デザインツールとして広く知られるAdobe PhotoshopとIllustrator。
一般的に2つ並べて語られることが多いですが、ツールごとに特性と適した用途があります。

この記事ではPhotoshopとIllustratorの主な違いや、効果的な勉強法について解説していきます。

PhotoshopとIllustratorの違い

Photoshopとは

Photoshop はAdobe社が提供している画像編集ソフトウェアの一つで、主にビットマップ画像(ピクセルベースの画像)の編集や加工に使用されます。
レタッチ、色調補正、複雑なコンポジット作成など、細かな画像加工が得意です。
加えて、デジタルペイントや、Web用の画像最適化など、幅広い機能が搭載されています。

【Photoshopの主な機能】

写真の編集と調整 画像の色、明度、コントラストの調整や、特定の部分を選択して編集。
レイヤーとマスクの使用 複数の画像や図形、テキストをレイヤーとして重ね、複雑な合成画像を作成可能。レイヤーマスクを使用して特定の部分の表示/非表示を制御もできる。
フィルタとエフェクトの適用 多くのフィルタとエフェクトが用意されており、画像に特殊な効果を追加できる。例えば、ぼかし、シャープ化、テクスチャー効果などの加工が可能。
画像のリサイズとクロップ 画像のサイズを変更や特定の部分を切り取れる(クロップ)
レタッチ スポットヒーリングブラシやクローンスタンプなどのツールを使って、写真の不要な部分を修正・消去が可能。
テキストの追加と編集 フォント、サイズ、色などを自由に設定し、画像にテキストを追加・編集できる。
カスタムブラシとパターン 自分でオリジナルのブラシやパターンを作成し、画像を描いたり編集したりできる。
画像形式の変換 画像をJPEG、PNG、GIF、TIFFなど、多くの異なる形式に保存可能。
3Dデザイン 3Dオブジェクトを作成し、編集ができる。
アニメーションと動画編集 フレームごとのアニメーションを作成したり動画の編集が可能。

Illustratorとは

IllustratorもPhotoshop同様にAdobe社が提供しているグラフィックソフトウェアですが、こちらはベクターベースの画像を扱います。
ベクターで描かれた画像は、Photoshopのようなピクセルではなく、点・線・形・曲線などを数字で設定していきます。そのため、容量が軽く、拡大・縮小しても画質が落ちないのが特徴です。
ロゴ制作やイラスト作成、印刷物のレイアウトなどに適しています。

【Illustratorの主な機能】

ベクターグラフィックスの作成 線や曲線(パス)を使用しているため、作成したデザインはサイズを自由に変えても品質が落ちない。
ロゴやアイコンのデザイン 作図ツールを使用して、ロゴやアイコンなどのデザインを作成できる。
テキストとタイポグラフィ テキストの配置、サイズ調整、フォント選択、カーニング、トラッキングなど、細かいテキスト設定が可能。
レイヤーとマスクの使用 複数の要素をレイヤーで管理し、順序や可視性を自由に調整できる。クリッピングマスクを使って特定の形状に合わせて要素を表示/非表示も可能。
ブラシツール 独自のブラシを作成し、線を描いたりパスを作成したりできる。
色とグラデーションの管理 色の設定と管理が非常に詳細に行え、単色だけでなく複雑なグラデーションも作成可能。
パターン作成 ユーザーが作成した形状から繰り返しパターンが作成できる。
3Dエフェクト 3Dエフェクトを使用して、2Dのイラストを立体的に表示できる。
イラストとアートワークの作成 ペンツールなどの作図ツールを使用して、デジタルイラストやアートワークを作成できる。
出力と印刷 印刷やウェブ用にデザインを最適化するための設定が可能。ベクター形式の他、JPEG、PNG、PDFなどさまざまな形式で保存できる。

PhotoshopとIllustratorの使い分け

Photoshopはその名の通り、写真を元にして画像編集やデジタルペイント、イラストレーション、Webデザインなどをするのに優れています。
一方、Illustratorは図形や地図、文字の描画、印刷向けのデザイン、ロゴやアイコンの制作などに向いています。
それぞれ適材適所で使い分けることが、より効果的なデザインを生み出す秘訣と言えます。

イメージ的には、Photoshopはすでにある素材をベースにデザインをしていくのに対して、Illustratorは何もないところから絵を描いていくという感じです。

まず初心者はどちらから取り組むべき?

