対応のフロントに立つWebディレクターにとって、「ヒアリング」は重要スキルです。

Webディレクターは顧客側と制作側の間に立ち、より良いサイト制作を行ううえでのリーダーの役割を担います。だからこそ、顧客や制作がどんな考えを持っているのかをヒアリングする力が求められるのです。ヒアリングがWeb制作にどのような影響を与えるのか、ヒアリングの重要性、ヒアリングシート例、顧客からの信頼を勝ち取るヒアリングの鉄則について解説します。

サイト制作の上流工程で発生するもっとも重要なフェーズ

Webディレクター ヒアリングの画像

サイト制作の上流工程を担うWebディレクターにとって、ヒアリングは非常に重要なフェーズとされています。ヒアリング精度が制作物の基盤となると言っても過言ではありません。ヒアリングが重要視される理由や下流工程に与える影響について解説します。

ヒアリング内容がサイト制作の土台となる

顧客へのヒアリングはWebサイト制作においてかなり前段のステップとなります。顧客が漠然とイメージしているアイデアを、Webサイトとして具体的な形に落とし込むために聞くという重要な工程です。顧客も他の業務で忙しい中でヒアリングの時間を割いてくれているだけに、この顧客接点の機会を無駄にしないためにも、聞き漏れがないようにヒアリングすることが鉄則となります。

Webディレクターは制作における上流工程の役割を担うので、もっともよく顧客を理解している必要があります。その理解のためのヒアリングの精度が下流工程での制作段階にも大きな影響を及ぼすことは、想像に難くないでしょう。なぜならヒアリング内容によってまとめられた要件定義が制作物の土台となるからです。

また、Webディレクターがヒアリングを行うのは基本ですが、ライターやデザイナーも顧客にヒアリングの時間を確保してもらうケースもあります。ヒアリングは顧客の意見を直接聞ける貴重な機会なだけに、ディレクション業務だけに限定されず、下流工程ひいてはWebサイト制作におけるもっとも重要なフェーズであるとも言えます。

ヒアリングの不備がトラブルに!精度を高める意識が大切

ヒアリングはWebサイト制作の土台であり基礎だと言えます。万が一ヒアリングの段階で作業不備が起これば、さまざまなトラブルが発生する恐れがあるため注意しましょう。

たとえば、「ヒアリングのタイミングが遅くなる」場合、下流工程が制作を開始できないなどそのしわ寄せがきます。上流工程で遅延しているうえ、公開日が決まっているなど納期が延長できない場合は制作をかなり圧迫する事態が想定できるでしょう。

また、「顧客と認識のズレがある」場合は、他の制作スタッフも同様にズレた認識を正としてしまう恐れがあります。そうすると、要件定義通りに制作したにもかかわらず、「顧客満足を得られない」「クレームやトラブルに発展する」という由々しき事態を招く恐れがあるのです。ヒアリングの精度は、下流工程にも少なくない影響を与えます。Web制作の土台であることを強く意識し、ヒアリングの精度を高めてトラブルを回避するようにしましょう。

大切な顧客接点であるヒアリングの方法・ヒアリングシート例

Webディレクター ヒアリングの画像
競合分析や、業界背景、エンドユーザーの行動心理など顧客へのヒアリングで押さえておきたいこと、確めたい内容は山ほどあるはずです。そのため、Webサイト制作においてヒアリングを飛ばしての対応は絶対に避けるべきで、貴重な顧客接点の場を有効活用することをおすすめします。

ヒアリングは大切な顧客接点の場

ヒアリングは顧客側と制作側が顔を合わせ、意見や要望を確め合える貴重な場です。ヒアリングはWebサイト制作の土台であり、顧客からニーズを引き出すチャンスの場でもあります。顧客が求めていることをできる限り多く、そして具体的に聞き出せないと満足度が高い成果物につながらないかもしれません。

また、顧客がどんな悩みや希望を持っているのか、それを深掘りするチャンスでもあります。そして、その意図を汲み取り、制作に反映できれば信頼を勝ち取ることにもつながるでしょう。このように大切な顧客接点の場ともなるだけに、ヒアリングの機会を最重要業務と捉えたうえで、ディレクターは心してヒアリングに臨むことが求められます。

ヒアリングで押さえておきたい内容と注意点

ヒアリングではWebサイト制作に必要となる内容を抜け漏れなく聞き出さなくてはいけません。顧客はWebサイト制作のプロではないので、必要事項を端的にわかりやすくまとめてくれるわけではないのです。どんな要望があるのか、どんなイメージを形にしたいのかをできる限り具体的に聞き出すことが求められます。

