アナウンサー志望の方にとって、第一関門となるのが採用面接です。アナウンサーの採用面接は、他の職種に比べて内容がユニークで、攻略が難しいことで知られています。

アナウンサーの採用面接を突破するポイントは、試験を通して「何を評価されるのか」を知ることです。

この記事では、アナウンサー採用のフローと、面接でチェックされるポイントを紹介します。

1 一般的なアナウンサー面接の流れ

まずは、一般的なアナウンサー採用のフローを見てみましょう。テレビ局によって面接の回数など細かい流れの違いはありますが、おおむねこの流れで進行します。

なお 「カメラテスト」の試験はどの局でも導入されており、アナウンサーならではといえるでしょう。

1.1 一次面接

おもに書類選考で提出したエントリーシートの内容に沿って行なわれます。この時点で、すでに声や見た目の印象、コミュニケーション能力などを審査されています。
なお、集団面接か個別面接かは局によって異なります。

1.2 カメラテスト

カメラテストでは、実際にスタジオで使用するカメラの前に立ち、渡された原稿を読み上げます。「原稿読み」とも呼ばれるもので、以下のような点を確認される試験です。

  • 原稿を正確に読む力
  • カメラの前に立つプレッシャーのなかでどの程度のパフォーマンスを発揮できるか
  • 声の大きさや滑舌、アクセント

カメラテストは、渡された原稿をそのまま読み上げるタイプの試験以外に、適度にアドリブを要求される形式のものも存在します。

1.3 講習会

「講習会」という名前がついていますが、こちらもれっきとした実技試験の一つです。
内容は局によって異なりますが、以下のような課題が用意されています。

【講習会の内容例】

  • お題に沿って1~2分話す
  • 映像に合わせて架空の実況中継をする
  • ナレーションを行なう

講習会は「フリートーク」とも呼ばれ、カメラテストのようにカメラを設置して実施する局も存在します。

2 二次面接

二次面接では、アナウンス部以外の部署の方が面接を担当することがほとんどです。

エントリーシートに基づいて質問される一次面接と違い、志望動機や自己PRを深掘りされ、アナウンサーになることへの熱意を再確認されます。

3 最終面接

最終面接では、役員クラスの役職の方が担当します。これまでの面接とは違い、技術力よりも志望者の内面を判断される場といえるでしょう。

アナウンサーになってどのように活躍したいのか、その場を会社が提供できるのかなど、互いの希望が合致しているかを判断されます。

なお、採用試験のなかで一般常識などを問う筆記試験が行なわれる局もあります。

2 “伝える技術”が求められるアナウンサーの面接内容

アナウンサー 仕事

実際にアナウンサーの面接に挑む際は、どのような点を意識すればよいのでしょうか。アナウンサーの重要な仕事の一つは「わかりやすく伝えること」です。

そのため、日常生活でついた話し方の癖が面接で不利に働くこともあります。面接突破のため、次のポイントを押さえておきましょう。

2.1 声の大きさや話の伝え方

アナウンサーの資質を判断されるポイントの一つが「話し方」です。特に、次の3点などは評価のポイントとなります。

  • 明るいトーンで話せるか
  • 声は大きく明瞭か
  • 聞き手が理解しやすいよう意識しているか

フリートークなど実技試験の場だけでなく、面接中は常に話し方に注意しておく必要があるでしょう。

2.2 正しい言葉遣い

正しく丁寧な日本語で話せるかどうかも、チェックされるポイントです。アナウンサーはテレビを通して、不特定多数の視聴者に情報を発信する仕事です。

そのため、たとえ日常生活で当たり前のように使っている言葉でも、年代によって意味が伝わりづらい言葉であれば使ってはいけません。友人と話すときのクセなどが出ないように注意しましょう。

謙譲語や尊敬語など、敬語を場面に応じて使い分けられるかも重要です。日常会話の言葉遣いで癖がついているのであれば、事前に矯正が必要な場合もあります。

2.3 臨機応変な対応や反射神経

アナウンサーの仕事は、渡された原稿をそのまま読み上げるだけではありません。放送中のアクシデントや中継先からの追加情報など、ときには原稿にない内容に対応することも必要です。

そのため、面接では対応力や反射神経の確認をされることがあります。具体的には、面接官から脈絡のない質問をされる、フリートークでアドリブを要求される、といったものです。

また、テレビでは長時間の沈黙はご法度です。聞かれた内容に対する回答を素早く組み立てて答えられるかどうかも、確認されます。この点も訓練が必要ですので、事前に練習しておきましょう。

3 面接官が重要視する“アナウンサーの資質”とは

アナウンサー 仕事

面接官が志望者を評価するポイントとなるのが、アナウンサーとしての資質の有無です。
それでは、面接官はどのようなポイントで資質を判断しているのでしょうか。

3.1 完璧すぎるマニュアルは逆効果

就職面接では、多少なりとも対策はするものですが、あまりに完璧なマニュアルを用意して挑むとマイナス評価の原因となることもあります。

面接官は、突発的なアクシデントが発生した際の対応を評価の基準の一つとしているからです。

アナウンサーの仕事では、計画どおりに番組が進行しないことは決して珍しくありません。どのような場面でも対応できるという力をアピールするため、マニュアルを作り込みすぎるのは控えたほうがよいでしょう。

アドリブ力や対応力を鍛え、自分の素の部分を評価してもらえるよう工夫が必要です。

3.2 読解力の有無

文章の読解力も、面接官が確認するアナウンサーの素質の一つです。渡された原稿の内容をどれだけ正確に読み解いているかで、情報を届けるクオリティに変化が出ます。

原稿の内容やニュースのテーマを理解しているかどうかで、読み上げるテンポや抑揚にも違いが出るものです。これらの違いで、視聴者への伝わり方やわかりやすさが変わります。

3.3 客観的視点を持っているか

アナウンサーの仕事は、テレビを通して多くの人に見られる仕事です。そのため「自分がどう見えているのか」「どのように見せたいか」は、常に意識しなければなりません。

客観的な視点は「カメラを通した視聴者から見た自分」を理解するために必要な力であり、アナウンサーの成長にはなくてはならないスキルです。

例えば、緊張のあまり精神的な余裕がなくなると、テレビでは不可欠な明るさや落ち着きを失ってしまいます。

こういった場面でも上手に軌道修正できるよう、自分を客観的に評価する視点は重要です。常に多くの人に見られている、という意識を忘れないために必要な素質といえるでしょう。

4 まとめ

アナウンサーの採用フローは、一般企業の採用と似た部分もあります。しかし、その一方で「フリートーク」「カメラテスト」など、職種独自のものも多くあり、攻略するには事前に準備と練習が必要です。

採用面接では、話し方・言葉遣い・アドリブ力など、プロのアナウンサーとして働く基礎的な力を重点的にチェックされます。面接準備を一人で進めるのが不安な場合、テレビ業界と関わりの深い就職エージェントを利用してみるのも一つの方法です。

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