Slack、LINE、Teamsなど、手軽に情報共有できるチャットツールは、ビジネスの現場を支えるコミュニケーション方法として欠かせない役割を果たすようになっています。
組織の拡大やリモートワーク導入など、コミュニケーション不足が起きやすい状況では、数多くのツールから適切なものを選んで活用することが大切です。
CREATIVE VILLAGEでは、読者・会員の皆さまにご協力いただきコミュニケーションツールに関するアンケートを実施!調査結果をもとに、社内外とのコミュニケーションでの利用ツールや、中でもメイン利用率の高いツール業界・年代別にみる利用時の課題などを明らかにしていきます。
記事のポイント
- 社内コミュニケーションで多く利用されるツールとその機能
- 【業界別】メインで利用率の高いコミュニケーションツール
- 業界・年代別にみる、コミュニケーションツール利用時の課題
コミュニケーションツールの利用状況
利用ツール概況
社内コミュニケーションにおいては「Email」「LINE」「Teams」、社外とのコミュニケーションにおいては「Email」「LINE」「Slack」が多く利用されている。
メール文化の根強さが感じられる中、チャットツールのLINEが社内外ともに多く利用されていた。一方、ビジネス利用を前提とした「LINE Works」の普及率にはまだ伸びしろがあるようだ。
各ツールとも、コミュニケーション相手(社内/社外)による利用率の差はあまり大きくなかったが、比較すると「Teams」「Google Chat」は社内向け、「Chatwork」「Slack」「LINE」は社外向けに利用されることが多い傾向にあることがわかった。
メイン利用ツール
社内外ともに、Emailメインでコミュニケーションをとっている割合がもっとも高い結果となった。特に社外コミュニケーションではEmailをメインとする方の割合が53%と過半数。次いで多いの「LINE」で、この2つが全体の約8割を占めている。
一方社内コミュニケーションにおいては、Emailをメインとする方の割合は30%に留まった。次いで「Slack(21%)」「Teams(16%)」「LINE(14%)」と、メイン利用ツールが分かれる傾向にある。
社内コミュニケーションでのメイン利用ツール、満足度の高い機能は?
続いて社内コミュニケーションでメイン利用されている割合が高かった「Email」「Slack」「Teams」「LINE」について、ツールごとに機能の満足度を調査した。
満足/やや満足の回答割合が高い項目をツール別に見てみると、Emailでは「検索」「スケジュール」「未読/既読」「データ添付・保管」といったコミュニケーションに付随する機能への満足度が高い。
一方「Slack」「Teams」「LINE」といったチャットツールでは、「未読/既読」に加えて「メンション」「リアクション」「スタンプ」など、コミュニケーションをスピーディー且つ円滑に進めるための機能への満足が特に高いことがわかる。
「HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート2022 結果報告1」によれば、社内コミュニケーション不足による業務障害範囲として最も多かった回答は「迅速な情報共有(83%)」、次いで「部門間・事業所間の連携(70%)」「部署内のチームビルディング(69%)」だそうだ。
ニューノーマルな働き方が一般化していく中で、量・質ともに充実した社内コミュニケーションを実現できるコミュニケーションツールが勢力を伸ばしていることがうかがえる。
業界ごとの傾向は?
さらに社内/社外のコミュニケーションにおけるツールの使い分けについて、業界別に傾向を調査した。
TV・映像業界
TV・映像業界は社内間ではほぼEmailかLINE、社外連絡にはEmailをメイン利用する傾向があり、それ以外のツールの利用は少ない。
映像業界の回答者で、Teamsを社内コミュニケーションに使用していると回答した方は約5割にのぼったが、メインツールとしての普及度は低いようだ。
広告・出版業界
広告・出版業界はTV・映像業界と同様、社内外ともにEmailでコミュニケーションをとる方が多い傾向にある。
社内コミュニケーションではTeams、社外コミュニケーションではLINEが次に多い結果となった。
IT・Web業界
IT・Web業界は他業界と比べて、社内外ともにメイン利用ツールの回答が割れている点が特徴的だ。
先に紹介した映像・広告・出版業界と比べてEmailの利用が少なく、一方ChatworkやSlackの利用割合は比較的多い傾向にあった。
社内コミュニケーションでは「Slackをメイン利用している」と回答した方がもっとも多く、次点でLINE、Email、Teamsと続く。
社外コミュニケーションではEmailに次いで、LINE、Slackがそれぞれ20%程度利用されているようだ。
ゲーム業界
ゲーム業界は他業界と比べてEmailをメイン利用する割合が非常に少なく、本調査の対象業界中、もっともチャットツールの利用率が高い結果となった。
中でもSlackの利用割合が高く、特に社内コミュニケーションで多く利用されている。社外コミュニケーションはLINEとEmail、次いでSlackの順に利用率が高い。
もともとオンラインゲームをしながらコミュニケーションをとれるサービスとしてリリースされたDiscordを、社外コミュニケーションに利用している方もいるようだ。
コミュニケーションツール利用で感じる課題点
課題の全体感
コミュニケーションツール利用にあたり感じる課題・問題点として多かったのは次の4点だ。
- 複数ツールを併用し、情報が分散してしまう
- 情報がどこにあるか見つけにくい
- 周囲の反応が見えにくい
- 使う人のリテラシーに差がある
業界別の課題傾向
コミュニケーションツールの利用で課題と感じる力点は、業界ごとに異なっている。
TV・映像業界
全体の回答傾向と近く、「情報がどこにあるか」や「複数ツール併用による情報の分散」、「使う人のリテラシー」、「データ量や保管期間」を特に課題に感じている。
広告・出版業界
映像業界と同じく、全体回答と近い傾向にある。
IT・Web業界
「複数ツール併用による情報の分散」を課題視する傾向が特に目立った。
IT・Web業界は社内外ともに様々なツールがメイン利用されていたことから、社内ツールに加えて業界内外の取引先とのやり取りでもツールを使い分け、結果として情報分散の課題が顕著にあらわれやすい傾向にあるのかもしれない。
また「周囲の反応が見えない」や「偶発的なコミュニケーションの減少」の回答も多く、他のクリエイティブ業界と比べて、業務成果に対するコミュニケーションの比重が大きいことがうかがえる結果となった。
ゲーム業界
「使う人のリテラシー」や「データ量や保管期間」含めて、全体的に他業界と比べて問題は少ない傾向だ。物理的なインフラや人的環境含めて、整備が一歩先に進んでいるのかもしれない。
年代別の課題傾向
先に挙げた4つの課題を年代別に見ると、「複数ツール併用による情報の分散」「使う人のリテラシー」の課題は40代を除く全年代で高い。また「情報がどこにあるか見つけにくい」課題は20代・30代と60代で高く、40代と50代で低い。40代にとって、チャット文化は課題が少ないようだ。
また「どのチャンネルやスレッドに投稿すればいいかわからない」課題は20代が強く感受しており、年配層では強く意識されない傾向にあった。
同じく「データ量や保管期間」の課題も、若年層になるほど顕著に課題視される傾向にある。
若年層と年配層で、チャットツールの使用方法や向き合い姿勢には違いがあることがうかがえる。
調査方法
期間:2023年3月14日(火)~2023年4月7日(金)
対象:クリーク・アンド・リバー社(以下、C&R社)会員と一般ユーザー 計115名/男女/全国
方法:インターネット調査