世界最大級のAI映画祭「World AI Film Festival 2026 in KYOTO(WAIFF)」で、縦型ショートドラマ集団「ごっこ倶楽部」を運営する株式会社GOKKO(東京)の所属クリエイター2人が審査員特別賞を受賞した。AIを活用した映像と物語表現の新しさが評価され、日本発クリエイティブの存在感を示した形だ。

受賞したのは、真本英樹と和田亜海の両氏である。映画祭は2026年3月12日から13日まで京都市のロームシアター京都で開かれ、世界各地から集まったAI映像作品が上映、審査された。WAIFFはAIを用いた映像作品に特化した国際映画祭で、2025年に仏ニースで初開催され、今回の京都開催は世界大会へつながる予選の位置付けとなっている。
真本氏は、SFミステリーのティザー映像「THE ALEUTIAN TITAN」で、「ベストシノプシス+AIティザー賞」の審査員特別賞を受けた。作品は、アラスカの山脈に突如現れた巨大空洞と、調査に向かった部隊の失踪を極秘記録として描く内容である。複数の動画生成AIを組み合わせた独自の制作工程により、実写映画のような質感と緊張感を追求した点が高く評価された。脚本や映像、音楽まで幅広くAIを活用しつつ、物語性を前面に押し出した構成が特徴だ。

和田氏が手がけたのは、ショートアニメ「グミぽよ」である。こちらは「ベストAI Pocket Anime賞」の審査員特別賞に選ばれた。独自の価値観を持つグミのキャラクターたちを通じて、固定観念に縛られず自分らしく生きることを肯定するメッセージを描いた。脚本段階では自身の発想を重視しつつ、AIが生み出す予想外の表現も積極的に取り入れた点が、新鮮な表現として評価された。アニメ制作が初挑戦だったという和田氏は、AIの可能性の大きさを実感したとコメントしている。

GOKKOは、「日常で忘れがちな小さな愛」をテーマに、短尺の縦型ドラマをSNSで発信してきた。これまでに制作した作品は4,000本を超え、累計再生回数は120億回以上、総フォロワー数は600万人を超える。今回の受賞は、ショートドラマで培った語りの力や演出が、AI映像という新領域でも通用することを示したと言える。
同社はAIを単なる効率化の道具ではなく、新しい物語や映像を生み出すための創作手段と位置付けている。個々のクリエイターの挑戦を組織として支え、その成果を次の機会へ還元する循環を重視する姿勢も、今回の快挙を後押しした。京都から世界へ向かうAI映像表現の潮流の中で、GOKKOの挑戦は今後も注目を集めそうだ。