また、具体的にヒアリングをするためにも、ディレクター側の事前情報収集が大切です。競合分析や業界背景、エンドユーザーの行動心理などを事前に押さえておき、それを踏まえたうえでヒアリングの場に臨みましょう。また、ヒアリングを通して顧客と共通認識を持てれば、制作物のゴールに関してブレることも少なく、後々のトラブル発生リスクの低減にもつながるはずです。

ヒアリングの方法とヒアリングシートについて

ヒアリングのやり方はいろいろありますが、対面やチャットで行う対面形式や、事前に質問状を送りメールなどで回答をもらうデータ形式が主です。いずれの場合でもヒアリングをスムーズに行うには「質問を事前に準備する」ことが重要になります。顧客が話をしやすいように、まずは内容をイメージできる質問を用意したうえで、細かく回答してもらいましょう。その後は会話のキャッチボールを意識して進めていくと深掘りしやすくなります。

【web制作においてヒアリングで最低限聞いておきたい内容】
・ターゲット(どういった層に見てほしいのか、どういった顧客を獲得したいのかなど)
・サイトの目的、期待する効果(リード獲得や求人獲得など)
・ユーザーへ訴求したい強み、アピールポイントなど
・意識している競合との差別化ポイント
・コンテンツ概要
・デザインイメージ

上記で紹介したのは、ヒアリングすべき項目の一例です。これらはサイト制作では最低限ヒアリングしておきたい内容になります。上記の内容をベースに状況や顧客特性に応じて内容を付け足したうえでヒアリングシートを作成しましょう。事前準備をしっかりすればするほど、ヒアリングの際の会話のキャッチボールにも自信を持って臨めるはずです。

「分からないことは正直に」がヒアリングの鉄則

Webディレクター ヒアリングの画像

Webディレクターはフロントとして顧客と直接対話をする重要な役割を持っています。だからこそ、真摯な姿勢でヒアリングに臨むことが大切です。ヒアリングにおける鉄則・心構えについても解説します。

「知ったかぶり」はせず分からないことを正直に伝える

ヒアリングを進めるうえで、最大のNG事項は「知ったかぶりをすること」です。たとえば、専門性の高く明確な答えを持っていない質問をされた時に「知らない素振りを見せると顧客に不安がられるかもしれない」と考えるかもしれません。そして、その場しのぎで正しくない回答をしてしまうこともあるでしょう。

しかし、この上流工程における認識のズレは、下流工程に悪影響を及ぼす危険性があります。ヒアリング段階の知ったかぶりをすることで、Web制作における重大なトラブルにつながり、顧客からの信頼を一気に失うこともあります。

もちろん、フロント対応をするWebディレクターは幅広くさまざまな領域の知識を持つことが理想です。しかし、分からないことは素直に伝えることも、重大なトラブルを回避するためには必要になります。むしろ、その場で不明点をクリアにすることで、顧客の印象がアップすることすらあるのです。知ったかぶりはせず、分からなければ正直に伝えたうえで「担当に確認します」などの対応を心がけましょう。

顧客に信頼していただくことが大切

顧客はWebサイト制作のプロではありません。だからこそ信頼をして、専門家である制作会社に依頼しています。顧客と直接やり取りするWebディレクターだからこそ、真摯な姿勢でヒアリングに臨むことが重要です。制作の窓口であるディレクターが好印象をもたれることで、顧客からの信頼を勝ち取ることにつながるケースもあります。

ヒアリングは「抜け漏れなく正直に」を意識して臨むことが大切

Webディレクター ヒアリングの画像
【「ヒアリング」についてのまとめ】

  • ヒアリングはサイト制作の土台であるため精度を高めることが大切
  • 顧客の信頼を勝ち取る貴重な顧客接点(ヒアリング)の場を活かさない手はない
  • 顧客からの信頼を裏切るような知ったかぶりをしては結果として逆効果になる

WebディレクターはWeb制作の総指揮官であり、制作チームをまとめるとともに、フロントとして顧客と接して信頼を得なければいけない立場でもあります。ヒアリングはそんなWebディレクターにとって、そしてWebサイト制作にとっても初歩にあたる、もっとも重要なフェーズです。

ヒアリングが不十分であればサイトのクオリティも落ちる恐れがあり、顧客の期待を裏切ることつながりかねません。だからこそ、幅広くさまざまな情報を調べたうえで顧客としっかり向き合い、ヒアリングを実現することが大切です。精度の高いヒアリングができれば、Webサイト制作はスムーズに進み、顧客も納品された成果物に満足していただける可能性が高まります。