初心者がどちらのソフトから始めるべきかについては、その目的や興味によります。

具体的な画像加工や写真編集をしていきたいならPhotoshopから始めることをお勧めします。一方、イラストやロゴ作成をしたいのでしたら、Illustratorから使い始めましょう。

PhotoshopとIllustratorの勉強方法

PhotoshopやIllustratorの学習方法はいくつかあります。自分のライフスタイルや好みに合わせて選択できます。

代表的な勉強方法を挙げていきますので参考にしてみてください。

独学

Web上には、学習するのに適した解説記事やチュートリアルが無数に存在します。
そのほとんどが無料なので勉強にお金をかけずに必要に応じて学べます。
自己学習が得意で、自分のペースで学びたい方におすすめです。

書籍

書店やAmazonでは、PhotoshopやIllustratorを学ぶための書籍がたくさん売られています。
初心者向けの基本的な操作を紹介したものから、プロのデザイナー向けの高度なテクニックまで網羅したものなど幅広くあります。
自分のレベルに合ったものを探して学習していきましょう。

また、Web上で解説記事を読みながら理解を深めるための参照資料として書籍を手元に置いておきたい方にも適しています。

デザインスクールに入学

デザインスクールに通うことで、基礎から体系的に学習し、専門的な知識をしっかり身につけることができます。

また、不明なところは講師にいつでも質問でき、直接フィードバックを受けられるので、確実にスキルを習得したい方にはおすすめです。

通信講座を受講

自宅で学びたい方や、忙しくて時間が取りにくい方には通信講座が便利です。
自分の習熟度に適した教材を選んで、自分のペースで進められる点が魅力です。
画像がアーカイブで保存されている場合は分からないところは何度も繰り返し視聴できるので、きちんと理解しながら勉強を進めていけます。

また、分からないことがあったらチャットやフォームで質問できる講座も増えてきています。

PhotoshopとIllustratorをセットで使うと安くなる?

PhotoshopやIllustratorをはじめとして、Adobe社のソフトウェアは単体で購入するよりも複数のソフトウェアを含むプランを選ぶ方がお得になることがあります。

PhotoshopとIllustratorのセットプランはある?

残念ながら、PhotoshopとIllustratorをひとつにしたセットプランはありません。

それぞれ単体プランが月2,728円で提供されており、2つ組み合わせて月5,456円です。

・Photoshop単体プラン:2,728円(月額)
・Illustrator単体プラン:2,728円(月額)

PhotoshopとLightroomを組み合わせた「フォトプラン」では月2,178円で利用できます。

・フォトプラン:2,178円(月額)
(Photoshop、Lightroomが利用可能)

なおAdobe社では、DTPソフトとして名高いIndesignや、動画編集ソフトのPremiere ProやAfter Effectsなど、Adobeの20以上のアプリがセットになった「Adobe CCコンプリートプラン」を提供しています。

・Adobe CCコンプリートプラン:6,480円(月額)

PhotoshopとIllustratorをそれぞれ単体で契約するのとあまり変わらない金額で利用でき、価格も単体で購入するのに比べてかなり割安です。WebデザインやDTP、動画編集まで視野に入れているのでしたら、Adobe CCコンプリートプランはとてもお得といえるでしょう。

さらに学生さんや教職員の方は、1年目月1,980円(2年目以降は月3,278円)とさらに格安で提供されています。

一部のスクールで利用すると驚きの価格になることも

Adobeが認定している一部のスクールでは、授業料に「Adobe Creative Cloud」の使用料が含まれて提供されている場合があります。
しかも通常の「Adobe Creative Cloud」の料金よりも安く使えるのでかなり経済的です。ソフトウェアの使い方を学びながら使えるので、一挙両得なパッケージになっています。

まとめ

PhotoshopとIllustratorは特性や利用シーンがそれぞれ異なります。本格的にデザインを学び取り組んでいきたいということでしたら、両方使えるようにしておくことをおすすめします。

PhotoshopとIllustratorは両方とも高度な技術を実現できるソフトウェアだけに、完璧に使いこなせるようになるまでにはある程度時間がかかります。
使う目的と学習スタイルに合わせて適切な学習方法を選ぶことがポイントになるでしょう。
適切な使い方を学び、それぞれのソフトウェアを最大限に活用できるようになれば、優れたデザイナーとして活躍していけるはずです。