アニメ制作の未来が劇的に変わるかもしれない。熊本市に本社を構える株式会社アニモンドリームファクトリーは25日、アニメに特化した世界初のAI動画生成プラットフォーム「Animon.ai(アニモン・エーアイ)」の日本国内向け一般提供を開始した。誰でもわずか3分で高品質なアニメーションを制作できるという革新性が注目を集めている。

「Animon.ai」は、CreateAI社との技術連携により開発され、日本の有力アニメプロデューサーらと共同で設計された。最大の特徴は、アニメ・マンガ・ゲームといったACG分野に適した高度な映像品質を保ちつつ、直感的な操作でプロレベルのアニメーションを自動生成できる点にある。ユーザーはキャラクターやイラスト画像をアップロードし、動作やシーンの説明文を入力するだけで、3分以内に動画が完成する。

本サービスの開発背景には、日本のアニメ業界が長年抱えてきた構造的な課題がある。平均年収290万円、週60〜80時間労働、37%にも上る離職率といった過酷な労働環境の中で、制作現場の負担軽減と創作の自由を目指して「Animon.ai」は誕生した。従来であれば数十時間かかっていた制作工程が3分で完了するため、表現の自由度と作業効率が飛躍的に向上するという。

料金体系はシンプルな定額制で、初心者向けの無料プランでは動画生成が無制限で可能。ダウンロード動画には透かしが入るが、月額9.9米ドルの有料プランでは透かしなしでの出力やストレージ容量の拡大、より高速な生成が可能となる。今後は、制作プロダクション向けの上位プランも展開予定であり、タスクキュー無制限やHD出力、専門的なサポート体制も提供される。

サービスはWebから利用可能で、今後はスマートフォンアプリへの展開も予定されている。公式サイトではすでにデモ動画も公開されており、その表現力の高さと生成速度の速さを確認できる。

開発を率いたアニモンドリームファクトリー技術責任者の丸山裕二氏は、「すべてのアニメファンが“次世代の宮崎駿”になれる時代を目指す」と語り、AIと人の創造性の融合による表現の未来に期待を寄せた。

代表取締役のCheng Lu氏は、「AIによるストーリーテリングとゲーム制作の革新が始まっている」と述べ、独自開発した生成AIモデル「Ruyi」などの活用を通じて、効率性と表現力の両立を実現する方針を明かした。また、人気作家・金庸の作品を原作とするオープンワールドRPGの開発も進行中で、グローバル市場への展開も視野に入れている。

アニモンドリームファクトリーは、熊本を拠点にAIとアニメーションを融合させた映像制作を手がける企業で、東京にも制作拠点を持つ。人気IPのアニメ化や教育・企業向けコンテンツ開発にも力を入れており、次世代クリエイターの育成にも積極的に取り組んでいる。

さらに親会社のCreateAI Holdings Inc.は、日本を含む世界各地で事業を展開するAIソリューション企業であり、「三体」や「金庸武侠」など著名IPを活用したプロジェクトにも参画。世界最高水準の生成AI技術を用いたアニメ・ゲーム制作で、エンターテインメント業界に新たな価値を提供している。

「Animon.ai」の登場により、アニメ制作は専門家だけのものではなくなった。誰もが物語を語り、動かし、共有する時代が、ついに幕を開けた。